Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


hiroyukikojima’s blog

新著『ラマヌジャンの数学』が刊行されます!

ぼくの新著『ラマヌジャンの数学 無限を掴んだ数学者』がもうすぐ刊行されるので、宣伝したい。

この本は、数学者ラマヌジャンの業績を多面的に紹介する内容となっている。ラマヌジャンは、インドから彗星のように現れた数学者だが、その業績はあまり正当には評価されていないように思う。かくいうぼくも、80年代に学部の数学科で勉強していたが、ラマヌジャンのことはほとんど知らなかった。講義でも紹介されたことはほぼ無かったように思う。なのでこの本では、ラマヌジャンの発見した数学への正当な評価が一般の数学ファンに少しでも広がることを目指した。

ぼくがラマヌジャンに興味をもつきっかけとなったのは、数学者の黒川信重さんと共著を作成する過程で、黒川さんのラマヌジャンに関する本を勉強したことだった。そこでぼくは、ラマヌジャンの数学が「フェルマーの最終定理」の解決のきっかけとなったことを知ったのだ。ぼくが数学に目覚めたきっかけは、中学生のときに「フェルマーの最終定理」に出会ったことだった。だから、このことは衝撃だった。「フェルマーの最終定理」が解決したとき、ぼくはその報道に関わった。そのときの取材で、楕円曲線と保型形式がカギであることを理解した。また、フライ曲線という特殊な楕円曲線が重要であることもわかった。でも、それらの出発点が「ラマヌジャン\Delta」「ラマヌジャンF」と呼ばれる保型形式であることまでは知識が及んでいなかった。黒川さんの本で勉強して、今頃になって、その事実を知ったのである。だから、ラマヌジャンの数学 無限を掴んだ数学者』ではこのことをメイントピックに据えたのだ。

今回はまず、目次をさらしておこう。以下のようである。

まえがき

序章:数奇な運命をたどった数学者ラマヌジャン

第1章:初等的とはいえ、きわめて独創的

第2章:ラマヌジャンと分割数

第3章:ラマヌジャンゼータ関数

第4章:ラマヌジャン\Deltaと2次のオイラー積の発見

第5章:リーマン予想ラマヌジャン予想

第6章:ラマヌジャンの愛した保型形式

第7章:保型形式と楕円曲線の奇跡の関係

終章:ラマヌジャンがいたからフェルマーの最終定理が解決した

あとがき

これらのラインナップの中から、序章で解説したラマヌジャンの公式を紹介しよう。それは、次のような「入れ子平方根」である。

\sqrt{1+2\sqrt{1+3\sqrt{1+4\sqrt{1+\dots}}}}

ラマヌジャンは自分の発見した膨大な数の式を日記のようにノートに書いていたが、これは『第1ノート』の第14章に書かれている(ラマヌジャンの自筆ノートを掲載しているサイトのchapterXIVの左側のアイコンをクリックすれば観ることができる)。第1ノートだから初期の結果で、1911年以前(24歳になる以前)に発見したものだ。なぜなら、「この数値がいくつであるか?」という問題を1911年の『インド数学協会誌』で出題しているからだ。解答は「3」なのだが、読者は誰も解けなかったそうである。さもありなんで、これは平凡な発想では解けない。ラマヌジャンの非凡な解答法は拙著で読んでほしい。解法自体は優秀な中学生なら理解できる。

実はぼくはこの問題(入れ子平方根)はかなり昔から知っていた。1985年刊行のニューマン『数学問題ゼミナール』シュプリンガーに掲載されていたからだ。当時アルバイトしていた塾の中学生向けの教材にラマヌジャンの問題として入れた記憶がある。ニューマンの本にはラマヌジャンの発見とは記されていないので、ラマヌジャンの結果だと知ったのは、別の本か友人から教えてもらったのだろう。ちなみに前掲のニューマンの問題集は現在は版切れみたいだが、初等的な問題なのに傑作揃いなので、中高の数学教員の皆さんはどこかで入手して利用したらいいのではないかと思う。

最後に、ぼくがラマヌジャンについて学んだ黒川さんの本の1冊にリンクをはっておく。

 

検索

引用をストックしました

引用するにはまずログインしてください

引用をストックできませんでした。再度お試しください

限定公開記事のため引用できません。

読者です読者をやめる読者になる読者になる

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp