「異世界はスマートフォンとともに。」第31巻ドラマCDボイスドラマ脚本「お父さんありがとうの日」
登場人物
望月冬夜
ユミナ・エルネア・ベルファスト
エルゼ・シルエスカ
リンゼ・シルエスカ
九重八重
スゥシィ・エルネア・オルトリンデ
リーン
ルーシア・レア・レグルス
ヒルデガルド・ミナス・レスティア
桜
琥珀
八雲 ……八重の娘(長女)/十一歳
しっかりものでよく年少組を監督している。修行が大好き。
フレイ ……ヒルダの娘(次女)/十一歳
のんびり屋だが正義感が強い。武器集めが趣味。よく食べる。
クーン ……リーンの娘(三女)/十歳
物怖じしない性格。魔工学が大好きで放っておくとずっと研究している。
ヨシノ ……桜の娘(四女)/九歳
自由奔放な性格。楽器演奏の才能があり、あらゆる楽器を使いこなす。
アーシア ……ルーシアの娘(五女)/八歳
お父さん大好きっ子。料理が趣味でよく母と競い合っている。
エルナ ……エルゼの娘(六女)/七歳
おとなしい性格。優しい性格の持ち主で医療方面に関心がある。
リンネ ……リンゼの娘(七女)/七歳
強気で活動的。なりふり構わず飛び出すお転婆なところがある。
久遠 ……ユミナの息子(長男)/六歳
温厚な性格だが、やるときはとことんやる意志の強さを持っている。
ステフ ……スゥの娘(八女)/五歳
甘え上手で無邪気な末っ子。無鉄砲なところがあるのでそこは注意。
冬夜M 「これは、未来から(注1)子どもたちがやってきたり、邪神の使徒との戦い(注2)に備えたり……と。僕が慌ただしい日々を過ごしていた頃の話」
◇ブリュンヒルド城(夜)
子どもたちがそろって城内を歩いている。
八雲 「ヨシノ、エルナ。なんだか機嫌が良いですね」
琥珀M 「望月家長女、八雲様。未来から来た主と八重様のお子様です。真面目で一生懸命な姫様です」
ヨシノ 「八雲お姉ちゃんにはわかっちゃうんだねー」
琥珀M 「四女、ヨシノ様。主と桜様とのお子様です。歌や演奏をすることが好きな姫様です」
エルナ 「ルーお母さんの新作ケーキを、味見させてもらった、の」
琥珀M 「六女のエルナ様。主とエルゼ様の間のお子様です。エルゼ様とは違っておとなしく、おっとりとした姫様ですね」
リンネ 「えー! いいな! あたしもたべたかったー」
琥珀M 「七女、リンネ様。主とリンゼ様のお子様です。こちらもリンゼ様とは違って元気いっぱいの姫様です。よく、姉妹が入れ替わったようと言われています」
アーシア「リンネ、大丈夫です。私の作ったものもあります!」
琥珀M 「五女のアーシア様。主とルーシア様とのお子様です。お料理が大好きで、お子様たちのなかでも特に主のことが大好きな姫様です」
フレイ 「やった~。アーちゃんのケーキだ~」
琥珀M 「次女、フレイガルド様。主とヒルダ様との間のお子様です。フレイと呼ばれています。のんびりとしながらも、正義感に溢れる姫様です」
クーン 「フレイ姉様、食べすぎには気を付けてくださいね」
琥珀M 「三女、クーン様。主とリーン様とのお子様です。魔工学の分野に詳しく、研究が大好きな姫様です」
八雲 「ところでクーン、今日一日見かけなかったけどどこにいたんですか?」
クーン 「ずっとバビロンで実験をしていました!(どやっ)」
ヨシノ 「あはは、リーンお母様に報告しなきゃいけないね」
ステフ 「むむー、むむむー」
琥珀M 「八女、ステファニア様。主とスゥシィ様との間のお子様です。ステフという愛称で呼ばれています。天真爛漫な姫様です」
久遠 「ステフ、どうかしましたか?」
琥珀M 「長男の久遠様。主とユミナ様とのお子様で、ステフ様の一つ上のお子様です。穏やかな物腰ながら、しっかりとした意思を持つ素晴らしい王子です」
ステフ 「にーさまぁ……。ステフ、とーさまともっと遊びたいのー」
久遠 「それは……ん?(談話スペースで話しているユミナたちを見つけ)
◇冬夜の執務室(夜)
冬夜が執務机に向かっている。その傍らには琥珀の姿。
琥珀 「ふにゃ……はふ(あくび)……」
冬夜 「この書類の山で終わりだ……。あああ、やることが多い……」
琥珀 「王としての務めに、この世界の神としての務め。主はもとより忙しい方ですが、ここ最近はさらに多忙を極めていますからね」
冬夜 「……琥珀も遅くまで付き合ってくれてありがとう」
琥珀 「主のそばにいるのは臣下の務めですから。(足音に気づき)ん?」
SE ドタバタという足音
勢いよく扉が開き、子ども達が部屋に飛び込んでくる。
※みんな一緒に
久遠・八雲「父上!」
エルナ 「お父さん!」
リンネ 「おとーさん!」
ステフ 「とーさま!」
クーン・アーシア・フレイ「お父様!」
ヨシノ 「とうさま!」
冬夜 「え?!」
子どもたち「「「「「「「「明日は、お父さんありがとうの日、だよ!」」」」」」」」」」
冬夜 「え、ええ!?!」
タイトルコール
【異世界はスマートフォンとともに。ドラマCD 5】
冬夜M 「時は少し遡り……」
◇談話スペースのような場所(夜)
ユミナ・エルゼ・リンゼ・八重・スゥ・リーン・ルー・ヒルダ・桜が揃っている。
お茶を飲みながら近況報告。みな冬夜の最近の様子を心配している。
スゥ 「んまーーーっ! このスフレチーズケーキは絶品じゃ!」
桜 「(もぐもぐ)夕食後なのに……食べちゃう」
リンゼ 「はうーっ、罪。罪、です!」
ヒルダ 「そのぶん鍛錬でカロリーを消費すれば良いのです! 鍛錬を……! はむっ、お、おいしい……っ」
八重 「幸せでござるぅ……っ。(溜息)にしても……最近の旦那様は、忙しすぎるでござるな」
エルゼ 「一気にやること増えちゃったもんね。今まで以上にあちこち飛び回ってる」
ルーシア 「お食事もあっさりしたものを好まれる傾向にありますわ。心配です」
ユミナ 「私たちが手伝うといっても出来ることは限られてしまいますし……それに」
エルゼ 「子供たちとゆっくり過ごす時間を取れないのが可哀そうなのよね」
リーン 「私たちはこれから先もダーリンと共にいるけれど、未来から来たあの子たちがダーリンと一緒に居られるのは今だけだもの」
リンゼ 「子どもたちも、みんな寂しがって、います」
八重 「口には出さずとも、八雲は旦那様と少しでも会えるとすごく嬉しそうな表情を浮かべるでござる」
桜 「むー……。王様にもヨシノたちと楽しい時間を過ごしてほしい」
リーン 「(ハッとして)父の日……?」
スゥ 「父の日? なんじゃそれは」
リーン 「地球にはお父さんに感謝を伝える、父の日という文化があるのよ」
ユミナ 「リーンさん! それです!」
ヒルダ 「ふむ。一日だけであれば城下の見回りや政務も私たちでなんとかなるかもしれません」
ルーシア 「決まりですね。冬夜様に父親としてお休みをプレゼントしましょう!」
ユミナ 「父の日……いえ、言うならば『お父さんありがとうの日』ですね!」
八重 「では早速伝えに……って、おや、良いところに」
◇冬夜の執務室(夜)
冬夜と子どもたちが話している。
久遠 「……そうして通りがかった僕たちが一連の話を聞いて父上のところに来たわけです」
冬夜 「なるほど。説明ありがとう、久遠」
琥珀 「お父さんありがとうの日。なかなか粋な計らいですね」
八雲 「明日は丸一日私たちとゆっくりしておいで、とのことです」
冬夜 「ゆっくり……か。でもせっかくだしどこかに行きたいよな」
クーン 「お父様! 私ちょうどこの目で見て採取したい鉱石が!」
冬夜 「却下かな」
クーン 「ええーーーっ」
リンネ 「おとーさん! わたしドラゴン倒しにいきたい!」
エルナ 「リンネ……それだと、ゆっくりにならないよ……」
冬夜 「うーん、身体を動かすのはいいかも……。みんなで日帰りキャンプはどうかな」
リンネ 「やったー!」
ステフ 「キャンプー!」
アーシア 「では私が腕によりをかけてお弁当を作りますわ! お父様の好きなものをいっぱい詰め込んだアーシアスペシャル弁当です!」
フレイ 「わーい。アーちゃんのお弁当楽しみ。いっぱい作ってほしいんだよー」
琥珀 「場所はどこがいいでしょう。ブリュンヒルドの近くですか?」
冬夜 「そうだね。安心できる場所がいい」
八雲 「だとすると、ドラゴン退治というよりも魔獣退治ですね」
フレイ 「魔獣相手に試したい新しい武器があるんだよー」
冬夜 「いやいや。魔獣討伐がメインじゃないから」
ヨシノ 「みんなでのんびりって本当に久しぶりだね。嬉しいなぁ」
エルナ 「楽しみすぎて眠れないかも……」
ステフ 「とーさま! あしたはたくさん楽しみにしててね!」
◇翌朝・ブリュンヒルド城のキッチン
まだ太陽も顔を出していない時間。
アーシアが一人で大量のお弁当を作っている。
SE 料理をする音(カチャカチャとボウルが触れたり、蛇口から水が出たり)
アーシア 「ふふん。腕が鳴りますわ~」
SE 料理をする音(お湯を沸かしたり、包丁が食材を切る音)
アーシア 「お父様の好みは熟知していますもの。絶対に喜んでもらえますわ。あっ、(やや早口で)でもキャンプならいわゆるキャンプ飯とやらにも挑戦したい気持ちも……」
冬夜がキッチンに入ってくる。
冬夜 「あはは。早起きだね」
アーシア 「お父様!? どうして……まだ日も昇っていないのに」
冬夜 「だからだよ。アーシアのことだからきっと一番に起きて準備してるんだろうなって。僕も一緒に作っていいかな?」
アーシア 「え!?」
冬夜 「アーシアほど上手くは作れないかもしれないけど、今日はみんなと一緒に過ごす日だろ? 準備の時間も例外じゃないと思って」
アーシア 「う、嬉しいです! お父様とアーシアのスペシャル弁当ですね!」
冬夜 「よし! じゃあ、何をすればいいか教えてくれる?」
アーシア 「はい!」
SE 料理をする音(カチャカチャとボウルが触れたり、蛇口から水が出たり)
冬夜 「(息)もうすぐ完成だね」
アーシア 「そうですね」
ステフ、リンネ、エルナ、久遠、八重、ヒルダがキッチンに入ってくる。
ステフ 「アーシアねーさまー!」
アーシア 「ステフ!」
ステフ 「ステフたちもお弁当つくりたい!」
冬夜 「たち?」
八重 「これは美味しそうでござる~」
ヒルダ 「見栄えも素晴らしいです。さすがですね」
アーシア 「八重お母様にヒルダお母様まで?」
ヒルダ 「リンネとエルナもいますよ」
八重 「久遠もでござる」
久遠 「父上、おはようございます」
冬夜 「おはよう。にしても、大所帯でどうしたんだ?」
ヒルダ 「ルーさんに頼まれたんです」
アーシア 「え!?」
ヒルダ 「今日の昼食はアーシアに全て任せると言ったものの、心配だったんでしょうね。日頃から鍛錬で早起きをしている私と八重さんに様子を見てきてほしいと、昨晩お願いされました」
アーシア 「大丈夫ですのに……」
八重 「ルー殿ももちろん分かっているでござる。けどやはり、子どものことはいつだって気になるのでござるよ」
エルナ 「アーシアお姉ちゃん、耳が赤いよ」
アーシア 「む~~っ! お母様にはアーシアはお父様と完璧にお弁当を作ったとお伝えください!」
ヒルダ 「あはは。わかりました」
アーシア 「まったく……あっ!!」
ステフ 「おにぎりなら作れるー」
リンネ 「あたしだって! ふわっとするのが大事なんだよ」
アーシア 「リンネ……あなた、おにぎりになにか入れました?」
リンネ 「? えっとー、なんか、いろいろ! ね! ステフ!」
ステフ 「うん!」
アーシア 「……っ! ガクリ、です」
久遠 「あ……」
冬夜 「今日のおにぎりはロシアンルーレットだな……」
SE カメラのシャッターを切る音
◇午前・ブリュンヒルド城前
冬夜・琥珀・久遠・エルナ・リンネ・八雲・ステフ・クーン・アーシア・フレイ・ヨシノがキャンプの準備をして待機している。
ユミナとスゥ、桜が見送りに来ている。
スゥ 「見送りにきたのじゃ~! 忘れ物はないかの?」
冬夜 「うん。大丈夫そうだよ」
ユミナ 「私たちも様子を見に交代でそちらに向かいますね」
桜 「大舟に乗ったつもりで休みを満喫するといい」
冬夜 「うん。ありがとう!」
ユミナ 「みんなも怪我には十分気を付けるように」
八雲 「はい! 何事もないようしっかり見ています」
スゥ 「八雲よ。それは間違っておるぞ。おぬしもしっかり遊んでくるのじゃ」
ユミナ 「それぞれがしっかり気を付けて、全力でお父さんと過ごす一日を楽しんでくださいね。大丈夫ですよ、琥珀もいますから」
琥珀 「にゃ! 責任重大……っ!」
フレイ 「えへへー、たくさん思い出つくってくるんだよー」
冬夜 「よし! じゃあ行こうか! 【ゲート】」
SE ゲートの効果音
冬夜 「いってきまーす!」
子ども達 「「「「「「「「いってきまーす」」」」」」」」
琥珀 「(飛び込む)にゃーっ」
◇ブリュンヒルド郊外
穏やかな野原にやってきた冬夜・琥珀・子供たち
冬夜 「数秒で到着。本当に便利だな」
ヨシノ 「わー、緑がいっぱいでいい眺め! 風の音もすごく気持ちいい」
冬夜 「喜んでもらえてよかった! さて、早速だけどテントを立てたりして拠点を作ろうと思う」
クーン 「待ってました!」
久遠 「クーン姉様? え、ストレージカード?」
クーン 「テントといえば力仕事! 力仕事といえば私が開発した重装型アームドギア『ベオウルフ』の出番です! そして! パーラ(注3)!」
クーンがストレージカードを振るとガシャンという音と共にパーラ(メカでできたポーラ)が出てくる。
クーン 「ベオウルフに加えてパーラがいれば百人力! 敵無しですわ! お父様!」
冬夜 「敵はいないから」
クーン 「言葉の綾です!」
冬夜 「じゃあ、重い物はクーンと僕で……」
フレイ 「はーい。わたしも『パワーライズ』で力仕事を手伝うんだよー」
琥珀 「良いバランスで分担できそうですね」
冬夜 「だね。よし、やるか!」
SE 設営しているガチャガチャとした音
エルナ 「リンネ……! もう少し左だよー」
リンネ 「えー、これでまっすぐだよー」
琥珀 「んん……傾いています」
ステフ 「あ、ちょうちょ~。ヨシノねーさま、みてー」
ヨシノ 「お花の匂いにつられてきたのかなー」
クーン 「あはは! 軽い軽い! 今ならなんだってできます!」
フレイ 「クーンちゃん、絶好調なんだよー」
八雲 「やれやれ」
SE シャッターを切る音
冬夜 「ん?」
ステフ 「とーさま、どうしたの?」
冬夜 「いや……なんでもないよ」
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ拠点
エルゼと桜が様子を見に来る。
エルゼ 「あら、立派なキャンプ地になったじゃない!」
冬夜 「みんなが頑張ってくれたからね」
桜 「これからどうするの? お昼ごはんには少し早い」
冬夜 「せっかくだし魚釣りとか、アウトドアがしたいんだけど」
リンネ 「(遮るように)エルゼおかーさんがいるなら魔獣討伐したい!」
八雲 「食事前の運動には最適ですね」
冬夜 「うーん、エルゼ。どうする?」
エルゼ 「このあたりの魔獣なら大丈夫でしょ。私がついてるわよ」
桜 「私はここで待ってる。のんびりしたい子もいるだろうし。王さまは魚釣り。いってらっしゃい」
冬夜 「じゃあ、正午になったら集合でいいかな?」
全員 「「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」
◇ブリュンヒルド郊外・森の中
エルゼ・リンネ・八雲・フレイが魔獣を倒している。
八雲 「九重神鳴流奥義! 紫電一閃!」
SE 魔獣の肉が斬れる
エルゼ 「ひゅー! まっぷたつ! 見事な太刀筋ね」
八雲 「鍛えられていますので、このくらいできて当たり前です」
フレイ 「八雲お姉ちゃんさすがなんだよー、私はどの武器で遊ぼうかなー」
八雲 「またいろいろ出して……(リンネを見て)あっ、リンネ!」
リンネ 「いっくよー! りゅうせいきゃくーーっ!」
SE 魔獣の角が粉砕される
フレイ 「あー。角が砕けちゃった。もったいないんだよー」
エルゼ 「リンネは張り切りすぎね」
リンネ 「えへへ……失敗失敗。ね! エルゼおかーさん! ブースト見たい!」
エルゼ 「え!? (満更でもなく)もう、しょうがないわね……いくわよ!【ブースト】!」
SE 魔獣の腹にエルゼのパンチがクリーンヒット
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地
桜・アーシア・ステフが昼ご飯の支度をしている。
アーシア 「(鼻歌)~♪」
ステフ 「(アーシアの鼻歌に便乗して)~♪」
桜 「おいしそう。これはスープ?」
アーシア 「はい。お弁当も用意してますが、温かい食事もあったほうが嬉しいかなと」
桜 「アーシアはみんなのためを思える子。いい子」
ステフ 「ステフはー?」
桜 「元気いっぱいでみんなを笑顔にできる子。いい子」
ステフ 「桜かーさまもお歌でみんなを笑顔にするよ」
桜 「じゃあ、私もいい……おかーさん?」
ステフ 「うん!」
◇ブリュンヒルド郊外・湖
冬夜・琥珀・久遠・クーン・エルナ・ヨシノが魚釣りをしている。
冬夜 「意外だったな。クーンは討伐に行くかと思ってた」
クーン 「研究者には時に忍耐力が必要なものですから」
琥珀 「なるほど。訓練も兼ねているわけですね」
ヨシノ 「でも、クーンねーさまもう飽きてるよね?」
クーン 「ぐっ……!」
琥珀 「片や、エルナ様は随分落ち着いていますね」
エルナ 「うん……。こういう時間、好き、なんだ。お魚もかわいいし」
冬夜 「釣りっていうのは時間を楽しむものだからな」
ヨシノ 「むむー、奥深いねー」
冬夜 「久遠の調子はどう?」
久遠 「ぼちぼちといったところです」
冬夜 「……ねえ、久遠」
久遠 「なんですか?」
冬夜 「こっそり写真を撮ってるのは久遠かな?」
久遠 「……気づいていましたか」
エルナ 「写真?」
冬夜 「なにか理由でもあるの?」
久遠 「今日という日の思い出をたくさん残しておきたくて。僕たちは、いつか未来に帰ってしまいますから」
冬夜 「……そっか」
久遠 「未来の父上たちに話をする際、写真があったほうが良いでしょう?」
冬夜 「それは確かにそうだ。でも、少しだけ間違ってる。ね、みんな」
久遠 「え?」
ヨシノ 「水臭いんだよ」
エルナ 「思い出を残すなら、久遠もちゃんと映らないと」
SE カメラのシャッター音
クーン 「そういうことよ」
冬夜 「久遠だって僕の大切な息子だ。だから、久遠の写真がないと寂しいよ」
琥珀 「きっと未来の主たちも同じことを考えます」
久遠 「……はい(照れくさそうに)」
冬夜 「よし、じゃあ早速みんなに連絡するか!」
久遠 「え?」
冬夜 「写真をたくさん撮ろうって!」
◇ブリュンヒルド郊外・森の中
冬夜からの電話に出るエルゼ
エルゼ 「オッケー! そういうことなら任せて!」
SE カメラのシャッター音
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地
冬夜からの電話に出る桜
桜 「わかった。久遠もいい子。みんないい子だね、王さま」
SE カメラのシャッター音
◇ブリュンヒルド城・執務室
冬夜の電話に出るユミナ
ユミナ 「久遠がそんなことを!? なんて、なんて素晴らしい子なのでしょう……! 可愛らしく聡明で気高くありながら思いやりに溢れている。親の顔が見てみたいです! ハッ、私でした……!」
冬夜 「ユミナ、落ち着いて」
ユミナ 「ゴホン。分かりました。今日はみんなでたくさん写真を撮りましょう。今日という日を鮮明に思い出せるように」
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地(正午)
冬夜・琥珀・子供たちでお昼ごはんを食べる。
アーシアのつくったお弁当を囲んで、冬夜が自撮りの姿勢を取っている。
ステフ 「とーさま。もっと右! そこー! はい、ちーず!」
SE カメラのシャッター音
ステフ 「そして! いただきまーす!」
冬夜・琥珀・久遠・エルナ・リンネ・八雲・クーン・アーシア・フレイ・ヨシノ
「「「「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」」」」
アーシア 「お父様! ぜひこの唐揚げを召し上がってください!」
冬夜 「ありがとう。じゃあ、アーシアにはこの玉子焼きを。僕がつくったやつだから、少し不格好だけど」
アーシア 「う、嬉しいです~っ!」
フレイ 「アーちゃんのご飯おいしいんだよー、もぐもぐ、もぐもぐ」
琥珀 「にゃ……フレイ様の胃袋にどんどん吸い込まれていきます」
八雲 「落ち着いて食べなさい。喉に詰まりますよ」
フレイ 「だっておいしいんだよー。(激辛おにぎりを食べ)むぐっ!? 辛っ!?」
エルナ 「! それは……」
リンネ 「あたしのつくったおにぎりだー! おいしい?」
ヨシノ 「フレイねーさまの顔が真っ赤になったり真っ青になったり……」
エルナ 「リンネがご飯を作ると、お母さんと一緒で全部辛くなっちゃう、から」
フレイ 「うぅ~、お水お水……」
SE カメラのシャッター音
クーン 「フレイお姉様、良い写真が撮れましたよ」
ヨシノ 「わー、クーンねーさま悪い顔……」
八雲 「まったく、誰に似たのやら」
フレイ 「ひどいんだよ~」
アーシア 「……みんなして、はしゃぎすぎです」
冬夜 「あはは。いいじゃないか、平和で」
リンネ 「おとーさん! おとーさんもおにぎり食べて!」
冬夜 「ぅえっ!??!」
アーシア 「リンネ……それは……」
リンネ 「えー、だめ? アーシアおねーちゃんのばっかりでずるい!」
冬夜 「うっ」
久遠 「父上……腹をくくるしかないかと」
冬夜 「い、いただきます……っ! か、から~~~~っ!!!」
琥珀 「主。ナイスファイトです」
リンネ 「はい、じゃあ久遠も!」
久遠 「え……!? う……(意を決し)か、から~~~~~っ!!!」
琥珀 「若様。ナイスファイトです」
リンネ 「琥珀も~」
琥珀 「か、からーーーーーーーーーーーーーっ」
冬夜 「おいしかったよ……な、久遠」
久遠 「はい……」
エルナ 「お父さん、久遠。胃薬、あげる」
冬夜 「ありがとう……エルナ……」
琥珀 「わ、わたしにも……胃薬を……」
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地(昼)
お昼ごはんを食べ終わった一同。
ルーシア・リンゼ・スゥ・ユミナ・リーンが合流する。
ルーシア 「さて、冬夜さま。午後は何をしますの?」
冬夜 「そうだな……」
フレイ 「(咳払いをしてから)お父様はのんびりするのがいいと思うんだよー。ねー、八雲お姉ちゃん」
八雲 「私たちもしばらくこのあたりでのんびりしていますし、父上もリフレッシュに散歩などされてはいかがでしょうか」
フレイ 「うんうん。ぜったいにそれがいいんだよー」
冬夜 「いや、でも」
ユミナ 「子供たちにこう言われたら休まないわけにはいきませんね」
冬夜 「え」
リーン 「さ、ダーリン。あっちに眺めのいい場所があるのよ。八雲、お願い」
八雲 「【ゲート】! いってらっしゃいませ!」
SE ゲートの起動音
ユミナ 「さあさあ、参りましょう。さあさあさあ」
冬夜 「ちょ、ちょっと待って。えーーー……?」
ユミナとリーンに引きずられてゲートの中に消えていく冬夜を見守る一同
リンゼ 「少し強引でしたが、作戦スタート、です!」
フレイ 「ふー……。緊張したんだよー」
ヨシノ 「フレイねーさま、良いお芝居だった」
八雲 「それでは各自じゃんけんで決めたチームに分かれて! タイムリミットは一時間。母様たちもよろしくお願いします!」
スゥ 「任せるのじゃ。わらわはプレゼントチーム。リンゼが飾り付けチーム。ルーシアがケーキを作るチームじゃな」
八雲 「はい! みんなで父上を驚かせましょう!」
SE カメラのシャッター音
◇ブリュンヒルド郊外・森の中
冬夜・ユミナ・リーンがゲートから出てきたところ。
冬夜 「な、なんだったんだ……!?」
ユミナ 「ふふ。さあ、デートといきましょうか」
冬夜 「は?」
リーン 「ダーリンったら最近忙しくて構ってくれないんだもの」
ユミナ 「子供たちも寂しがっていましたが、私たちも寂しかったんですよ」
冬夜 「そっか、ごめんね」
ユミナ 「謝らないでください。冬夜さんが頑張っているのは知ってますから。でも、今は甘えちゃいます!」
冬夜 「じゃあ、僕もお言葉に甘えてのんびりしようかな」
リーン 「ふふ、役得ね」
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地
飾り付けチーム(リンゼ・八雲・アーシア・ヨシノ)がキャンプ地を飾っている。
リンゼ 「頼まれていた飾り、こんなかんじでよかったかな」
ヨシノ 「すっごくかわいい! さすがリンゼかあさま!」
アーシア 「布でできているので、緑豊かなこの風景とよく馴染みますね」
八雲 「これはランタンですか……?」
リンゼ 「ハギレが余ったから作ってみたの。優しい光が、サプライズにぴったりかなって」
ヨシノ 「魔法の光……? あったかくて、心がゆるゆるになるね。とうさまもきっと喜んでくれる」
八雲 「たくさんありがとうございます! 早速飾りましょう!」
ヨシノ 「任せて! 【テレポート】で一気に飾っちゃう。【テレポート】」
八雲 「ヨ、ヨシノ!? 待ちなさい!」
アーシア 「……」
リンゼ 「アーシア?」
アーシア 「本当は飾り付けチームじゃなくてケーキチームが良かったんですが……」
リンゼ 「……うん」
アーシア 「お父様の喜ぶ顔が見たい気持ちは変わりません」
リンゼ 「そうだね」
アーシア 「私も負けてられませんわっ! 八雲お姉様、この紐を結ぶのを手伝ってください!」
ヨシノ 「八雲ねえさま、こっちもー」
八雲 「ああ、わかった! 順番! 順番にやるから!」
リンゼ 「ふふ。あったかい光景、です」
SE カメラのシャッター音
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地
プレゼント班(スゥシィ・久遠・クーン・リンネ・琥珀)が作業をしている。
スゥ 「久遠、リンネ、クーン。プレゼントは何にするのじゃ?」
久遠 「悩んだのですが、チケットにしようかと」
琥珀 「チケット?」
リンネ 「かたもみ券! みたいなやつ!」
スゥ 「ほう! それはいいのう。冬夜もきっと喜ぶぞ」
クーン 「本当はもっとがっつりと開発したかったのだけど……」
久遠 「なにぶん昨日の今日だったものですから」
スゥ 「良いのじゃ。こういうものは気持ちじゃからな」
リンネ 「でもね、とっておきなんだよ!」
スゥ 「ほう?」
久遠 「はい、実は……ごにょごにょ」
スゥ 「ふむふむ……ふむふむ……なんと!」
クーン 「なかなかのものでしょう?」
スゥ 「うむ! 母親として鼻が高いのじゃ!」
琥珀 「素晴らしい思い出になるかと」
久遠・クーン・リンネ「「「(照れ笑い)」」」
スゥ 「あ! そのまま! そのままじゃ!」
琥珀 「にゃ?」
SE カメラのシャッター音
スゥ 「うむ! 三人の可愛い顔をばっちり写真に収めたぞ! もちろん、琥珀もじゃ! ぶいっ(ピースサインをきめる)」
SE カメラのシャッター音
スゥ 「ほえ?」
久遠 「お返しです。スゥ母様」
スゥ 「……ふっ(噴き出す)あはは! やるのう!(笑い終えて)よーし、作業開始じゃ!」
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地
ケーキ班(ルーシア・ステフ・フレイ・エルナ)がミニロールケーキを重ねて盛りつけ
ている。
エルナ 「小さいロールケーキがいっぱい! ルーお母さんが全部つくったの?」
ルーシア 「はい。これを大きなお皿に盛り付けていきましょう。果物やクリームも用意してますわ」
ステフ 「きらきらでおいしそう! ぱくっ! うまー!!」
フレイ 「あー! ステフがつまみ食いしたんだよー」
ルーシア 「たくさん作ったのでひとつやふたつなら大丈夫ですわ。はい、フレイもどうぞ」
フレイ 「はむっ。お、おいしすぎるんだよ~」
ルーシア 「はい、エルナも」
エルナ 「あ、ありがとう! もぐ……。おいしいっ!」
ルーシア 「よかったです。みんなにお願いされたので張り切ってしまいましたわ」
エルナ 「早くお父さんに食べてほしいな。絶対に喜んでくれるよ」
ステフ 「うでがなるー! はやくもりもりにしたい!」
フレイ 「クリームたくさんがいいんだよー。とろふわで幸せなんだー」
エルナ 「ふふ。目標はみんなが幸せな気持ちになるケーキ、だね!」
ステフ 「えいえいおー!」
フレイ・エルナ 「「おー!」」
ルーシア 「ふふ。あ! ちゃんと写真に残しておかないとですわ」
SE カメラのシャッター音
◇ブリュンヒルド郊外・森のなか
冬夜・ユミナ・リーンが歩いている
ユミナ 「こうやって森の中を歩いていると、出会ったばかりの頃……冬夜さんが冒険者だった頃を思い出します」
冬夜 「懐かしいな。クエストを受けて魔獣を倒して素材を集めて……」
リーン 「それが今や一国一城の主だもの」
ユミナ 「加えて、神様です」
冬夜 「あはは……。(苦笑い)」
リーン 「『父の日』はこんなかんじで合ってるかしら?」
冬夜 「! リーンの提案だったのか」
リーン 「地球にはそういう日があるってみんなに伝えただけよ」
ユミナ 「子どもたちも乗り気でしたし。もちろん、私たちも」
冬夜 「ありがとう。びっくりはしたけど、やっぱり嬉しいよ。ただ『父の日』っていうのはまだ少しくすぐったいかな」
リーン 「だからこそ『お父さんありがとうの日』なのよ。『父の日』はあの子たちが生まれてから、また……ね」
冬夜 「そうだね。せっかくだし『母の日』もやりたいな」
ユミナ 「ふふ。未来が楽しみですね」
リーン 「そろそろ、かしら」
ユミナ 「はい。頃合いかと」
冬夜 「?」
ユミナ 「ささ、冬夜さん。【ゲート】を開いてください。移動先はブリュンヒルド城です」
冬夜 「えぇ!?」
冬夜 「ど、どういうこと?」
リーン 「ダーリン、四の五の言わないの。早く」
冬夜 「わ、分かったよ! 【ゲート】!」
◇ブリュンヒルド郊外・キャンプ地
子どもたちと琥珀が冬夜を待っている。
冬夜M 「ユミナとリーンに言われるがまま二人を送り届けた。そうしたら『じゃあこのあとすぐキャンプ地に戻ってくださいね』と言われて、何が何やら。でも、子どもたちと一緒に過ごせる時間を無駄にしたくはない。だから、すぐに【ゲート】を開いたんだけど」
SE クラッカーの音
※みんな一緒に
久遠・八雲「父上!」
エルナ 「お父さん!」
リンネ 「おとーさん!」
ステフ 「とーさま!」
クーン・アーシア・フレイ「お父様!」
ヨシノ 「とうさま!」
子どもたち「「「「「「「「「いつもありがとう!」」」」」」」」」
冬夜 「……へ?」
SE カメラのシャッター音
フレイ 「びっくりお父様の写真、撮ったりー! だよー」
冬夜 「ど、どういうこと……?」
八雲 「サプライズ、です。今日は『お父さんありがとうの日』ですので」
冬夜 「テントの飾りにランタンの飾り……。それにロールケーキの山……。これをみんなで?」
ステフ 「みんなでがんばったのー!」
アーシア 「お母様たちの力も借りましたが……」
ヨシノ 「とうさま、どうかな?」
冬夜 「……うれしい」
リンネ 「もっと大きな声でー!」
冬夜 「嬉しいよ。すっごく!」
エルナ 「えへへ。喜んでもらえて、私たちも嬉しい」
冬夜 「ありがとう! みんな!」
クーン 「ちっちっち(人差し指を横に振って)まだ、ありますのよ」
久遠 「父上、僕たちからのプレゼントです」
冬夜 「便せん……? 手紙……かな?」
ステフ 「あけてみてーっ」
SE 封を切る音
冬夜 「カード……?」
フレイ 「読んで! なんて書いてあるか、読んでほしいんだよー!」
冬夜 「えっと……『また一緒に『お父さんありがとうの日』を過ごす券』?」
八雲 「私たちはこの世界が平和になったら元いた未来に帰らなければなりません。でも、この世界で私たちはこれから生を受けます」
久遠 「その時、このチケットを使ってください。未来の僕たちとまた一緒に『お父さんありがとうの日』を過ごしてください」
冬夜 「……っ」
エルナ 「有効期限は無期限で、何回でも使えるの」
リンネ 「だから、いーっぱい一緒に遊べるよ!」
ヨシノ 「みんなで考えたの。今日だけじゃもったいないねって」
クーン 「なら、増やせばいいのよ。だって」
アーシア 「私たちはお父様が大好きですから!」
冬夜 「……っ! ありがとう。なによりも嬉しいプレゼントだよ」
琥珀 「主……泣いていますか……!?」
冬夜 「……泣いてないよ!」
クーン 「泣いてもよかったのに」
フレイ 「ねー、ちょっぴり見たかったんだよー」
冬夜 「(ごまかし)さ、みんな! せっかくだしケーキを食べよう! そのあとは日が暮れるまでたっぷり遊ぶぞー!」
ステフ 「わーい! ケーキ! ステフ、とーさまの横で食べる!」
アーシア 「ちょ! ずるいですわ!」
八雲 「やれやれ。ケーキも父上も逃げないのに」
みんなの笑い声など重ねてフェードアウト……。
※以下、粒立ちセリフ案
リンネ 「どのロールケーキがおいしいかな?」
エルナ 「いちごのやつ、おいしかったよ」
フレイ 「たくさん食べたいけどお父様のケーキなんだよ~」
ヨシノ 「出遅れた……。わたしもとうさまの隣がいい!」
久遠 「改めて見ると、すごいボリュームですね」
ステフ 「これとー、これと。あと、これも!」
八雲 「ステフ! 少しずつ食べなさい!」
アーシア 「むむ……。お母様、さすがです」
クーン 「うーん、やっぱり別腹ね!」
冬夜 「ん! すっごくおいしい!」
琥珀 「にゃ、にゃふー……とろけます……」
など……。
SE カメラのシャッター音が何度も響く
◇ブリュンヒルド城(夜)
日帰りキャンプから帰ってきた冬夜。ソファに倒れ込む。
子どもたちはそれぞれ寝室に向かって寝ている。
冬夜 「くあー、いっぱい遊んだなぁ。ふっ、ふああ……」
琥珀 「主、お休みになるなら寝台に」
冬夜 「うん、わかってる。大丈夫……」
冬夜、スマホを起動して今日の写真を見る。
冬夜 「ふふ、いい写真ばかりだ……。八雲、フレイ、クーン、ヨシノ、アーシア、エルナ、リンネ、久遠、ステフ……みんな、すごくかわい……い……。すーすー(寝てしまう)」
琥珀 「やれやれ、奥方様たちを呼んできますか。にゃふ(あくび)」
ユミナ、エルゼ、リンゼ、八重、スゥ、リーン、ルーシア、桜、ヒルダが
琥珀に呼ばれて冬夜の様子を見に来る。
SE ドアの開閉音
ユミナ 「ふふ。琥珀が教えてくれたとおり、よく寝ていますね」
八重 「まったく、子どもたちと同じでござるな」
ヒルダ 「みんな、帰ってきてすぐに寝てしまいましたからね。よほど楽しかったのでしょう」
スゥ 「……今の冬夜になら悪戯しても許されそうじゃな」
桜 「落書きでもする……?」
リーン 「いいわね。威厳を出すために髭とかどうかしら」
ルーシア 「逆に父親としての威厳が無くなってしまいそうですわね」
リンゼ 「あ、あはは……(苦笑い)」
エルゼ 「ま、とにかく『お父さんありがとうの日』大成功ってところね」
SE カメラのシャッター音
ユミナ 「ええ。(微笑みながら)次の『お父さんありがとうの日』が楽しみですね」
【おしまい】
■注釈
注1 未来から子どもたちがやってきた
……次元震というものの影響で、未来(およそ十一年後)から子どもたちがやってきています。
注2 邪神の使徒との戦い
……冬夜たちが戦っている相手。
注3 パーラ
……クーンが作ったメカ製のパーラ。普段は【ストレージ】を付与したカードのなかにしまわれている。