1995年9月1日初版第一刷発行。
萩尾望都の漫画も結構集めていたんだけど、今私の手元にはトーマの心臓しか残っていない。
『ポーの一族』や『マージナル』や『残酷な神が支配する』なんかを持っていた。
このみずみずしい漫画トーマの心臓が私の一番好きな萩尾望都漫画である。
ユーリは天使のような人も愛していたけど、悪魔主義のような人にも魅力を感じていたんだろうな。昔私が若かった頃も、やはり『罪と罰』(手塚治虫版)も好きだけど天使のような人も好きというどちらも分かるんだよな。
この漫画は宗教の神聖さとか、ドイツのギムナジウムのようなところの男の子たちの無邪気さや性もまだ分からない頃の男の子が男の子を愛するということを表していて、自殺するというのは私にとって認められないことなんだけど、その自殺が結局人を愛している故、その愛している人に愛という感情を知ってほしいとのことで、何とも言えない感情にされた。
やはり、この頃眠れない夜にむさぼるように読んでいるが、新しい漫画を読むのも昔読んだ漫画を思い出すように読むのも好きだ。
萩尾望都は絵も美しいが、ユーリが言っていた過去に起こったあらゆるやさしいことを思い出す。妹の生まれた朝、クリスマスの粉雪、初めて好きになった少女、見知らぬ人の親切、涙という詩人のような表現も美しい。
人の成長も表しているが、こんなみずみずしい青春を読めて素敵だなと思う。
日本人に生まれてよかった。
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