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2018年10月11日 05:00
[映画.com ニュース] 大分県を舞台に理学療法士の青年が成長していく姿を描いた映画「栞」の完成披露舞台挨拶が10月10日、東京・新宿バルト9で行われ、主演の三浦貴大をはじめ、共演した阿部進之介、白石聖、池端レイナ、メガホンをとった榊原有佑監督が登壇した。
本作の主人公は、理学療法士として献身的に患者をサポートする青年・高野雅哉(三浦)。ある日、勤務先の病院に疎遠になっていた父・稔(鶴見辰吾)が入院してくる。徐々に弱っていく父の姿を目の当たりにし、また担当患者の病状が悪化するなど、雅哉は無力感に苛まれる。しかし、ラグビーの試合でケガをした患者(阿部)を新たに担当することになり、雅哉はその懸命な姿に心を動かされ、仕事への情熱を取り戻していく。
舞台挨拶を迎えた思いを、三浦は「監督が作品にかけた思いが伝わるように、丁寧に大切に芝居をしました」と真摯な眼差しで明かした。大学ではスポーツ健康科学部に所属していた三浦は、理学療法士の友人がいたそうで「友人にも話を聞きながらこの作品に臨みました。本当に強い気持ちをもって仕事をしている方が多くて、中途半端なことはできないなと思った」と熱弁。リハビリに取り組む患者を演じた阿部は「患者の方や理学療法士の方が見られるときに、敬意をもって演じていることが伝わればと思いました」と語った。
自身も理学療法士の経歴を持つ榊原監督は「学生の頃に『患者さんと密にコミュニケーションをとる、責任のある仕事だな』って感じて。仕事を始めると、患者さん、医療従事者のすさまじい葛藤を知りました」と説明。「この映画にも自分が体験したエピソードを入れました。病院の外に出ない、普通に暮らしていたら知る由もない話なので。高齢化社会を見据えた医療費削減の動きも受けて、医療行為を必要としている人がいる現状を知ってくれよ、と思った。それを伝える手段として映像を選びました」と心情を吐露した。さらに「リアリティをもって演出するため、なるべくドラマチックにならないようにこだわりました。昨日も今日も明日も、日本のどこかで実際に起きていることなんだ、と考えてもらえれば」とメッセージを託した。
過去に三浦と共演経験のある阿部は「三浦くんは真面目で、自分で解決しようとする男らしさがあります。今回の役にぴったり」と最敬礼。照れ笑いを浮かべた三浦は「僕も阿部さんとまた一緒にできて、本当に嬉しくて。阿部さんは僕の芝居の基盤だと思っています」と負けていない。阿部が「お金渡して(褒めてもらって)ますからね、これ」とふざけると、三浦も「1回2000円もらってるんですけど」と悪ノリし、会場を笑わせた。
1年以上前に行われた撮影について、雅哉の妹役を務めた白石は「お芝居のことは何も分からない頃の撮影だったので、今見返してみると反省点が多いんですが、その時の私にしかできないものが嘘なく描かれています」と振り返った。「撮影現場の雰囲気は?」という質問には「落ち着く現場でした。三浦さんも榊原監督も寡黙だけど芯があたたかい方で。三浦さんは『お兄ちゃん』だったので」とニッコリ。三浦は「お兄ちゃんだったよね」と優しく語りかけ、会場は和やかな雰囲気に包まれた。
「栞」は10月26日から、新宿バルト9ほか全国で公開される。
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