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2019年11月3日 15:34
[映画.com ニュース] 第32回東京国際映画祭で特別功労賞を受賞した大林宣彦監督の作品「野ゆき山ゆき海べゆき」が11月3日、TOHOシネマズ六本木でフィルム上映された。Q&Aでは大林監督の登壇が予定されていたが、体調悪化により急きょ欠席に。MCを務める安藤紘平氏が、この日の朝に大林監督と電話で話した内容を語った。
通常はフィルム上映を行えないTOHOシネマズのスクリーンだが、この日は客席最後部に特別に映写機を設置しての上映となった。安藤氏が事前に、大林監督に「映写機を客席に置くと、カタカタという音が入り込んでしまうが、問題ないか」と確認を取ったところ、「この映画は『作り物』。登場人物は朗読のようにしゃべり、会話の途中で突然、『持ち歌』を歌い出したりする。映写機の音が入り込むのも、『これはリアルではない』ことを示す良い試みになると思う」と快諾を得たことを報告した。
そして、偶然にも観客として来場していた今作の森岡道夫プロデューサーが、安藤監督の呼びかけに応じて登壇し、撮影当時を述懐。本作には子役を大勢登場させるため、撮影は夏休みに敢行し、子どもたちを1カ月預かる責任として宿泊先のホテルに家庭教師を呼び、毎日勉強の時間を作ったことを振り返っていた。
また安藤氏が、脚本を自分で書き換えることで有名な大林監督が、山田信夫脚本の今作ではほとんどそのまま使ったことを聞くと、森岡氏はそれを肯定。「ただし、クライマックスでお昌ちゃんと青年がふたりでボートに乗っていることを、前後の展開から総太郎は知らないはずなのに、知っていることになっているんです。ト書きには『総太郎は愛の力でふたりが同じボートに乗っていることを知る』と書かれていて、これは脚本の書き方としてルール違反なんですけど(笑)、大林監督は『これをどのように見せるかが腕の見せどころだ』と面白がっていましたね」と製作秘話を明かした。
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