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なんかやたらと忙しく、食堂が開いている時間に間に合わなかったので自販機のカップヌードルを買うことにした。たかだかカップヌードル一つに170円も支払いたくないのだが、ハラがへっては、闘えない。だから買わざるをえないのだ。その前にはオリーブオイルに惹かれてSiOを食べた。まあ悪くはなかったが特別うまいとは思わなかったし、同じのを連続で食べるのも芸がない。そこでシーフードである。特別カップヌードルに思い入れもなく、仮に買うとしても醤油が多いため、おそらく10年以上も食べていなかったのではないだろうか。なのでたまにはいいかと考えてシーフードを選択した。
うまかった。食べている間「あれっ なんかおかしくね?」とか思いながらもズルズルすするのが止まらない。イカ、カニカマ、貝柱のコンボが次々決まる。謎肉もコロ・チャーもいらなかったのだ。白濁色のスープはポークエキスと魚介エキスが両方そなわり最強に味わえる。気が付くと面は消え、具も見えず、スープまで飲み干していた。
普段の俺はカップ麺のスープを全部入れず、さらに味に飽きが来るのでスープは基本残していた。特にカップヌードルのような自分で濃さを調整できないタイプはなおさらだ。その俺が全て飲んでしまったのだ。思わず「安藤め……」とつぶやく。そして考える。なぜこんなにうまいのか。
シーフードヌードルについて調べてみた。
カップヌードル シーフードヌードル|製品情報|日清食品
今回初めて知ったのだが、シーフードヌードルは御三家の中で最も重量が少なく、カロリーも低い。
| 醤油 | シーフード | カレー | |
|---|---|---|---|
| 内容量(めん量) | 77g(65g) | 74g(60g) | 86g(60g) |
| カロリー | 343kcal | 328kcal | 425kcal |
そのためか必要とするお湯の量も醤油とカレーが300mlなのに対し、シーフードだけ310mlとなっている。ちなみにSiOは320mlとさらに多い。だが当然の如く値段は皆同じ。単純にカロリー摂取を目的にするのであるならば最もコスパが悪いことになるが、重要なのは味である。効率だけを求めるならば小麦粉を舐めていればいい。むしろシーフードは量より質にこだわった商品であると言えよう。
続いて具材は以下のとおりである。
- いか
- キャベツ
- 味付卵
- 魚肉練り製品
- 貝柱
- ネギ
貝柱はイタヤガイのものが使われ、2009年7月から追加された新参である。具材が6種というのは御三家の中で最も多く、多彩な味を楽しめる。かつて中国の高級宮廷料理人が一番美味しいカップ麺に選んだだけのことはある。
日本人は海の幸が好きである。基本的に日本人は外骨格の陸上生物を食べることを嫌がり、一部の県民を除いて虫を食料として見たりしない。しかしそれが海洋生物となれば話は別である。虫と似たような多脚スタイルの生物でも、それが海由来のものとなれば煮ても焼いても生でも食う。どんなに見た目がグロくても平気である。それが日本人なのだ。
そしてこのシーフード。日本人である俺が好きなのは当然であろう。醤油やカレーも日本人と切っても切れない関係ではあるが、歴史が違う。日本人にとってカレーの登場は明治でまだ200年も経っていない。醤油の歴史は古く、その起源は弥生時代にまで遡ることが出来るが、シーフードには及ばない。なにせ日本最古の貝塚は紀元前7500年頃の縄文時代早期前半のものだ。
日本は農耕が始まるのは遅かったが、これは海産物が豊富に採れるからではないかと言われている。さらに土器はかつて日本が発祥*1とさえ言われていたほど古くからあり、最初に土器で料理を行ったのは日本ではないか*2とさえ言われている。そう考えると海産物を器にお湯と共に入れて食べるシーフードヌードルは日本人に最もあった食事とさえ言えるだろう。
それにしてもカップヌードルは同じ値段の食品に比べると、食べた時の幸福感が高い。最初に170円が高いと書きはしたが、所詮170円である。レッドブル1本より安い。そう考えると非常に優れた商品ではないだろうか。これはやはり空腹を満たすと同時に体を温めてくれるからだろう。じゃりン子チエにこんなセリフがある。
ひもじい 寒い もお死にたい 不幸はこの順番でやって来ますのや

ここでもラーメン /じゃりン子チエ : 5 (アクションコミックス)より
逆に考えれば「腹を満たす」「暖かい」これを両立できれば幸福になれるということだ。かつてカップヌードルを世に知らしめた「あさま山荘事件」があったが、あれこそ正に「飢え」と「寒さ」をカップヌードルが解消していた。人々は直感的に理解できたのであろう。アレを食べれば幸せになれると。
とりあえずシーフードヌードルはおいしい。
id:honeshabriはてなブログPro自由気ままな読書ブログなので、厳密な考証は行っていない。内容は諸説ある。週刊プレイボーイで「書評ブロガー・骨しゃぶりの『〇〇の文化史』ぜんぶ読む」を連載中。
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