貝母の花 の俳句
貝母の花
例句を挙げる。
かなしくて糸のからまる貝母かな 樋口愛子
こゝろやさしくなる花貝母蕾して 及川貞
やうやくに咲きし貝母はさびしき花 森田峠 避暑散歩
何と手の混める貝母の花の裡 高澤良一 さざなみやつこ
優しさを葉よりもらひて貝母咲く 山田弘子 こぶし坂
判らぬはこの手の花よ花貝母 高澤良一 随笑
堂裏の貝母におよぶ月あかり 森光梅子
大寺に貝母を活けて人気なし 田中英子
女共とやかく云へる花貝母 高澤良一 随笑
戦遠く貝母の花はけむり色 岩淵喜代子
抱く蕾いだく雨滴の貝母なる 山田弘子 こぶし坂
武士(もののふ)の肝見るごとし花貝母 高澤良一 素抱
気楽とは淋しきものよ貝母咲く 小出民子
白き蝶貝母の花にまぎれくる 大場白水郎 散木集
老人の指図けむたし花貝母 高澤良一 素抱
触れてより貝母の花を去りがたし 山田節子
貝母に風現代語譯つれづれぐさ 塚本邦雄 甘露
貝母まだ色よき返事出さずゐる 中原道夫
貝母咲き庭にやさしさ生まれけり 清水芳子
貝母咲き露風の筆を祀る寺 山田弘子 懐
貝母咲くあえかにけぶる山の雨 つじ加代子
貝母咲くほとり夫逝く一大事 下鉢清子
貝母咲く地蔵の慈悲にうなづきつ 羽田岳水
貝母咲く蔓さし上げて倒れずに 右城暮石
貝母憂し母は白寿を疾くに過ぎ 中田モト子
貝母知らず諸葛菜知らずまづ教ふ 及川貞
近づけど貝母は面上げぬ花 永方裕子
靡きつつ縺れあひつつ貝母かな 山西雅子
貝母の花 補遺
夕暮の垣をのぞけば貝母かな 雨滴集 星野麥丘人
母がまだありて貝母の花ざかり 後藤比奈夫
写経の間貝母はいつもうつむける 飴山實 句集外
師弟句碑貝母の花の多き寺 松崎鉄之介
山茱萸は禅門貝母浄土門 後藤比奈夫
貝母咲く蔓さし上げて倒れずに 右城暮石 一芸