琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

長野県・八ヶ岳連峰の未宝岳。長野県警の大和敢助は雪山である男を追っていたが、男が放ったライフル弾が左眼をかすめ、同時に起こった雪崩に巻き込まれて負傷してしまう。それから10カ月後。敢助は、天文台の施設研究員が襲撃された事件の捜査のため現場へ駆けつける。しかし、天文台の巨大パラボラアンテナが動き出すと、雪山の事件で負傷して失明していた敢助の左眼が、なぜか激しくうずくのだった。そしてその夜、毛利探偵事務所には、小五郎の警視庁時代の同僚だった「ワニ」と呼ばれる刑事から電話が入る。ワニは未宝岳で敢助が巻き込まれた雪崩事故を調査しており、事件ファイルに小五郎の名前があったというのだが……。

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2025年映画館での鑑賞5作目。平日の夕方の回で。観客は100人くらいでした。
ゴールデンウィークに入ると混むから、ということであえてGW前の平日に行ったのですが、上映回数も多いのに、相変わらずすごい人気です。

「名探偵コナン」の劇場版28作目。もはやゴールデンウィークの風物詩、という感じです。
僕は毎年映画でしか『コナン』を観ないので、終演後、「やっぱり原作の漫画やTVアニメもフォローしておかなくては」と思ったのですが、そういえば去年も映画を観て、同じことを考えていたよなあ、と。
きっとこれを繰り返したまま死んでいくんだろうな。

今回の『隻眼の残像』については、まあ、良くも悪くも、期待通りの『コナン映画』でした。
映画版だけ観てもそれなりに楽しめるストーリー。蘭のアクションに灰原のインテリジェンス、安室さんのクールな魅力など、人気キャラの「らしい」見せ場がきちんと散りばめられていて、映画版という「お祭り」らしい作品ではないかと。

その一方で、生成AIに「『名探偵コナン』の人気キャラクターの見せ場を入れて、雪山を舞台にどんでん返しと大規模な破壊・爆発シーンがあって時事ネタを少し取り入れた映画版のストーリーを作って」と頼んだら、こんな感じになりそうだな、とも感じたのです。

『名探偵コナン』にはレギュラー的な存在の人気キャラが多数いて、ファンはその人たちの活躍を期待しているけれど、作品の長期化に伴って、主要キャラが増えているために、みんなの見せ場をつくると、ミステリーとして「深掘り」をする時間はない。

あからさまなミスリードや強引な人間関係の繋がり、どうしてそこに恨みが向いて、あれほどことをするのか理解困難な犯人の動機など、観客の予想を裏切ろうとするあまり、迷走してしまったようにも見えます。

とくにお気に入りのキャラクターがいるわけでもなく（あえて言えば灰原さんかな）、子どもも大人も楽しめるお祭り的な感覚で毎年けっこう楽しみに観ている僕としては、「まあ、映画の『名探偵コナン』って、こんなものだよな、ツッコミどころが全くない、リアリティを追求した『コナン』なんて、それはそれで物足りないだろうし」という「及第点」の映画ではありました。

しかしこの映画版、メインストーリーは毎年ほとんど進んでおらず、製作側も「ドル箱」になってしまったがゆえに、「冒険できない」状況になっているように思われます。観客の多数派である「気分転換組」「キャラ萌え派」にはそれでいいのでしょうし、原作の最終回はすでに描かれていて、金庫にしまってある（『ゴルゴ13』かよ！）という都市伝説的な噂もあります。
青山剛昌先生も、もう若くはないんだし、終わらないぞこれ、と心配ではあるのだけれど、これだけ稼げる作品になってしまうと、もう、「メインストーリーは回収しないで、青山先生が不在になっても、プロダクション方式で続けられるだけ続けていく」という方針なのかもしれませんね。

僕も毎年、オープニングの「真実はいつもひとつ！」を観たら、もう満足ではあるし、「また今年も1年生き延びて、『コナン』観られたなあ、という映画ではあるので、これからも続けていただければとは思っております。
（ただ、今回のオープニングはちょっと物足りなかったかも。僕はオープニングテーマとコナンの決め台詞までの流れをいちばん楽しみにしているので）

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