カイマックのレビュー・感想・評価
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4.5ミルチョ・マンチェフスキの新作が日本で観られるとは
東京国際映画祭で鑑賞。ミルチョ・マンチェフスキの作品が日本で観られるのは何年振りなんだろうというくらい久しぶり。本作は、重厚かつ斬新な構成で運命に翻弄される人々を描いた『ビフォア・ザ・レイン』とは異なるテイストで、大人の恋愛を滑稽に描いたコメディ作品だった。
マケドニアの高級な集合住宅に暮らす夫婦と隣の安い集合住宅に住む夫婦がいる。金持ち夫婦の妻は、自分で妊娠することを嫌がり、親戚の娘に代理母出産をさせる。隣の夫婦は倦怠期を迎えていて、夫は市場でカイマックを売っていた女性と自宅で浮気。情事の最中を妻に見られるが、妻と不倫相手が行為にふけりだして3人での奇妙な共同生活が始まる。
どちらの夫婦にも「異物」の住人が加わることで、関係性が壊れていく。決まりきった夫婦の型を崩すことでお互いの本性があらわになっていく、監督はQ&Aで「偽善のマスクを外し、中産階級が見せたくないものを見せようと思った」と語っていたが、まさに虚飾が剥がれていく様子に人間の滑稽さが全開に描かれていて、一級の人間観察による見事なコメディだった。
3.0TIFF2022にて。マケドニアの作品。 金持ち夫婦と貧乏夫婦2組...
TIFF2022にて。マケドニアの作品。
金持ち夫婦と貧乏夫婦2組の大人同士の複雑な人間関係が描かれている。
金持ちで高層階に住む夫婦。
貧乏で低層階に住む夫婦。
それぞれ交わることはないが、自分の人生を良くしたくて、もがきながら生きている様は共通している。
カイマックというのは、地中海地方で食べられる高濃度な乳製品の名前らしいです。
クロテッドクリームみたいな。
牛乳の本当に美味しい上澄みだけを集めて製品化しているので、美味しいとこだけをさらっていくことをカイマックをすくうと揶揄することもあるんだとか。
(*´∇`*)へぇぇ〜でした。
それぞれの夫婦が食べていて、人生の美味しい所をかき集めたいという欲望も現してるんですって。秀逸ですね。
結果、誰も幸せにはならず、裕福でも貧しくても人に違いはない、落ちたものは必ずまた上に上がってくるというオチだそうです。
まさに袖触れ合うも他生の縁ってのが描かれていて面白かったでした。
人間の営みは無関係に見えて何処かで繋がったりする時もあるし、自分の人生を良くする為にしたことが、人の人生に悪影響を与えてしまったり、結果が分からないから、もがきながら人は生きていくんだということが描かれていました。
出てくる人が次々と吹っ切れてくのか、クレイジーになっていって、そう考えちゃうのか…と、私は笑うよりポカンと呆れてしまいました。
一応、映画紹介にコメディーも付いていましたが、風刺もあるブラックコメディー要素なので笑っていいのか、呆れたらいいのか…複雑な気持ちにはなりますが、とある人生の縮図を描いているという意味ではヨーロッパらしい素晴らしい作品でした。
5.0二つの物語が唐突に激突する社会風刺に塗れた辛辣で赤裸々なラブストーリー
舞台は首都スコピエ。高層マンションに暮らすメトディとエヴァはなかなか子供が出来ず、貧村に暮らす少女ドスタを代理母にすべく共同生活を始める。一方貧民街に暮らす主婦のダンシェは警備員の夫カランバが市場で働く自宅でヴィオレトカと不倫をしていたことに気付き、ある日ついにその現場を押さえるが・・・。
高層マンション群の足元に広がる貧民街というもはや世界中の都市に見られる風景の中で繰り広げられるインモラルな二つの物語がとあるきっかけで激突する様に顔面がひきつるトラジコメディ。ご当地スイートの“カイマック”が象徴するのは誰しもが求めてやまない幸福であり、同時に他人の幸福を粉々にするきっかけにもなる。恐らくは北マケドニアにおいても顕著であろう壮絶な格差社会を皮肉りながらも『フォレスト・ガンプ』や『アメリカン・ビューティー」へのオマージュが漂うロマンティックなカットもあるし、警備員のカランバが『タクシー・ドライバー』のトラヴィスに憧れていることを匂わせていたりして往年の名作へのリスペクトも滲んだクセが強い作品でした。
上映後の舞台挨拶とQ&Aには監督のミルチョ・マンチェフスキ、ドスタを演じたサラ・クリモスカ、ヴィオレトカを演じたアナ・ストヤノスカが登壇。撮影時の秘話や作品に込めたメッセージ等の話が聞けました。作品中では無垢な少女が急激に成長する様を鮮烈に演じていたサラ・クリモスカの美しさに息を呑みました。
3.0自らの喜怒哀楽をどう持って行ったら・・・
3.0上澄みの美味しい所という意味の食べ物だそうです!
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