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恋脳Experiment

劇場公開日:

恋脳Experiment

解説・あらすじ

幼少期から思春期を経て大人になるまでのひとりの女性の恋愛経験を通し、人生で直面するさまざまな“呪い”をコミカルかつ辛らつに描いたドラマ。

子どもの頃からおままごとや絵本に囲まれ、素敵な異性との出会いに憧れてきた山田仕草。中学生になった彼女は「恋をするとかわいくなれる」という噂を聞き、同じ塾の男子に告白して付きあうことになるが、その先には思いがけない展開が待ち受けていた。その後もさまざまな男性との出会いを重ねていくなかで、自分にかけられていた“呪い”の存在に気づいた仕草は、自分自身と向きあうようになっていく。

「サマーフィルムにのって」の祷キララが主人公・仕草を好演し、大学時代の仕草の恋人・佐伯を「アルプススタンドのはしの方」の平井亜門、社会人となった仕草の恋人・金子を「ナミビアの砂漠」の中島歩が演じる。短編アニメーション「Journey to the 母性の目覚め」でPFFアワード2021審査員特別賞を受賞した岡田詩歌監督が、そのスカラシップ作品として制作した長編実写映画デビュー作。

2023年製作/110分/G/日本
配給:ストロール
劇場公開日:2025年2月14日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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(C)2023 ぴあ、ホリプロ、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、一般社団法人PFF

映画レビュー

3.5型にはまらない良さを体現する“実験”映画。男性観客にも気づきが

2025年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

知的

これまで複数の短編アニメーションが数多くの映画祭やコンテスト等で受賞し、この「恋脳Experiment」で実写長編デビューを果たした岡田詩歌監督。東京藝大の先端芸術表現科卒で同大学院の映像研究科アニメーション専攻修了という経歴、さらに「主に幼少期の性への興味や思い出と現在の自分の性知識の差異をテーマに、ユーモアを加えた作品を制作している」とのプロフィールから、自身の体験やこれまで出会った人々から着想を得て本作の脚本を構成したと思われる。PFFアワード審査員特別賞受賞作「Journey to the 母性の目覚め」や京都国際学生映画祭・大九明子賞受賞作「ワンダフル千鳥足 in ワンダーランド」をはじめ、過去のアニメ作品がYouTubeで公開されていて、2月12日時点ではまだ多くても3000回台の視聴回数だが、劇場公開後は注目度が一気に上がって視聴数も軽く一桁、二桁増えるのではないか。

祷キララが演じる主人公・山田仕草が、「女の子は恋をするとかわいくなれる」など恋愛にまつわる世の通説や固定観念を自身の体験を通じて確かめる、いわば自分を実験台にして“恋する脳”の状態を試してみるストーリーから、題にexperiment(実験)のワードを含めたのだろう。女性にとって恋愛や結婚はこうあるべきといった固定観念や先入観に基づく押しつけを、社会が生み出す「呪い」と岡田監督は表現しているが、劇中の台詞に出てくる「洗脳」や、「刷り込み」と言い換えてもいい。劇中では塾講師や恋人や上司からのモラハラ、セクハラも含め、女性に押しつけられ、不快な圧になる考え方や言動が多く描かれるが、男性にとっても他人事ではなく、男は女性にこう接するべきとか、さらには「年上だから、立場が上だから女性をこう扱っていい」といった傲慢さにもつながる男性優位社会の悪しき一面を、ユーモアのオブラートに包んで穏やかに断罪しているようにも受け止められる。

仕草が型にはまらない魅力を備えたキャラクターであるだけでなく、この映画自体も型にはまらない実験的な映像作品のようだ。商業映画を見慣れた観客には、あるいは脚本がとりとめなくドラマ性が弱いと感じるかもしれない。子供の頃から芸大、社会人の時代を通じて絵と文章で表現することにこだわってきた仕草が、終盤で踊りの身体表現で解放される流れは唐突に感じられる。岡田監督が得意とするアニメーションのパートもやはり終盤に少し挿入されるのみで、本筋と有機的にからんでいるかは微妙。それでも、PFFスカラシップの支援で実写作品を撮るにあたり、あえてベテラン脚本家などを頼ることなく(兄の岡田和音と共同でシナリオを書いた)、既存映画の枠にはまらない新しい表現を目指す意気込みは確かに伝わる。

PFFスカラシップに長年携わる天野真弓プロデューサーは、近年では清原惟監督作「すべての夜を思いだす」や小松孝監督作「猫と塩、または砂糖」、古くは石井裕也監督作「川の底からこんにちは」などを手がけており、若手監督のポテンシャルを信頼して(たとえ粗削りな部分があったとしても)撮りたいように撮らせるという印象を受ける。そして本作の配給・宣伝を買って出たストロール(Stroll Films)も、湯川靖代代表がひとりで配給から宣伝まで手がけ、韓国映画「アフター・ミー・トゥー」など女性がテーマの映画を多く扱ってきた。女性の視点から女性の生き方を問い直す新しい映画を世に出そうという思いで、監督、プロデューサー、配給担当者の共感や連帯意識のようなものがあったのではないかと想像する。

封切り後は女性観客を中心に支持が広がっていくのが望ましい展開だろうが、男性が観てもさまざまな気づきがあるはず。ステレオタイプでない新しい表現の映画に出会いたい人や、世間の(そして自らの自覚なき)ジェンダーバイアスに関心がある人におすすめだ。

高森 郁哉

2.0ハイアートでもなくコマーシャルアートでもなく

2025年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ!クリックして本文を読む

「監督は芸大出身なんだな」と観てて思うの。
芸大エピソードが満載なのもそうなんだけど、なんか意味不明なシーンがあって、そう感じるの。

主人公は「かわいい」の呪にかかっているというか、「かわいくいることを強要されることで、本当の自分を生きられない」みたいな感じなんだよね。
そしてそれを、自身の創作能力で救う。
出てくる作品が「なるほど芸大」なんだよね。
確かに面白い。しかし「こういうの散々、観たな」という面白さなの。
だから、救えないと思うよ、あの作品では。
そこが難しいね。

祷キララはすごいね。
ホームパーティーでは上半身の服に赤・青・黄が入ってるんだけど、違和感なし。「さすがモデル」と勝手に思ってたけど、モデルじゃないんだ。すごい。

中島歩はミニシアターになくてはならない存在だね。
作品ごとに芸に磨きがかかってる。

最初から最後まで佐伯くんはいい。
「芸術家気取り」という設定だけど、最後は芸術家になってるからね。気取りじゃない。
演じた平井亜門も良かった。

ラストは棺桶の中から「かわいいね」と言ったシーンで切って良かった気がしたな。
PFFスカラシップで撮ったということだけど、2時間の尺にしなきゃいけないっていう縛りがあるのかな。
中学のときのエピソードも長すぎた気もするしね。

かわいく生まれるとかわいいの呪にかかってしまうの大変だなと思ったけど、そりゃお前、自分でなんとかしろよと思ったな。主人公はなんとかしたよっていう話だと思うけど。

Scott

4.0現代恋愛事情

2025年2月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

すべての若者がこういう恋愛をしているとは限りませんが、身近に近いものがあって、ニヨニヨをしながら観ました

「このハンバーガー、ピクルス忘れてる。」で演技が良かった平井くんが今回もまた一皮むけた感じですごくいい感じの若者になってました。
今回の役だとこだわりがある、気難しい感じでいて繊細な大学生。動きもよかったです。

キララちゃんはいつの間にかきれいになって落ち着いてしまった感じなので、もうちょっときゃぴきゃぴピーカンが見たかったかな

中島さんは言うまでもなく、存在が中島さんなので、ずっとあのままのああいう感じの役でいて欲しいです

***

3.5タイトルほど実験的では無かったが面白かった。

2025年2月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

アニメをやってる監督の初実写という事で気になって見てみた。主役の子がサマーフィルムの時から気になってた子だったっーのもある。

話は主人公の成長を軸に女子に付きまとう固定観念やら面倒なあれこれ(主に男まわり)を乗り越えて行く話。主人公は美大生なんで作品化して昇華するのが笑えるが、された方はかなり迷惑な感じだ。本人が特定できるこういう場合相手の許諾要るんじゃないだろうか?売れたらロイヤリティー発生するかも。

頭でっかちにならず身体使って行こうぜ的なコンテンポラリーパートは実感あるんだけど、何だか話でオチを付けられなくて逃げた感じがしてしまった。得意のアニメパートも同じ理由で特に効果もなく、なくて良かった気がする。

なんやら書いてみたが自分も美大だったのでピンと来る部分も多く、初期今泉作品のような緩い会話も楽しめた事は間違いない。
自作に期待する。

masayasama

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