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2017年9月29日 15:00
[映画.com ニュース]トラン・アン・ユン監督が「ノルウェイの森」以来6年ぶりに手がけた監督作「エタニティ 永遠の花たちへ」が9月30日公開される。19世紀末のフランスを舞台に、オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョという豪華女優陣を主演に迎え、運命に翻弄されながらも世代を超えて命をつないでいく上流階級の大家族の女性たちの姿を描いたドラマだ。
アリス・フェルネの小説「未亡人の優雅さ」が原作だ。幼い頃に戦争のために故郷のベトナムを離れることを余儀なくされたトラン監督が、自身で経験したことのない大家族の絆というテーマに強くひかれたそうだ。「大家族は豊かなものだと思うのです。毎日いろんな人の個性に出会い、いろんな心理が展開するということ。豊かさや強さを象徴すると思うのです。私自身は両親と弟しかおらず、そういった小さな家族にもろさを感じていたので、大家族の強さにあこがれます。ヒューマニティと尊敬のある人間関係をこの映画で伝えたい」と語る。
若者同士の恋愛、夫婦愛、母性、家族愛……と女性たちが持つ様々な愛情が美しい映像で絵巻の様に紡がれていく。撮影監督は、「夏至」「ノルウェイの森」でタッグを組み、ウォン・カーウァイ、ホウ・シャオシェン監督作でも知られる名カメラマンのリー・ピンビンだ。「正しい画をとれ、共通言語を持っている人。人間として彼のことが好きなんです。『ノルウェイの森』のときに、迷いを覚え、彼の肩で泣いて回復することもありました。私の兄のような存在です。とても才能のあるカメラマンで、少ない言葉で通じ合える人。私は俳優の望む位置をざっくりと考え、あとはすべて彼に任せています。私は彼らに一定の枠を与えるだけで、私のチームには自由があるのです」
今作で始めてフランスを舞台にした。その理由を問うと、「私はあまり意志がない人間です。テーマが私を選ぶのです。舞台はフランスでも、ベトナムでも、日本でもどこでも良いのです。出合って感動したもので、映画の表現形式で面白いことが出来そうだと思えたものを題材にします」という。
そして、「映画の美は、映される対象に正しく合致するときに感じられるものです。物語に合っている、登場人物の心理に合っている、あるいは画面上で起こっていることに合っている、そういう一致感がある時です」と述べ、「私の美学的な視点は、自然主義、現実主義ではありません。私が撮りたい映画は、日々の生活ではなく、自分が求める表現です。ですから、舞台はどこでもかまわないのです。日常のイミテーションを画面に映したいのではない。むしろ、現実と映画とのギャップを感じてほしいのです。私が求めるのは日常の真実ではなく、芸術の真実なのです」と自身の哲学を語った。
「エタニティ 永遠の花たちへ」9月30日から銀座シネスイッチほかで公開。
(C)Nord-Ouest
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