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2012年6月2日 16:30
[映画.com ニュース] 現在、日本の参加の是非が問われている、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についての知識を深めることを目的とした映画祭「IMAGINE after TPP ~未来について、映画を通して一緒に考えよう、わたしたちの暮らし~ TPP映画祭」が6月1日、渋谷・アップリンクファクトリーで開幕。プレミア上映された「モンサントの不自然な食べもの」のマリー=モニク・ロバン監督が来日し、ティーチインを行った。
あらゆる種子会社の買収を繰り返し、遺伝子組み換え作物の世界シェア90%を誇る米国に本社を置くグローバル企業「モンサント社」の実態を追及するドキュメンタリー。「カネミ油症事件」で知られるPCB、枯れ葉剤、牛成長ホルモン、除草剤ラウンドアップ、遺伝子組み換え作物を開発してきた同社によってもたらされた人体、環境、小規模農家への深刻な影響を映し出す。
農業、環境問題、人権問題を専門とするジャーナリストでもあるロバン監督は、世界中を取材する中でモンサント社の存在を知り、インターネットで同社についての記事を多数見つけたことから本作を製作した。2008年にフランスで遺伝子組み換え作物の栽培の可否が議論される中、国会で本作が上映され否決されたという。
ロバン監督は、「環境に対して被害を与える企業のトップに刑事的責任を追及する法律が作られるべき」と主張。そして、消費者ひとりひとりができることとして、「討論する場を作ったり、有機農業を励ますような行動をとるべき」と観客に呼びかけた。日本のTPP参加については「慎重になってください。同じようなものでNAFTA(北米自由貿易協定)があります。“自由”という言葉はまやかしで、自由貿易という名の下に大企業が小さな農家を追いやって、大規模な農業形態を世界中に広げようという意図の下に作られたのです」と持論を述べた。
ティーチイン参加者からは、「モンサント社の社員は遺伝子組み換えの食物を食べているのだろうか」という質問が寄せられた。ロバン監督は、同社で牛成長ホルモンを市場に送り出した人物が、退職後に2人の子どもをもうけたと知り「娘さんにどんな牛乳を飲ませていますか」と尋ねるメールを送ったというエピソードを紹介。「オーガニックミルクと返ってきました。そのメールは保存してあります」と明かした。
「TPP映画祭」ではマイケル・ムーア監督「シッコ」、ロバート・ケナー監督「フード・インク」ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ監督「幸せの経済学」など6作品を上映する。5日まで。「モンサントの不自然な食べもの」は9月公開。
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