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2017年12月23日 21:56
[映画.com ニュース]佐伯一麦氏の小説を映画化した「二十六夜待ち」が12月23日、東京・テアトル新宿で封切られ、ダブル主演の井浦新と黒川芽以、メガホンをとった越川道夫監督が舞台挨拶に出席した。
第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門出品作。震災で傷ついた男女の孤独と愛を描くR-18の大人のラブストーリーで、井浦と黒川の20分に及ぶ大胆な濡れ場が話題となった。記憶を失った飲み屋の店主・杉谷に扮した井浦は、「少人数で撮った今作が公開を迎え、僕たちのもとから旅立っていくことができて、劇場にも感謝していますし、駆けつけてくださった皆さまにも本当に感謝しています」と、穏やかだが熱意のこもった口調で謝辞を述べた。
杉谷と心と体を寄り添わせるヒロイン・由実役の黒川は、「20代最後の作品で、気合いが入っていた」と明かす。20代最後は「自分のなかで集中できる作品をやりたい」と決めていたそうで、「(オファーを受け)難しくもやりがいのある役で、率直に嬉しいと思った。集中できる作品をやり、悔いなく20代を終えられると思いました」と充実感をにじませた。
さらに前作「海辺と生と死」も同館で初日を迎えた越川監督は、観客約200人の拍手を浴びると「満席のお客さんに恵まれるとは、嬉しいです」とニッコリ。主演の2人とは固い絆で結ばれているようで、「井浦さんとは奥原浩志監督の『青い車』で出会ってから、ほぼ20年弱くらいになります。黒川さんとは僕が配給・宣伝をしていた時、15歳か16歳のころに出会い、その後『ドライブイン蒲生』などで仕事をしました」と振り返り、「そういう2人と、こうやって自分が撮った映画で舞台挨拶を迎えられたことが信じられないし、嬉しいです」と表情をほころばせていた。
続けて「新さんは最も信頼している人」と切り出した越川監督。「主演から何でもない役、特異な役まで、本当にいろんな役を新さんと一緒にやってきた」といい、「この10何年の新さんの役者としての変化を、ある程度は横で見てきたと思っています」と思いを馳せた。
そんな言葉を受け、井浦は越川監督への感謝の念をほとばしらせる。「自分がデビューして数年経ったころ、『役者を目指してこの世界に入ってきていない……』という気持ちが強くなってしまった。何本か出演してから数年、芝居から身を引いた時期があります」と告白し、「そこからまた引っ張り出してくれたのが越川さん。『青い車』の時ですね」と語る。越川監督は「どこの事務所にいるかわからなかった。探したら、知り合いの事務所にいた」と説明し、井浦は「本当に消えたくなって(笑)。今作の撮影監督の山崎(裕)さんは、僕のデビュー作『ワンダフルライフ』で撮影監督をされていた。この越川組は、自分の出発を見届けてくれていた方たちがいて、何10年も経ってご一緒させてもらえる、だからこそできたお芝居もあったと感じています」と万感の思いを述べていた。
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