焼野 の俳句
焼野 の例句 (←ここをクリック)
http://fudemaka57.exblog.jp/23611463/
焼野 補遺
あたらしき末黒は匂ふ雨ほそく 日野草城
いつもこの末黒の頃に乳母を訪ふ 森澄雄
いろいろの虫の働く焼野かな 岸田稚魚 紅葉山
かたまつて焼野をとほる女ごゑ 鷲谷七菜子 天鼓
すこし眠くて末黒野は異邦の香 飯田龍太
そぼふるや雉の走る焼野原 政岡子規 焼野
ぞろぞろと焼野より来る法事人 野澤節子 八朶集
ちりぢりに漣照るや末黒葦 能村登四郎
どこからか道の来てゐる焼野かな 鷲谷七菜子 天鼓
なにか唾棄して末黒野を立去れり 上田五千石 田園
のど乾く子と末黒野をよぎりたる 細見綾子
はればれと焼野の匂ふ芹小鉢 野澤節子 八朶集
ひとのため末黒野を行き落胆す 藤田湘子
むさしのやすくろの薄小雨ふる 政岡子規 末黒の薄
わが住みて野辺の末黒を簷のもと 橋本多佳子
一二寸がほどの末黒の芒かな 岸田稚魚 紅葉山
人麿忌末黒古芦刈られけり 藤田湘子 途上
八重葎おもひおもひに末黒かな 阿波野青畝
冬めくや焼野いつまで藜立ち 小林康治 四季貧窮
古めきて月ひかりいづ焼野かな 飯田蛇笏 山廬集
喪つづきの行けば末黒野芒原 能村登四郎
土筆の子末黒汚れの袴穿き 後藤比奈夫
塔に眼を定めて黒き焼野ゆく 西東三鬼
塔のほか末黒野も見ゆ佐保の路 能村登四郎
壺坂を掃きおろしたる末黒かな 古舘曹人 樹下石上
夢の景とすこし違へる焼野かな 能村登四郎
山陰に魚籠をしづめし末黒かな 古舘曹人 樹下石上
巌頭に注連のゆるみし末黒かな 古舘曹人 樹下石上
怖い顔して松が立つ末黒野よ 波多野爽波
旅愁また土堤の末黒のうすれ踏み 上田五千石『琥珀』補遺
昼ながら月かゝりゐる焼野かな 原石鼎 花影
月いよいよ大空わたる焼野かな 飯田蛇笏 山廬集
月いよ~大空わたる焼野かな 飯田蛇笏 霊芝
末黒なるあたりうららに水の見え 岸田稚魚 紅葉山
末黒なる土手いつまでも歩きけり 岸田稚魚 紅葉山
末黒土手車窓につゞき急に川 高浜年尾
末黒踏む音ともにせし懼れかな 飯島晴子
末黒野さまよう 墓所を物色の眼で 或る日 伊丹三樹彦
末黒野となりては静かなるものよ 細見綾子 桃は八重
末黒野にかこまれてあり佐久の牧 細見綾子
末黒野にたあいなき日のありそめし 岡井省二 有時
末黒野にまさしく月ののぼりけり 松村蒼石 雁
末黒野に二の足を踏む鴉ゐて 鷹羽狩行
末黒野に二重廻しの裾ひきずる 細見綾子
末黒野に木の根洗ひて流るる水(奈良にて二句) 細見綾子
末黒野に神をやめたる男たち 岡井省二 五劫集
末黒野に雨くる早さの剛い髪 飯島晴子
末黒野に雨しみてより晴れわたる(奈良にて二句) 細見綾子
末黒野に雨の切尖限りなし 波多野爽波 鋪道の花
末黒野に雨や旅人旅つづく 山口青邨
末黒野に風のやさしく吹く日かな 飯田龍太
末黒野のおもはぬ方に飛火あと 能村登四郎
末黒野のさるとりいばらはや萌えて 山口青邨
末黒野のふちを臆病めき歩く 岡本眸
末黒野の宙に風音ばかりかな 森澄雄
末黒野の日當つてをりそこへ行く 森澄雄
末黒野の果ての一川淀青し 能村登四郎
末黒野の海の際まで安房天津 鈴木真砂女 居待月
末黒野の疵いえてゆく夜ごと雨 山口青邨
末黒野の空に鴎の目がつぶら 波多野爽波
末黒野の端に漢の無聊かな 野澤節子 八朶集
末黒野の薄きところや濃きところ 岸田稚魚 紅葉山
末黒野の雨にけぶらふ一団地 木村蕪城 寒泉
末黒野の雨をかなしと見て過ぐる 高浜年尾
末黒野の雨を遥かに人わたる 波多野爽波 鋪道の花
末黒野の黒のかなしみ言ひ足して 斎藤玄 雁道
末黒野をぐいと曲りて川が合ふ 山田みづえ 手甲
末黒野を巳年の男女消えゆけり 橋閒石 卯
末黒野を抜け来て流れ焦げくさし 能村登四郎
末黒野を踏みやはらかく雨の脚 鷹羽狩行
末黒野来る口笛一つうるほひて 中村草田男
柚子の香や四方風吹く焼野原 加藤秋邨
残りたる末黒の萱のとげ~し 高浜年尾
母の背に匂ふ焼野は暗かりき 橋閒石 雪
湖の魚肥えてゐん末黒見ゆ 右城暮石 句集外 昭和十八年
湿原の寂に末黒を点じたり 上田五千石『琥珀』補遺
火の合ひて末黒つながりゆきにけり 稲畑汀子
焼原の日も暮れてゆく秋の風 臼田亜郎 定本亜浪句集
焼原の横飛ぶ雪の中に病む 西東三鬼
焼原や風真昼なる影法師 飯田蛇笏 山廬集
焼野には小さし火遊びとも思へず 岡本眸
焼野中いつも俯向くひとところ 斎藤玄 雁道
焼野来し川風に乗る渡かな 河東碧梧桐
焼野石熱人をさるごとく冷ゆ 飯田蛇笏 家郷の霧
焼野越す青銅の壺陰を満たし 橋閒石 無刻
焼野駈く誰も奪へぬ純血で 佐藤鬼房
熱灰の焼野日輪直射して 橋本多佳子
現はるる石に末黒の風たかぶり 廣瀬直人
石臼の刻み目末黒の水さそふ 飯島晴子
繞らせる焼野ありけり佛達 藤田湘子 途上
詩の水子焼野の何処に埋めむか 上田五千石『琥珀』補遺
進むべき道を残して末黒かな 鷹羽狩行
道芝のくすぶつて居る焼野かな 河東碧梧桐
鉄橋を渡して大いなる焼野 石田勝彦 百千
降り出して末黒の雨のやみがたく 波多野爽波 鋪道の花
雉子の声あらはに悲し焼野原 政岡子規 焼野
雪がきてひそかになりし焼野かな 大野林火 海門 昭和七年以前
雲は雨こぼさず末黒野の鴉 鷹羽狩行
青きつき末黒の芒記憶せり 岸田稚魚 紅葉山
風葬のまぼろし末黒野の鴉 鷹羽狩行
飛火野のいま末黒野の水迅し 細見綾子
骨肉の骨とは末黒野の芦か 鷹羽狩行
高々と馬車駆り去りし焼野かな 中村汀女
高原の焼野の中の古みちを 高浜年尾
鴉と意かよふ末黒野ともに踏み 鷹羽狩行
鷭のこゑ聞えるはずの末黒かな 岸田稚魚 紅葉山
以上