映画「スマホを落としただけなのに～最終章～ファイナルハッキングゲーム」（中田秀夫、2024）は、同名小説を原作とする「スマホを落としただけなのに」シリーズの第3作目でスマホ映画の集大成で最終章。

過去にスマホというツールをきっかけに巻き起こった事件の余波として、サイバー攻撃、ハッキング、情報管理、プライバシーといった現代社会ならではのテーマも描かれ、サスペンスを盛り上げている。

第1作（2018）から始まったこのシリーズは「スマホを落としただけ」の偶発的・不可抗力な出来事がきっかけで、日常が一変する――という “スマホ ×SNS × 現代の闇” をテーマにしていた。

第2作（2020）でも、その脅威は続き、事件の深さと被害の大きさが描かれた。

本作・最終章は、そうした「個人vs個人」の恐怖から一段引き上げ「国家／社会規模」のサイバー犯罪・テロへと拡大している。

俳優陣が熱演で、とくに日本と韓国を舞台に成田凌演じる浦野善治と千葉雄大演じる加賀谷学との対決が重厚に描かれる。また、本作のヒロインであるチェ・スミン役をアイドルグループIZ*ONEのクォン・ウンビが演じている。

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＜ストーリー概要＞
前作「スマホを落としただけなのに囚われの殺人鬼」のラストで海外へと逃亡した浦野（成田凌）が韓国にいることが分かる。

韓国の反政府組織ムグンファにスカウトされた浦野は、日本で開催される日韓首脳会談へのテロ攻撃を指示されたのだった。

ムグンファは韓国がアジアの中心となることを目指す右翼団体のようで、他国との融和路線を促進する日韓首脳会談に反対の立場だった。

長らく韓国で暗躍してきたキム・ガンフン(大谷亮平）はスミン（クォン・ウンビ）の上司として、スミンを浦野の目付役としてプロジェクトを進めていく。

一方の加賀谷（千葉雄大）は、前作から5年を経て内閣官房サイバーセキュリティ室に出向している。加賀谷は、虐待を受けていた母との和解と死別を経て、妻の美乃里（白石麻衣）に子どもが出来るという人生の転機を迎えていた。

浦野は“友達”だと思っている加賀谷に「バタフライ」という内通者がいることを教え、加賀谷は母に虐待されていたという同じバックグラウンドを持つ浦野の逮捕に執念を燃やしていた。

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サイバーテロ、シリアルキラー、フェミサイド（女性を標的とした殺人）、ジェンダーに基づくヘイトクライム、親子虐待、スマホ乗っ取り、ドローン攻撃、剥製への執着、平和ボケ、SNSなど現代的なテーマをさまざま取り扱っている。

スマホの画面では、新しいゲームの空中に飛び交うミツバチを攻撃するゲームだが、一般市民がこれに参加すると、そのアニメのミツバチは現実にはドローンとなって空中にあふれるように現れる場面となるのが圧巻。

冒頭、北川景子が両手両足を鎖で拘束されて、ぶら下がっているシーンから始まるが、北川景子はその後はほとんど登場しない。1作目を見て2作目が未見なので、つながりがよくわからない（笑）。

＜主な登場人物＞
■浦野善治：成田凌…シリーズを通じた連続殺人鬼。天才的なブラックハッカー。韓国の反政府組織ムグンファにスカウトされ、ソウルに潜伏。
■加賀谷学：千葉雄大…警察の刑事。内閣官房サイバーセキュリティ室に転属。浦野を追い詰め、過去に逮捕にしたが、浦野が脱走、再び彼を追う。
■加賀谷美乃里：白石麻衣…学の妻。事件の被害に遭った過去を持つ。
■キム・ガンフン：大谷亮平…反政府組織ムグンファのナンバー2で計画の作戦本部長。
■スミン：クォン・ウンビ…正体不明の謎の黒髪美女。
■兵頭彰：井浦新…加賀谷とバディを組む刑事。
■窪田逸子：真飛聖…内閣官房サイバーセキュリティ室・室長。
■富田誠：田中圭…被害にあった麻美の夫。
■瀬戸千春：高石あかり…富田が出会ったカフェ店員。
■市原旬：利重剛…内閣総理大臣。
■毒島徹:原田泰造…神奈川県警時代の加賀谷の先輩刑事。