ミルクの中のイワナ
劇場公開日:2024年4月5日

解説・あらすじ
イワナを巡る環境から、自然と人間の関係について問い直したドキュメンタリー。
北海道から本州の人里離れた河川に生息するイワナは、その生態にいまだに謎が多いことから「神秘の魚」といわれ、多くの人々を魅了してきた。しかし近年、イワナを取り巻く生態系は危機に直面している。養殖や放流、人工ダムや堰堤といった人間の取り組みと自然環境を巡るジレンマと苦難。環境保全や地域社会などをキーワードに、研究者や漁協関係者、郷土料理や釣り産業の関係者、釣り人など、さまざまな立場からイワナとその生態系に関わる人々にインタビューを行い、深山幽谷の美しい映像を交えながら、イワナを通して見えてくる未来の地球の姿を浮き彫りにする。
短編ドキュメンタリー「DIALOGUE WITH ANIMA」などの映像作家・坂本麻人が監督を務めた。
2023年製作/70分/G/日本
配給:Whole Universe
劇場公開日:2024年4月5日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
3.5イワナ……に限らず、魚……に限らず、 生き物が生きていける環境を整...
4.0何もイワナに限った話ではないのだろうけど…
3.0イワナの泳ぐ姿は美しかったけれど。
このドキュメンタリー映画は、誰に何を見て欲しいのかが、はっきりしなかった。おそらく、取材に協力してくれた釣り人や漁協の人の顔が浮かんでしまったのだろう。この映画を観るのは、イワナという名前くらいは知っているが、釣ったことも触ったこともない私たちのような素人だったはず。出来がよければ学校の教材に採用され、多くの児童・生徒の目に留まることになる。どこが足りないか書いてみる(上から目線で、申し訳ない)。
一つは、イワナとは何かが、ゲノムのレベルで出てこない。話が難しくなると思ったのだろう。しかし、それがなければ、日本のイワナとは何かに辿りつくことはできない。今は、中学生だってゲノムのことをある程度知っている。日本に生息するイワナが、世界のどこから来たのか、是非知りたい。
イワナの生態はよく説明されている。南限は、奈良県、標高の高い、あるいは冷涼地の川の上流を好み、流れがやや淀んだ淵に生息する。北海道のオショロコマもイワナの仲間。イワナが陸封魚ということは、皆なんとなく知っている。ところが、いきなりアメマスが降海魚であるとの説明が出てくる。アメマスもイワナの仲間なの?じゃあ、他のイワナとどう違うの?やはりゲノムも含めて、よく説明してくれないと判りにくい。降海魚が判れば、降湖型だって、すぐわかる。地域変異型や、放流交雑の影響も同じこと。こうした点を、なるべくわかりやすくまとめながら、魅力的なイワナの画像を見せて欲しかった。漁協の皆さんや学者たちが困っていることだって、わかりやすくなる。
最後に英文題名に、なぜTroutが出てくるの?元になった原文があることは判るけど。Troutはイワナも含むけど、マスのことでしょ。シューベルトの鱒も入るし、あのヒメマスとか、外来魚のニジマスも、よく説明しないまま出てきたイトウもここに入る。
映像を製作するのには、時間と資金を要する。私が書いた点は、すべて取材内容には含まれていたと思う。イワナの泳ぐ姿は美しかっただけに残念。
4.5イワナの水玉模様も美しく✨
渓流釣りにおいて上のほうに行くほどイワナが釣れる、と言っていた人がいた。
本作を見てその理由がわかった気がした。
水温20℃以下の涼しいところに棲息する。
イワナは流れの少ない場所でも生きていける。だから、あちらこちらに散らばって交配することがなく結果血の濃い亜種が生まれた。
ヤマトイワナは本州中部
アメマスは北海道や山形
ニッコウイワナは山梨県、東北南部
ゴギは中国地方のみ
身体の模様が微妙に異なる。
縞模様と水玉模様が混在していたり、斑点がないのがヤマトイワナだったり。
そして、サケ科であるが一度の産卵では死ぬことがなく2度3度と産卵を繰り返す長寿らしい。
そんなイワナの生態が専門家の生産技師や大学教授によって語られていく。
話していてみんなイワナが好きなんだな〜💕と感じて嬉しくなる。
イワナを守ろうとして稚魚を放つも成魚になるまで育たない。
近年はイワナの保護活動も行っているが、まだまだ研究途上でどうしたら数を増やせるかがわからない。
関わり過ぎてもだめ、かといって獲らない釣らないをして過去に失敗したと言う。
関わらないことは無関心。無関心は愛情の反対なのだ。
われわれ人間にも通じる深い話や名言も都度出てきて感心させられる深いドキュメンタリー。
深山幽谷の美しい景色とともに心地よいひとときが過ごせます。
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