プー あくまのくまさん
劇場公開日:2023年6月23日
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解説・あらすじ
ディズニーによってアニメ化もされたA・A・ミルンの児童小説「くまのプーさん」を題材にしたホラー。原作の著作権が2022年1月をもって消滅し、パブリックドメインになったことで実現した一作で、クリストファー・ロビンに森に置き去りにされ、自ら食料を調達しなければならなくなったプーとピグレットが、残忍な人間狩りを行うさまが描かれる。
楽しい冒険に満ち溢れていた日々は終わりを迎え、青年になったクリストファー・ロビンは、大学進学のためプーとピグレットを森に残して旅立っていった。時が経ち、婚約者のメアリーとともに100エーカーの森に戻ってきたロビンは、そこで血に飢え野生化してしまったプーとピグレットの異様な姿を目の当たりにする。
2023年製作/84分/PG12/イギリス
原題または英題:Winnie the Pooh: Blood and Honey
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2023年6月23日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
1.0「これはR15だろ‼️‼️」とツッコミました
特に期待せずにU-NEXTでレンタルしました。
予想以上にツッコミどころが多く、ずっと苦笑いしながら観ていました。
元の面影がなくなったプーとピグレットの殺人シーンが永遠と続くので、とても観るに耐えなかったです。血が容赦なく吹き出し、目玉が飛び出す場面もありました(しかも暗くてよくわからない)。最後はバッドエンドになり、あまりの悲惨な終わり方に唖然としました。
原作要素が少ない上にクリストファーロビンはほとんど登場しないため、プーさんでホラーをやる必要があったのか不思議に感じました。
日本ではレイティングがPG12になっていますが、設定し間違えたのではと疑うぐらいグロテスクでした。セリフには「*uck」などの規制用語もあったので、R15に匹敵する内容だと思いました。
何よりも恐ろしいのは、今後MCUのようにクロスオーバーさせる計画があることです。プーが他のモンスターたちと団結する展開を考えると恐ろしくなってしまいました……
一度観たら絶対に忘れられないぐらいインパクトが強かったです。プーさん好きにはおすすめできませんが(そりゃそうだ!)、変わった作品を観たいときにはいいかもしれません。
3.0愛嬌を感じる出オチ一発屋映画
あのかわいいプーさんをここまでイジってやったぜグヘヘ。そんな出オチ的映画である。それ以上の何かを求めて見るのは間違っている(断言)。
個人的には、この手の映画に原作からの気の利いたアレンジだの、リアリティだのキャラの行動の自然さだの、はなから求めてはいない。脳内でツッコミを入れながら見たいので、むしろあまりシッカリした作りであってほしくない。
そもそも原作のプーとピグレットはご存知のようにぬいぐるみで、クリストファーのお父さんが語る物語の中で生きている設定にされている存在。それが森に置いていかれたから飢えてどうのこうの、という話を見ようとする時点で、辻褄だのリアリティだのは捨て置く覚悟をした方がよい。
そんなハードル下がりまくったスタンスでありつつも、Rotten Tomatoesの批評家スコア4%というのを見て、座席予約をしたことに一抹の不安を覚えたりしていたが、結果的にはそこそこ退屈せず観ることができた(この感覚を当てにしないでほしい)。
こういう映画は真剣に観ちゃダメだよ。アホになれることの解放感を味わう方がお得だよ。
ストーリーは単純だ。クリストファーに置いていかれ野生化したプーとピグレットが、100エーカーの森に戻ってきたクリストファーが連れていた恋人を殺し、クリストファーを監禁する。森の近くの貸別荘にデジタルデトックスをしに来た女の子5人組(と道に迷った子1人)、終盤で通りかかったヤンキーおじさんたちを順番に惨殺する。プーはダメージ受けつつ健在、人間側はクリストファーだけどうにか助かる(完)。
アバンで恋人が殺されクリストファーも捕まるので、タイトル前に話が終わったかと思った。各キャラの台詞も動きもいかにもB級ホラーのテンプレで、まともに内容を追わなくてもいい感じなのだが、中盤以降のゴアシーンの時間的な配置がなかなか適切で、眠くはならなかった。
プーの心の闇を暗示しているのか知らないが、頭部破壊シーンが結構多い。もともとグロが苦手なので、そういう場面というだけで引いてしまうのだが、よく見ると血がCGっぽかったりして意外と大丈夫だった。微妙な安っぽさが作風に合っている。
プーとピグレットがまるきりおっさんの動きで、手の造形なんか人のまんまで熊にもぬいぐるみにも寄せる気がないとことか、プーが字を書けたり蜂を操れたり車の運転が出来るところ、ギュインと振り向いたりするところはうっすら笑ってしまった(周りは誰も笑ってなかった……)。
ああいうかぶり物をかぶって、自分たちは熊と豚だと思い込んだシリアルキラー(人間)の話、と考えた方がもうちょっと怖さが増すような気がする。
一般的に、続編の可能性を残すラストであっても一応小さな解決の形を見せる映画が多いと思うが、本作はクリストファー以外被害者全員死亡で何の解決もない鬱エンド。決まりきった一段落を見せられるよりは、この終わり方の方がいい。
続編では、2023年末で著作権が消滅するオリジナルのミッキーマウスを出すという噂もあるとかないとか(「蒸気船ウィリー」発表から95年経過するため。本作宣伝担当者談)。
次回作は……もう見なくていいかな。
余談:
ディズニーの「くまのプーさん」はアニメ作品ということで、パブリックドメイン化した原作の児童小説1作目とは別作品という扱いになり、日本と違って作品毎に著作権の有効期限をカウントするアメリカにおいて、著作権は現在も有効だ。だから本作の監督は、プーに赤いセーターを着せないなど、アニメの方に似ないようにしたそうだ。
3.0冒頭のアニメと炎を避けるプーの動きが好き。
ヒドい。スプラッターホラーが不謹慎だったりグロかったりしてヒドい、というのではなく、監督に対して、本当にヘタだなお前と観ながらにして心が死んでいくのを感じる。脚本にしてもショック描写にしても驚くほど緩急がなく、ホラーって観ていて何が楽しんだっけか?と、ジャンルそのものへの認識が崩壊していくくらいつまらない。殺される女性キャラの無意味なポロリとか、よく今の時代に堂々とやったなと、一瞬自分は感心してるのかと勘違いしそうになるが、本当に呆れる。
なんだけど、プーたちが凶暴化していく様を紹介する、冒頭の2分ほどのアニメがよくできていて、なぜかセンスもスキルも感じ取ることができる。じゃあ本編はなんだったのか? アニメは別の人が担当してるの? それとも予算とかいろいろあってアニメ以外で本領発揮できなかった?
疑問はいくつも湧くのだが、実写パートでは、女性主人公が松明の火をプーに向けて、追い払おうとするシーンがあり、そこのプーの動きはムチャクチャよかった。炎が近づくたびに「あついがな、やめえや、あぶないやろ」とでもいいたげに、鬱陶しそうに避けるのだ。あそこはもう、本当に振り回される炎と、それをいやがっている気持ちが超リアルだった。
2分間のアニメと、やめえやってなっているプー。その二点は観てほしいし、ゲテモノを観て呆れるのもB級映画の楽しみではあるので、似た嗜好の奇特な人には勧められます。
2.5唯一よかったところ
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