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『JUST KEEP BUYING』という本を覚えているだろうか?全米屈指のデータサイエンティスト、ニック・マジューリが「とにかく買い続けろ」というシンプルかつ強力な結論を導き出し、日本でも20万部を超えるベストセラーとなったあの名著だ。
その彼が、満を持して世に送り出した続編。それが今回紹介する『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』である。
正直に言おう。この本は、前作を超えているかもしれない。
前作が「戦術(どう戦うか)」の書だとすれば、本作は「戦略(どこで戦うか)」の書だ。多くの人が資産形成で失敗するのは、努力が足りないからではない。「自分の現在地」を見誤り、間違ったステージの攻略法を使っているからだ。
「投資を始めるべきか、貯金すべきか?」「自己投資とS&P500、どっちが優先?」「いつになったら仕事を辞めていいのか?」
もしあなたが一つでも迷いがあるなら、この記事を最後まで読んでほしい。本書が提唱する「富の階段(ウェルス・ラダー)」というフレームワークを使えば、あなたが今やるべきこと、そして絶対にやってはいけないことが、痛いほど明確になるからだ。
私の個人的な気づきと共に、この書の魅力を徹底的に解説しよう。
私たちはつい、SNSで流れてくる「成功者のアドバイス」を鵜呑みにしてしまう。「ラテマネー(毎日のコーヒー代)を節約しろ」という億万長者もいれば、「若い内は貯金なんて捨てて経験に使え」という起業家もいる。
どちらが正しいのか?答えは「どちらも正しいが、あなたにとって正しいとは限らない」だ。
著者のニックは、膨大なデータを分析し、資産形成には明確な「段階(レベル)」が存在することを発見した。RPGゲームを想像してほしい。レベル1の冒険者が、いきなりラスボス(高度な分散投資や節税スキーム)に挑んでも瞬殺されるだけだ。逆に、レベル50の勇者がスライム(10円単位の節約)を倒し続けても、経験値は貯まらない。
『富の階段』は、資産レベルを6つのステージに分け、それぞれのステージに「唯一の正解」となる戦略を提示してくれる。これが実に残酷で、かつ爽快なのだ。
── まずは出血を止めろ
あなたがもし、毎月の支払いに追われているなら、あるいは借金(住宅ローンを除く高金利なもの)があるなら、あなたはレベル1にいる。ここでやるべきは「投資」ではない。「生存」だ。
私自身、社会人1年目の頃を思い出す。手取りは少なく、奨学金の返済もあった。あの頃に「積立NISA」なんて始めていたら、間違いなく生活が破綻していただろう。本書でも、この段階での最優先事項は「支出の管理」と「負債の撲滅」だと断言されている。
「100円を笑う者は100円に泣く」という言葉が最も重くのしかかるのがこのフェーズだ。ここで必要なのは、魔法のような一発逆転の株銘柄ではない。地味で泥臭い、家計簿という名の盾と、節約という名の剣だ。もしあなたがここにいるなら、悪いことは言わない。投資系Youtuberの動画を閉じて、まずはクレジットカードのリボ払いを解約しよう。それが最強の「利回り」を生む投資なのだから。
── 人的資本を爆発させろ
生活防衛資金が貯まり、借金が消えたら、次はレベル2だ。おそらく、日本のサラリーマンの多くがこの「レベル2」か、次の「レベル3」の入り口で足踏みしている。
ここで著者が突きつける事実は衝撃的だ。「資産が少ないうちに、金融投資に血道を上げるな」
例えば、手元に100万円あるとする。これを必死に運用して年利5%を出しても、利益はたったの5万円だ。しかし、その100万円を自分自身(スキルアップ、資格、業務効率化ツール、あるいは転職活動)に使って、年収を50万円上げることができれば?リターンは50%である。金融市場で50%のリターンを出し続けることはウォーレン・バフェットでも不可能だが、自己投資なら誰にでもチャンスがある。
私自身、20代後半で必死に株価チャートを見ていた時期がある。あの時間をプログラミング学習や読書に充てていれば、もっと早く「富の階段」を登れたはずだ。レベル2の攻略法はシンプルだ。「株を買うな、自分を買え」。稼ぐ力(人的資本)を高めることこそが、次のステージへの入場券となる。
── 「Just Keep Buying」の本領発揮
年収が上がり、毎月の余剰資金が十分に確保できるようになったら、いよいよレベル3の出番だ。ここでの主役は「複利」である。
レベル2までは「自分が働く」ことで資産を増やしてきた。しかし、ここからは「お金に働いてもらう」フェーズに入る。著者の前作『JUST KEEP BUYING』の真骨頂はここにある。タイミングを図るな。暴落を恐れるな。ドルコスト平均法で、低コストのインデックスファンドを、ただひたすらに買い続けろ。
このレベルに到達した人がやってはいけないこと。それは「自分を過信すること」だ。レベル2で成功体験を積んだ人は、自分の才覚で市場にも勝てると思いがちだ。しかし、データは残酷な真実を示す。プロのファンドマネージャーでさえ、市場平均(インデックス)には勝てない。だからこそ、「退屈を受け入れる」ことが最大の戦略となる。
私は現在、幸いにしてこのレベル3の領域に足をかけていると感じている。毎月決まった日に、決まった額が口座から引き落とされ、全世界株式へと変わっていく。そこに感情は介在しない。以前のような「暴落したらどうしよう」というハラハラ感は消えた。システムにお任せすることで、脳のメモリを「人生を楽しむこと」や「さらなる仕事」に使えるようになったからだ。これこそが、レベル3の特権だろう。
── 起業、拡大、そして保護
ここから先は、いわゆる「富裕層」の領域だ。本書が面白いのは、雲の上の話で終わらせず、ここにも明確なロジックを用意している点だ。
多くの人にとって、レベル4以上は関係ない話に思えるかもしれない。だが、著者は言う。「ゴールを知っていれば、今日の一歩が変わる」と。将来的に起業を目指すなら、レベル2の段階でどんなスキルを身につけるべきかが変わってくる。すべては繋がっているのだ。
本書の後半で語られるのは、数字の話ではない。「幸福」の話だ。資産レベルが上がれば、幸せになれるのか?データが出した答えは「イエス、ただし条件付きで」。
ある一定のレベル(衣食住の心配がなくなり、ちょっとした贅沢ができるレベル)を超えると、お金による幸福度の上昇は鈍化する。ここで重要になるのが「4つの富」という概念だ。
富の階段を必死に登るあまり、健康を害したり、家族との時間を犠牲にしたりしては意味がない。特にレベル3以降は、「いつ階段を登るのを止めるか(=Enough)」を意識しないと、終わりのないマネーゲームの奴隷になってしまう。
私自身、この章を読んでハッとさせられた。「資産1億円」という数字目標に囚われるあまり、今の子供との時間や、自分の健康をおろそかにしていないか?お金は「選択肢を増やす道具」であって、人生の目的そのものではない。この当たり前だが忘れがちな真実を、データサイエンティストである彼が語るからこそ、説得力がある。
『THE WEALTH LADDER』を読み終えて、私が最初にしたことは「自分のレベルの再定義」だ。
もしあなたが「レベル1」なら、恥じることはない。誰しもそこからスタートする。ただひたすらに、支出を削り、基盤を固めよう。「レベル2」なら、迷わず本を買おう。セミナーに行こう。自分という最強の資産を磨き上げよう。「レベル3」なら、自動設定を確認して、あとは寝て待とう。そして、空いた時間で人生を謳歌しよう。
この本は、単なる投資本ではない。資本主義という巨大なゲームの中で、私たちがどう生き、どう戦い、そしてどう勝ち逃げするかを記した「人生の攻略本」だ。
「シンプル」という言葉がタイトルに入っているが、決して「簡単」という意味ではない。やるべきことはシンプルだが、それを実行し続けるには意志力がいる。しかし、地図(富の階段)さえ持っていれば、暗闇の中で迷う恐怖はなくなる。
あなたが今、どの階段に立っていようとも、次に足を置くべき場所は必ずある。さあ、本書を片手に、その一歩を踏み出そう。頂上の景色は、きっと私たちが想像するよりも遥かに美しいはずだ。
↓↓↓本を読むのが苦手な方はこちらも見てみてください↓↓↓hiros-blog.hatenablog.com
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