木蘭 の俳句

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木蘭 補遺

おしなべて曇れる中の紫木蓮 上村占魚
さきがけの白熟考の紫木蓮 岡本眸
そこには灯遠き夜桜遠木蓮 中村草田男
たかだかと雨意の木蓮崩れけり 日野草城
のぞみならいくらもくれん露の玉 夏目成美
はくれむのひたすら白く夜にありぬ 臼田亜郎 定本亜浪句集
はくれむの翳をかさねて日に対ふ 臼田亜郎 定本亜浪句集
はくれんに雨すぢしばし古典擱く 岡井省二 山色
はくれんのくたぶれ咲や瓦町 星野麥丘人
はくれんのひしめく真夜をさめてをり 飯島晴子
はくれんの咲きて雪隠かくしけり 阿波野青畝
はくれんの夕ベもつとも花らしき 岸田稚魚 紅葉山
はくれんの散るやをみなを知りしごと 藤田湘子
はくれんの散る舌打と覚えけり 藤田湘子 神楽
はくれんの百蕾のぼり歓喜天 鷲谷七菜子 天鼓
はくれんは朝のともしび乳屋らに 林翔 和紙
はくれんやくちづけのあとくちくらく 岸田稚魚 筍流し
はくれんやとはのわかれも世のならひ 上田五千石『琥珀』補遺
はくれんや含羞の白おづおづと 鷲谷七菜子 天鼓
はくれんや風の行方の闇透きて 星野麥丘人
はくれんを意識してゐる窓枠も 後藤比奈夫
はくれんを活けて壷中に夜を残す 鷲谷七菜子 花寂び
はくれんを百まで数へなほかぞふ 亭午 星野麥丘人
もくれんの花のひかりの咲きあふれ 長谷川素逝 暦日
ゆふぞらにはなびら反らし紫木蓮 日野草城
中原に夜が来てをり紫木蘭 有馬朗人 天為
仏心は多情にかよひ芽はくれん 上田五千石 琥珀
北風昏くはくれむ弁を閉ぢにけり 臼田亜郎 定本亜浪句集
友と見る木蓮貨車にさへぎらる 細見綾子
口甘くしてはくれんの真盛り 岸田稚魚
嘴太の蕾かかげて紫木蓮 鷹羽狩行
夜目の木蓮別れも近きオリオン座 中村草田男
子と遊ぶうらら木蓮数へては 種田山頭火 自画像 層雲集
思ひ出す君は木蘭を知らざりし 加藤秋邨
戒名は真砂女でよろし紫木蓮 鈴木真砂女 紫木蓮
日輪と雲と木蓮の芽とうごかず 長谷川素逝 暦日
木蓮が開く雨にて雷鳴り出す 細見綾子
木蓮と大きな門の記憶のみ 富安風生
木蓮に日強くて風さだまらず 飯田蛇笏 椿花集
木蓮に杉の梢の皆禿 川端茅舎
木蓮に瓦は銀の波を寄せ 川端茅舎
木蓮のあまりに白く家を圧す 有馬朗人 母国
木蓮のため無傷なる空となる(埼玉県高麗村二句) 細見綾子
木蓮のつぼみのひかり立ちそろふ 長谷川素逝 暦日
木蓮のはつきり白し朝曇 日野草城
木蓮の一枝を折りぬあとは散るとも 橋本多佳子
木蓮の一片を身の内に持つ 細見綾子 冬薔薇
木蓮の一花を空に浮めたり 高浜年尾
木蓮の二つに折れし花瓣かな 高野素十
木蓮の今朝のふくらみ 戴帽式 伊丹三樹彦
木蓮の吹かれ吹かれてかがやける 日野草城
木蓮の咲くあかつきのまぶたかな 細見綾子
木蓮の声なら判る気もすなり 藤田湘子 てんてん
木蓮の崩れ落ちたる廂かな 日野草城
木蓮の梢の春を仰ぎけり 百合山羽公 春園
木蓮の生毛莟や暁の雨 能村登四郎
木蓮の白光薫ず池のうヘ 水原秋櫻子 霜林
木蓮の花は落ちたる青芽哉 政岡子規 木蓮
木蓮の花びら家庭教師の肩に 有馬朗人 母国
木蓮の花一斉に開きけり 政岡子規 木蓮
木蓮の花間を落ちて来たる雨 松本たかし
木蓮の芽に空を漉す日のひかり 長谷川素逝 暦日
木蓮の芽のむさぼれる二月の日 長谷川素逝 暦日
木蓮の芽をふちどりて日のひかり 長谷川素逝 暦日
木蓮の苗束打つて霰去る 飯田龍太
木蓮の莟兵馬を征かしめぬ 三橋鷹女
木蓮の落ちくだけあり寂光土 川端茅舎
木蓮の蕾少き若木かな 政岡子規 木蓮
木蓮の蕾硝子に押しつけられ 細見綾子
木蓮の風のなげきはただ高く 中村草田男
木蓮へ泣いてはならぬ瞳を張りぬ 岡本眸
木蓮や傘つき心躓くまで 小林康治 四季貧窮
木蓮や手紙無精のすこやかに 石田波郷
木蓮や母の声音の若さ憂し 草間時彦 中年
木蓮や白光うるむ日の在り処 鷲谷七菜子 銃身
木蓮や蒼天蒼天夜にはあらず 川端茅舎
木蓮や読書の窓の外側に 政岡子規 木蓮
木蓮を花舗に見かけて歩み来し 山口誓子
木蓮を過ぎてきたりし夜風なる 桂信子 草影
木蓮乙風雨の声の昏くたる 臼田亜郎 定本亜浪句集
木蓮咲く風を把ふる形して 津田清子
木蓮花ちらぬ先こそあはれなれ 尚白
木蓮花咲くや剣術指南番 政岡子規 木蓮
木蓮花小窓のすゝび見えにけり 政岡子規 木蓮
木蓮花鉄燈籠の黒さかな 政岡子規 木蓮
木蘭に放鳥とべる日のひかり 西島麦南 人音
木蘭の三ひら四ひらが残りけり 山口青邨
木蘭の崩れぬかるみ往きまどふ 臼田亜郎 定本亜浪句集
木蘭の櫂にもつる蓴かな 内藤鳴雪
木蘭をなぜ馬づらと思ふのか 平井照敏 天上大風
椿咲き木蓮ふゝみ三崎よし 星野立子
此門の勅額古し木蓮花 内藤鳴雪
涅槃より後のなみだや木蓮花 露川
炉に冷えのありて木蓮花開く 右城暮石 句集外 昭和十七年
白木蓮の花は過ぎたり紫木蓮 清崎敏郎
空の日へ木蓮の芽のこぞるなり 長谷川素逝 暦日
紫木蓮くらき生家に靴脱ぐも 角川源義
紫木蓮家の中よりもの問はれ 岡本眸
紫木蓮懸るわが眼のまだ錆びず 赤尾兜子 歳華集
紫木蓮箸の用意の音つつぬけ 岡本眸
絵本見てある子も睡げ木蓮ほろゝ散る 種田山頭火 自画像 層雲集
老い知らぬピカソも逝きぬ紫木蓮 林翔
葉がでて木蓮妻の齢もその頃ほひ 森澄雄
蜘の巣やけふも夕の木蓮花 乙訓
襟あしのごとし薄闇の木蓮は 日野草城
辛夷冷えはくれんぐもりつづくらむ 上田五千石『天路』補遺
遠ちに僧形木蓮ぐぐと花開く 三橋鷹女
鈍き木に木蓮の花大なる 政岡子規 木蓮
離り見て木蓮の花数へられ 清崎敏郎
雲動かずはくれんの花のみ騒ぐ 阿波野青畝
非時の雪はくれむすでに錆ふかき 臼田亜郎 定本亜浪句集
風吹て裸なりけり木蓮花 政岡子規 木蓮

以上