パラフィリア・サークル
劇場公開日:2023年6月23日
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解説・あらすじ
玉城裕規ら2.5次元舞台、ミュージカルで活躍する俳優陣がメインキャストを務めたサスペンス。
デビュー作が話題となったものの、その後は不振が続き、崖っぷち状態にある小説家の玉川健斗。文芸誌編集長の三河から「小説にリアリティがない」と指摘された玉川は、サスペンス小説執筆のため、ネットで知り合ったサイコパス狩りを自称する男に出会う。エリート弁護士の栗野宗一は、良家の令嬢である婚約者とは別に恋人がおり、その恋人に苛烈な拷問を仕かけていた。大学生の森瀬京は恋人とのプレイに満足できず、さらなる刺激を求めて欲望の世界をさまよっていた。心の奥底に裏の顔を持つサラリーマンの佐川貴史は、森瀬の懇願に応えたことから、欲望に歯止めがかからなくなる。出会うはずのなかった4人の男たちの狂気に満ちた物語が動き出す。
玉城が作家・玉川を演じるほか、川上将⼤、瀬⼾啓太、縣豪紀が顔をそろえる。
2023年製作/91分/PG12/日本
配給:MARCOT
劇場公開日:2023年6月23日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
3.0×5のイジリー岡田
現実と虚構の世界。インパクトのあるサスペンス小説を書けと編集者に言われて純文学路線を捨てた小説家の玉川健斗。そして、弁護士の粟野、そのパートナーの森瀬、パラフィリアというより殺人鬼の佐川と話が繋がっていく。「サークル」というタイトルから部活みたいなものを予想してたのに、輪のように繋がっているわけね・・・
その傷つけ合うという変態ぶりの部分は全然面白くないのだけれど、玉川パートに戻ってからは俄然面白くなる。リアリティを提供してくれた「魂の狩人」と名乗る男は佐川であり、彼から伝えられた殺人ストーリーに取り憑かれ執筆が進むものの、実はすべて精神病院の中。書斎なのか病院なのかどっちの世界にいるのかわからなくなる描写が面白い。
入院患者であっても紡ぐストーリーが売れ線であれば退院して小説家になれるだろうに、殺人とSM嗜好じゃなぁ・・・難しい。
4.0個々よくわからない部分も多く、明確に何度も見ることが想定されている作品。
今年213本目(合計864本目/今月(2023年6月度)38本目)。
舞台挨拶の回でみてきました。
そこでもズバリ言及があったのですが、1度だけでなく2度3度見ることが想定されていて、そうすると内容の理解や違った角度からの理解ができるようです。映画代としてはともかくも、(そのような事情から)放映時間としては配慮があるので、2度3度くらいまでならありかな…というところです。
一方でよくPG12で通ったなという印象がある描写も多く(R15扱いされても文句は言えない)、また、作品として何が主義主張なのかという点もはっきりとせず(映画内で述べられているような、サイコパスが何だのといったことは想定されていない?)、また個々んんん?という部分もあり、どうしても6月5週の中では優先順位は落ちるのではなかろうか…と思えます。
※ なお、一部の「アダルト的描写」については配慮はあるものの、ここ「だけ」でいえばR15以上じゃないのかというようなかなりきわどい部分もあります。
結局のところ「誰が犯人でしょう?」「何がトリックでしょう?」系の映画であり(だから、1度見ただけでは理解が完全にしづらいように意図的になっていて、1度見て「結末」を理解したあと、個々細かい点は2度3度の視聴で「拾う」ことになる)、その観点でもレビューはかなりしづらいです。
とはいえ、やはり法律系資格持ちとしてはそのまま見過ごすこともできない部分もあるので…。
さっそく採点いきましょう。
(減点0.8/自動車事故と民事訴訟との関係、自動車事故の性質についての配慮が足りない)
日本であろうとおよそ一般的な先進国では自動車が当たり前に存在し、またそれが故に、人が運転する以上は当然事故は発生します。その結果、死亡事故なども発生しますが、それは刑法上の意図的なものでは通常ないので(飲酒運転等の様態が重いものは逆に厳しい対応になります)、日本には刑務所として別途「交通刑務所」というものがあるように、結果としては人が亡くなったり寝たきりになるなど、結果は重大であっても、故意の行為ではなく自動車事故が過失であるようなものは、その性質上、かなり違った扱いになります。
したがって、検察審議会が「不起訴相当」としている事案(映画内描写)は、過失はあるが故意性がない、被害者にも責任はある等のケースであり、また刑事と民事は違う裁判になりますが(映画内描写)、民事訴訟で相手を訴える根拠は不法行為になるところ、故意または過失の立証責任は「訴える側にある」ので(立証責任の話)、勝ちきれるかどうかは別にして、そのように判断されている「過失はあるが故意性がない」ものについて「(民事訴訟による)法による裁きを与える」というのは、被害者側のサイドからは理解はしても、法律系資格持ちとしては違和感がかなりあります(過失について不法行為で追及することはできるが、それと「法の裁き」は直ちに結びつかないし、過失による行為をもって「法の裁き」を下すのだとすると、人は誤った行為を一切しない、という完璧主義を前提にしてしまう状況になる)。
この点は、一般論としては「被害者サイド」としては理解できるものの、法律系資格持ちとしては違和感があるところであり(同じ自動車事故でも、危険運転~が適用されうるものと、検察審議会で「不起訴相当」とされるものとでは、相手側の責められる度合いがことなる)、この部分の配慮が足りないのは、「被害者サイドとしては」理解ができるものの、それを究極突き詰めると「(故意ではなく)過失による過ちでも民事でボコボコにする」ことを推奨するに等しく(「法の裁きが~」という描写)、秩序的な観点ではかなり違和感があるところです。
※ なお、民事訴訟では不法行為を根拠に損害賠償を求めることになりますが、払えない相手に強制的に払わせることは(民事執行法等を活用しても)結局できないので、結果論として泣き寝入りになることが多いです(だから、被害者加害者ともに保険に入りましょう、ということになるわけです)。
3.0意図的演出か否か
偶然にも舞台挨拶付きでの鑑賞。
序盤から違和感満載。
なんだそのクマは、とか(ROTTENGRAFFTYのNOBUYAかと)。
純文学寄りの作家のファッションじゃないだろ、とか。
奥さんのパート頼りなのに食事が豪華すぎるだろ、とか。
正直言って、演技も演出も音楽も全体的にチープです。
歯に衣着せず言えば、カラオケの背景映像を映画にしたような。
『推しの子』アニメ4話の鳴嶋メルトのような。
スマホやラインが出るから現代なのだろうけど、全体的に昭和チックなんですよね。
しかし、もしかしたらそれら全部がオチへの伏線だったのかも。
病院のシーンの方が演技が自然だった気もするし。
ただ、もしそうなら映像面でも変化をつけて分かりやすくしてほしかった。
話の構造としては嫌いじゃないです。
3.0アブノーマルピラミッド
デビュー作が大売れして意向15年泣かず飛ばずのリアリティに拘る作家が、編集者にケツを叩かれ殺人ネタのサスペンスに挑もうと取材する話。
ネットで体験談を語ってくれるという人間と出会い、その男の話しを聞いて行くという流れだけど…あれ?弁護士と相方の大学生の話しって体験談じゃなくない?という感じで何を観させられているのか。
ようやく繋がったら、危なさはMAXなもののそれまでの癖とは違うし展開的にはあっさりだし…からの、あっそういう話しにするのね。
こういう落とし方は自分の好みではないのだけれど、元々が取材の体だからす嫌悪感はまるで無くとても面白かった。
ただ、みんながみんな前のめりでオーバーリアクション過ぎる演出が安っぽくてしかたなかった。
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