毎年発表される「世界幸福度ランキング」。これは国連の持続可能開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が発表する「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」の調査データをもとに、150ヵ国以上の人々の幸福度を数値化して国別に順位をつけたもの。
2023年度の「世界幸福度ランキング」で1位になったのはフィンランド(幸福度スコアは7.804)で6年連続のトップに輝きました。一方、日本は47位(幸福度スコアは6.129)。昨年の54位からランクは上がったものの、主要7ヵ国では最下位の結果に。
順位にこれだけの差があるのはなぜなのか。そしてフィンランドが6年連続で1位となる背景には何があるのか。
自分にとって「居心地のいいまち」を見つけて暮らす人たちのリアルな声や実体験をもとに勢力取材し、「自分が住みたいまち」を選ぶヒントに溢れているFRaU1月号では、フィンランドにも実際に足を運んでいます。現地で見た人々の生活や働き方、企業の取り組みなどを通して、フィンランドに住む人たちの幸福度の高さをひしひしと感じたという担当編集で、FRaU SDGs号編集長の熱田千鶴がその理由を分析しました。
フィンランドの幸福につながる権利と教育
FRaU SDGsの1月号で特集した「まちづくり」。今回の取材で訪ねた先の一つにフィンランドがある。首都ヘルシンキを歩いていて印象的だったのは、まちがきれいで、みな親切だったこと。
これまでの旅や海外取材で、国によっては人種差別的な対応をされたこともあったけれど、ここでは滞在中、不快な思いをしたことは一度もなかった。人々は優しさの中に、どこかゆとりがある。きっと暮らしに不満を持っている人が少なくて、安定した社会に満足している人が一定数以上いるということなのだろう。
記事内でも紹介したが、実際に「世界幸福度ランキング」で、フィンランドは2023年度も第1位となった。6年連続首位をキープしていることからもそれはよくわかる。
国民が胸を張って「自分たちは幸福だ」と言い切れる、そんな理想的な国の背景には一体何があるのか。
まず気がついたことは、会話の中に「権利」というワードが多いこと。フィンランドには一人ひとりが生を享受するための権利が“当たり前”の感覚としてあり、権利を主張しながら生活している。
さらに、それを社会が共有している。例えば自然享受権は、土地の所有者に迷惑をかけない限り、誰でも森の中に入っていいし、そこに生えているキノコやベリーを採っていい。日本だったら不法侵入罪や窃盗罪で通報されそうだが、「自然は(土地所有者のものでなく)みんなのもの」という権利の共有ができている。
国民は自由で平等であることをなによりも尊重されるべきと考えているので、自分たちが持つ権利に対しての意識が高い。それが侵されそうになったら徹底的に闘う覚悟もある。
日本でも日本国憲法にある通り、人が生まれながらにして持っている基本的人権や生存権など、確かに権利は憲法の中には存在しているが、正直、学生時代に公民の授業でやったなぁくらいの、どこか遠い話で、日々の生活の中で意識することは少ない。
同じような権利を持っていながら、フィンランドと日本が決定的に違うのは、おそらく「教育」にあると考える。









