トランプの悪夢の制裁 メールアカウント削除、Kindle書籍消滅、クレジットカードは使用不能

トランプ政権が国際刑事裁判所ICCと対立しており、職員に対して制裁措置を課していることはすでに広く知られているが、制裁対象となった実態が報道された。
マイクロソフト社は制裁対象者のメールアカウントを削除し、Amazonはアカウントを停止(そのせいでアレクサは使えなくなり、Kindleの書籍は消えた)、クレジットカード使用不能となった。クレジット決済が前提のサービスは使用不能となった。
世界の多くの国の個人や企業は多かれ少なかれ米国企業が提供するサービスに依存している。VISAやMASTERやAMERICAN EXPRESSといったクレジットカードは米国企業だし、クラウドもSNSも多くが米国企業だ。ある日、突然利用できなくなるという悪夢がICCの職員の身に降りかかった。
トランプ政権発足時に、こうした制裁が行われることを予想できた。いまはまだ他国企業への制裁はおこなっていないが、ICCを擁護し、トランプを批判した企業あるいは経営者に対してこうした制裁措置を発動させる可能性は少なくない。ICC以外でもトランプの逆鱗に触れることがあれば制裁対象となる可能性がある。
これはデジタル主権に関わる問題であり、デジタル主権を失った国の国民や企業は、簡単にこうした制裁対象となり、即座に日常生活や経済活動に支障をきたすことになる。
日本ではほとんど話題にならないデジタル主権だが、その重要性に気づいた時に手遅れにならないことを祈りたい。
出典
‘It’s surreal’: US sanctions lock International Criminal Court judge out of daily life
https://www.irishtimes.com/world/us/2025/12/12/its-surreal-us-sanctions-lock-international-criminal-court-judge-out-of-daily-life/
Cut off by their banks and even iced out by Alexa, sanctioned ICC staffers remain resolute
https://abcnews.go.com/Business/wireStory/cut-off-banks-iced-alexa-sanctioned-icc-staffers-128335932
ICC judges stoic in face of US sanctions over Israeli war crimes cases
https://www.aljazeera.com/news/2025/12/12/icc-judges-stoic-in-face-of-us-sanctions-over-israeli-war-crimes-cases

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この記事を書いた人
複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表。代表作として『原発サイバートラップ』(集英社)、『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)、『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)、『ネット世論操作とデジタル影響工作』(原書房)など。
10年間の執筆活動で40タイトル刊行した後、デジタル影響工作、認知戦などに関わる調査を行うようになる。
プロフィール https://ichida-kazuki.com
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