ミモザの花 の俳句
ミモザの花
例句を挙げる。
あいまいな地中海へとミモザの火の手 夏石番矢
あり余る日のやうに咲くミモザかな 高崎登喜子
かじかみて気ものらぬまま花ミモザ 落合よう子
くさぐさの宝石を見しミモザ見し 成瀬正とし 星月夜
この路地はみんな花好き花ミモザ 前田和子
さんさんとミモザかかへて夫帰る 小池文子 巴里蕭条
すすり泣くやうな雨降り花ミモザ 後藤比奈夫
ゆらゆらの花のミモザとくらくらす 池田澄子 たましいの話
わが胸のさわぐに似たり花ミモザ 岩崎照子
わき立つや海の微風の花ミモザ 小池文子 巴里蕭条
ウエストの細き女やミモザ抱く 清水谷喜美子
シャガールは会ひ得し人よミモザ咲く 嶋田一歩
フィレンツェに女性の日あり花ミモザ 志村幸子
ミサあとの庭の饒舌ミモザ咲く 藤田 宏
ミモザざかりの 空巣に陽が積む 鎌倉は 伊丹公子 ドリアンの棘
ミモザの黄揺れる昨日に堕ちぬため 高澤晶子
ミモザ咲きとりたる歳のかぶさり来 飯島晴子
ミモザ咲きミモザの風の生まれけり 栃木ヤスエ
ミモザ咲き地球は青いとは言へず 後藤立夫
ミモザ咲き水門ひらく小名木川 名和政代
ミモザ咲き海かけて靄黄なりけり 水原秋櫻子
ミモザ咲き海に近しや異人館 米北河西
ミモザ咲き混血すすむ野獣たち 丸山嵐人
ミモザ咲き磯横ざまに奔る波 水原秋櫻子
ミモザ咲くお吉の町の資料館 谷野由紀子
ミモザ咲くベスビオの山曇る日は 有働亨 汐路
ミモザ咲く島に醤油屋佃煮屋 谷中隆子
ミモザ咲く明るさ夫と分ちあふ 島信子
ミモザ咲く海に展けし蜑の庭 金沢葭舟
ミモザ咲く潮風ゆるき坂の町 岡田公子
ミモザ咲く町 水軍列伝 漂うて 伊丹公子 山珊瑚
ミモザ手にノオトルダムの影を行く 小池文子 巴里蕭条
ミモザ散るダンテが踏みし甃 松本澄江
丘の木はいつも風の木花ミモザ 森岡之子
仰ぐとは偲ぶことなり花ミモザ 五十嵐哲也
佇てばなべて古きものよしミモザの黄 稲垣きくの 黄 瀬
何もかも押しやつてミモザ抱え来る 豊口陽子
北海を見し夜のミモザ束で挿す 伊藤敬子
咲きそろふ二本のミモザ庭を統ぶ 五十嵐播水
喪の花環ミモザをはじめ既に萎ゆ 山口誓子
城下町茶房も遺跡花ミモザ 嶋田摩耶子
塀白く風のミモザの見ゆる家 千原草之
太陽を胴上げしたる花ミモザ 松山たまき
子が椅子に長き脚折る花ミモザ 梅村すみを
少女期のふしぎな眩暈花ミモザ 堺信子
惜しみなき愛の畢りや花ミモザ 黒鳥一司
愛は黄とミモザの花のひた烟り 後藤比奈夫 めんない千鳥
戦なきアルカデイアなり花ミモザ 佐田昭子
旅人に今日の神戸の花ミモザ 後藤比奈夫 めんない千鳥
昃りても黄は明るくて花ミモザ 広瀬美津穂
明るしと思ひミモザの咲くと言ひ 成瀬正とし 星月夜
春浅きコモ湖を渡り買ふミモザ 有働亨 汐路
昨日より元気な富士山や花ミモザ 堤 保徳
曇天や塀に重たき花ミモザ 高井邦子
水割りの水にミモザの花雫 草間時彦
水平線見えぬ午後なり花ミモザ 景山薫
沸き立つといふ咲きぶりの花ミモザ 大橋敦子
法王を悼み黄の濃きミモザかな 五十嵐哲也
湯河原の海は水色ミモザ咲く 柳下美砂枝
父と子にミモザの風の黄なりけり 小島千架子
発声の音域ひろがるミモザの午後 田村千代子
祝婚やミモザのもとに咳こぼし 石田波郷
神の国近しミモザの咲ける丘 稲畑汀子 汀子第三句集
福音の風を信じてミモザの芽 伊達天
移り来てよき隣人と花ミモザ 山田弘子
空に伸び翳りを知らぬミモザの黄 綿谷千世子
笑む遺影無神論者よ花ミモザ 山本歩禅
結構なミモザと云ひて仰ぎをり 高澤良一 石鏡
老いし犬眠るミモザの花の下 市川佳代
花ミモザ仰げば昼の月ありし 成瀬正とし 星月夜
花ミモザ住むその人は誰も知らず 佐土井智津子
花ミモザ備前の壺に溢れしむ 山本 佑
花ミモザ咲きたる町に母住める 山内二三子
花ミモザ天蓋にして雛会式 阿部すず枝
花ミモザ子よりの文は海越えて 石井美代子
花ミモザ少女の黒き乗馬服 鈴木寿美子
花ミモザ広きおでこを褒められて 振り子
花ミモザ樹下に犬小屋黒い犬 成瀬正とし 星月夜
花ミモザ温泉の湧く鳴尾浜 河田禾水
花ミモザ港にクイーンエリザベス 佐土井智津子
花ミモザ溢るるごとき明日はあり 佐藤美恵子
花ミモザ私に抗ヒスタミンの睡魔 尾田明子
花ミモザ羅馬軍団現れよ 高澤良一 寒暑
花ミモザ葉山元町道せまく 松岡弘子
花ミモザ見たる記憶の地中海 成瀬正とし 星月夜
花ミモザ雨の冷あるペン使ひ 前田陶代子
花ミモザ雨呼ぶ雲の湖より来 樋笠文
花ミモザ雨雲ながら夜明けたり 宮津昭彦
花ミモザ黄み掻き立てて咲けるなり 高澤良一 宿好
若者をつゆ見ぬ島の花ミモザ 尾熊靖子
葬りを終へてミモザの只中に 仙田洋子 橋のあなたに
行きずりのこれある哉の花ミモザ 高澤良一 石鏡
転居してよき隣人と花ミモザ 山田弘子 螢川
透明な少女の時間花ミモザ 白澤良子
逢ふたびのミモザの花の遠げむり 後藤比奈夫 花匂ひ
遠くよりミモザの花と見つゝ来て 稲畑汀子
遠くより見えたる我家のミモザかな 五十嵐播水
邂逅やミモザ咲く坂上りつつ 草間時彦 櫻山
野外劇はじまるミモザ降る下に 星野立子
針攻めの仮縫をはる花ミモザ 朝倉和江
陽のかけら風にこぼせり花ミモザ 浜田みずき 『石蕗の花』
陽のミモザ海へ海へと鈴鳴らし 男谷卯女
青空の喝采浴びし花ミモザ 池田裕子
風止んで枝の重たし花ミモザ 仁科聖鳥
黄色ミモザ手動筆記(マニュエリスム)の猫は逃げた 木村聡雄
黙礼の聖女の行き来花ミモザ 乾一枝
花ミモザライオン色に太陽は 高澤良一 ぱらりとせ
ミモザの花 補遺
うすき日は十時ごろミモザの花は黄に 山口青邨
すすり泣くやうな雨降り花ミモザ 後藤比奈夫
ミモザ胸に挿しうら若き名付親 能村登四郎
ミモザ見てつぎつぎくぐる冠木門 飯田龍太
ミモザ咲きとりたる歳のかぶさり来 飯島晴子
ミモザ咲き磯横ざまに奔る波 水原秋櫻子 殉教
ミモザ咲き海かけて靄黄なりけり 水原秋櫻子 帰心
ミモザ咲き熱海の町は白き町 山口青邨
ミモザ壷にイタリヤ紀行読みさして 山口青邨
わが胸にミモザの風の来てさわぐ 後藤比奈夫
愛は黄とミモザの花のひた烟り 後藤比奈夫
逢ふたびのミモザの花の遠げむり 後藤比奈夫
浦波の奥処とめ来てミモザあり 水原秋櫻子 蘆雁以後
花ミモザ教授の宅の丘の上 松崎鉄之介
花ミモザ帽子を買ふと言ひ出しぬ 亭午 星野麥丘人
街大雨花舗のミモザをへだてけり 水原秋櫻子 餘生
楽しげなミモザの花の向う側 後藤比奈夫
重ねても重ねてもミモザの隙間 後藤比奈夫
祝婚やミモザのもとに咳こぼし 石田波郷
色見せてミモザの月日はじまれる 稲畑汀子
心いまミモザの花の雲の中 後藤比奈夫
神の国近しミモザの咲ける丘 稲畑汀子
水割りの水にミモザの花雫 草間時彦
喪の花環ミモザをはじめ既に萎ゆ 山口誓子
相逢うてけふはミモザの花曇 後藤比奈夫
大仏ヘ ミモザくぐりで青い眼来る 伊丹三樹彦
野外劇はじまるミモザ降る下に 星野立子
旅人に今日の神戸の花ミモザ 後藤比奈夫
邂逅やミモザ咲く坂上りつつ 草間時彦 櫻山