認知症を発症するということは「法的な死」を意味することをご存じですか? 認知症が進むと、重要な法律行為ができなくなるからです。認知症を患うと「財産凍結」により家族でも預金が引き出せなくなります。さらに、実家も売れない、贈与もできないという事態に陥ります。では、どのような事前対策ができるでしょうか? 税理士向けに相続の講演なども行う税理士・牧口晴一氏の著書「日本一シンプルな相続対策」(ワニブックス)より一部抜粋し、分かりやすく解説します。
死に目に会えないことは不幸だという思い込みを拭い去らなければなりません。
日本では、多くの人が「死に目」に会うことが大切だと誤解しています。「霊柩車や葬列を見たら親指を隠せ!親の死に目に会えなくなる」とか「夜爪を切ると親の死に目に会えない」という迷信を小さい頃から親に言われ続けていつの間にかそう信じ込んでいます。それが、人を不幸にしているのです。
だから、ご家族が臨終に立ち会おうとして片時も離れずに見守り、息を引き取る瞬間を見届けようと頑張ってしまいます。
あなたが仕事で忙しいからだけではありません。昔とは働き方も異なって、海外にいることすらあります。親子の別居も当然のようになりました。
コロナ禍で面会すらできないまま亡くなることもあります。それらは、仕方がないことです。あなたがひとりで傷つくことではありません。死に目に会えないことは不幸ではないと、まずは心に留めて、あなた自身のグリーフ(悲嘆)ケアにあたってください。
税理士・行政書士・法務大臣認証事業承継ADR調停補佐人
昭和28年生まれ。慶應義塾大学法学部卒、名古屋大学大学院法学研究科(会社法)修了。税理士試験5科目合格。昭和61年開業。2015年『税務弘報』9月号で「トップランナースペシャリスト9」に選出。税理士等の専門家向けに『牧口大学』、『丸の内相続大学校』などの講演をするほか、一般向けには「相続博士・事業承継博士」としてパフォーマンス豊かに、わかり易く、時には落語調に「楽しく」聞かせる第一人者として活動する。また地域ボランティア活動の一環としてNHK文化センターで相続・会計・事業承継の講座を10年余り担当している。主な著書に『非公開株式譲渡の法務・税務(第7版)』『事業承継に活かす納税猶予・免除の実務(第3版)』、『組織再編・資本等取引をめぐる税務の基礎(第4版)』、〈以上、中央経済社〉、『図解&イラスト中小企業の事業承継(第14版)』〈清文社〉等多数。
牧口会計事務所https://www.makigutikaikei.com/
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連載専門家が伝授する、日本一シンプルな相続対策
※ 本連載は、牧口 晴一氏の著書『日本一シンプルな相続対策』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再構成したものです
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