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写真提供/にしおかすみこ

にしおかすみこ、ダウン症の姉を送り出して聞いた認知症の母の悲鳴

ポンコツ一家43 後編

認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父と暮らすにしおかすみこさん。

厚生労働省の研究班、九州大学大学院の2024年5月の発表によれば、認知症と軽度認知機能障害(MCI)の比率は2022年度の段階で65歳以上の高齢者のおよそ27.8%。2050年には認知症患者は586.6万人、MCIは631.2万人になると推定され、認知症は誰でもなりうることを認識する必要がある状況だと言える。

にしおかさんが刊行した書籍『ポンコツ一家2年目』のサイン会でも、「他人事と思えなかった」と涙する方もたくさんいた。そして口々に言っていたのは「そんな現実の中で笑うって大切ですね」ということ。

にしおかさんが同居の生活を率直に綴る連載「ポンコツ一家」43回は、元看護師のお母さんとにしおかさんとの「春のやり取り」をお届けしている。

前編では、花粉症とギックリ腰と膀胱炎と「三種盛り」の体調の悪さに苦しむにしおかさんに見事にアドバイスしたり、花を活けたり、「ホントに認知症?」と思わせることのあるお母さん。後編ではそのお母さんの悲鳴が……?

写真提供/にしおかすみこ
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3月中旬

3月中旬。

朝、母は姉を作業所に送り出した後、一仕事終えたように居間の座椅子で居眠りを始めた。それを大窓から入り込むうららかな日差しがキラキラと包み込む。気持ち良さそうにも見えるが、天に召されていく演出にも見え、何とも言えない。

私は台所で、スマホでカフェミュージックを小さな音量でかけ、穏やかな気持ちで食器を洗う。ギックリ腰になった。……何でぇ。どこにそんなタイミングがあった?治ったはずだろう?

ギックリ腰の人口も多い…Photo by iStock

と、そこへ「ギャアア!!」と居間から悲鳴が上がった。勿論、母だ。……何でぇ。老人と中年の日常にそんな声を出すタイミングある? 寝言か? 起きているのか?

私は様子を見に行こうと動き出す。数歩進んで仕切りカーテンをめくればいいだけなのだが、ノッソリ、ノッソリで、母の次なる声のほうが先に、台所に飛んでくる。

「お姉ちゃん! ええ?! お姉ちゃん!!」と慌てふためいている。目を覚ましてはいるようだ。どうした?姉は作業所だよ。ママ落ち着いて。そう伝えようとしたら、母の声のほうが早い。

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AUTHOR

  • にしおか すみこ

    お笑いタレント

    にしおか すみこ

    1974年生まれ。千葉県出身。
    2007年日本テレビ「エンタの神様」で女王様キャラのSMネタでブレイク。
    春風亭小朝師匠の指導のもと落語に挑戦。高座名は「春風こえむ」
    著書には自叙伝エッセイ「化けの皮」を出版。
    現在ではテレビ東京「なないろ日和!」など、リポーターとしても活躍中。
    趣味のマラソンでは、2019年にフルマラソンで3時間05分03秒、
    2015年ウルトラマラソン100㎞女子の部にて第2位!!
    最近はベジタブルカービングにハマりクオリティーの高さで話題になる。

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