銀河鉄道の父
劇場公開日:2023年5月5日
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解説・あらすじ
小説家・門井慶喜が宮沢賢治の父である政次郎を主人公に究極の家族愛をつづった直木賞受賞作「銀河鉄道の父」を、「八日目の蝉」「いのちの停車場」の成島出監督のメガホンで映画化。
岩手県で質屋を営む宮沢政次郎の長男・賢治は家業を継ぐ立場でありながら、適当な理由をつけてはそれを拒んでいた。学校卒業後は農業大学への進学や人工宝石の製造、宗教への傾倒と我が道を突き進む賢治に対し、政次郎は厳格な父親であろうと努めるもつい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気をきっかけに筆を執る賢治だったが……。
役所広司が政次郎役で主演を務め、長男・賢治を菅田将暉、賢治の妹・トシを森七菜、母・イチを坂井真紀、祖父・喜助を田中泯、弟・清六を豊田裕大がそれぞれ演じる。「かぐや姫の物語」「この道」の坂口理子が脚本を担当。
2023年製作/128分/G/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2023年5月5日
スタッフ・キャスト
受賞歴
第47回 日本アカデミー賞(2024年)
ノミネート
最優秀助演男優賞 | 菅田将暉 |
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解説・見どころ/役所広司×菅田将暉×森七菜、感涙の名演と物語…って本当に泣けるの? 確かめてきた
「銀河鉄道の父」(5月5日公開)。数多く公開される映画のなかから、ぜひこの珠玉の感動作を手にとってほしいです。
提供:キノフィルムズこの特集を読むインタビュー
役所広司と成島出監督が明かす、映画人としての“きっかけ”
直木賞作家・門井慶喜氏の第158回直木賞受賞作を成島出監督が映画化する「銀河鉄道の父」が、5月5日から全国で公開される。宮沢賢治の生涯を父親の視線を通して描く今作で、父・宮沢政次郎に息吹を注いだ役所広司、メガホンをとった成島監督に話を...
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2024年1月5日
フォトギャラリー
映画レビュー
3.5父でありすぎる父から見た息子・宮澤賢治
いやはや、宮澤賢治を子に持つと大変だ。それでも、そこに愛情があれば苦労が喜びに変わるのは、世間の親と同じなのかもしれない。
賢治は次から次へと行き当たりばったりで奇妙な行動に走るが、何故そうしたくなったのかという彼の内心の描写は、物語の中ではあまりされない。賢治が有名なこともあってつい物語の中心に置きたくなるが、主人公はあくまで父の政次郎だ。
賢治の動機に関する説明が少ない分、彼の行動はいっそう奇異に見える。胡散臭い商売(人造宝石)を思いついたり、宗教にのめりこむ。こんな家族が自分に実際にいたらもう大変だ。賢治の気持ちに同調するというより、政次郎の心労に同情する気持ちで見てしまう。
予告映像の雰囲気やテーマソングから受ける明るい印象に反して、中盤以降は死別の悲しみが繰り返し描かれる。祖父の喜助、トシ、そして賢治。「永訣の朝」が脳裏にあると、序盤にトシが登場した段階で死の気配を感じる。
これは、政次郎が肉親の死を介して生きることの意味に触れる、そんな物語でもある。子に先立たれる親の悲しみは、経験のない身には想像する術もないが、親子愛だけでなく、死の受容の物語であるように見えた。
賢治はもちろん強烈だが、トシの人となりがまた印象的だ。
賢治の進学を政次郎に進言するアプローチとして、ただゴリ押しのお願いをするのではなく、父をうまいこと持ち上げて納得させる。認知症の傾向が出はじめて暴れる喜助の頬を張り、「きれいに死ね」と言い放って抱きしめる。爽快感を覚えるほど、賢くて気丈だ。
インパクトのある「きれいに死ね」だが、原作のトシは喜助に面と向かってこう言ってはおらず、喜助宛ての手紙をしたためている。手紙の主旨を表す言葉として地の文に「きれいに死ね」という言葉が出てくるのだが、手紙の本文は実際に宮澤トシが祖父に宛てて書いた手紙の文章がそのまま全文引用されている。この文章が、祖父の心情への配慮も行き届いていて実に見事なのだ。
ちなみにこの手紙は、政次郎の意向により喜助に見せられることはなかった。
原作で手紙の要約として提示された言葉を、本作ではトシがずばり口にしたわけでちょっと複雑な気持ちにもなったが、映像化するならこうするしかないし、森七菜の演技がよかったので原作とは違うよさがあるシーンになっていた。実在の宮澤トシがこのメッセージを祖父に伝えたいと思ったその願いが、フィクションの中で叶えられたような不思議な感慨があった。
賢治が亡くなる場面で政次郎が「雨ニモマケズ」を朗読し始め、その後号泣という演出は、正直御涙頂戴感が強くてスーッと冷めてしまった。そしていきものがかりの流れるエンドロール……いきものがかりは予告で分かってはいたけれど、いきものがかりのファンの方には申し訳ないけれど、「星めぐりの歌」でも流してくれた方がまだ余韻にひたれたかな。
邦画にありがちなアレンジで最後に安っぽさが出たのは残念。
4.0役所広司にしか表現しえないこの父親像
誰もが人生において宮沢賢治の詩や物語に心動かされるにつけ「賢治はどのような人だったのか」とは思うだろうが、その父親までは想像が及ぶまい。本作は偉人伝記において助演か脇役の存在に過ぎない「父の視点」で宮沢家の肖像を情緒豊かに綴った物語。やがて賢治が農業と並行して執筆を続け、彼の死後になって評価されるのは広く知られた話であるし、妹の存在が執筆活動を精神的に支えたという逸話も聞き覚えがある。それに比べて、父は文学的な素養があったようにも見えず、木訥で、平凡。賢治を精神的に力強く導いたわけでもなさそうだ。けれど役所広司演じるこの主人公は、賢治の創作世界を決して否定せず、自らがいちばんの読み手であり、理解者であろうとする。それがどれほど賢治の支えになったことか。常に浮遊するようなカメラワークが役所と菅田の化学反応を流動的かつ柔軟に捉え、彼らにしか築くことのできない父子の愛のかたちを実直に謳っている。
4.0宮沢賢治についての知識と、観客自身の経験値によって評価が変わりそう
明治から昭和初期の時代を生きた作家・詩人、宮沢賢治の伝記映画は過去にもあるが、「銀河鉄道の父」は小説家の門井慶喜が賢治の父・宮沢政次郎を主人公に据えた直木賞受賞作の映画化。役所広司が演じる政次郎の視点から、賢治(菅田将暉)、賢治の妹・トシ(森七菜)ら家族の成長や試練を綴っていく。成島出監督と役所とのタッグは1月公開の「ファミリア」から2作連続で、「油断大敵」「聯合艦隊司令長官 山本五十六」を合わせて通算4度目。
宮沢賢治の代表的な詩や小説を読んでいても、生い立ちは知らないという人も多いだろうから、賢治の生涯をたどる入門編としての意義もある。波乱万丈に生きた人物なので、駆け足の紹介になっている点や、賢治の創作の真髄にまでは迫りきれない父親視点ゆえの限界など、物足りなさも。
政次郎が当時の父親としては異例なほど熱心に子育てに関わり、賢治やトシが病の折には献身的に世話をする様子も描かれるので、子育て経験のある親世代の観客には政次郎やその妻(坂井真紀)に感情移入しやすいだろうか。若い世代でいまいち話に入り込めなかったとしても、さまざまな人生経験を積んで遠い将来に再見したらまた違った評価になるのかもしれない。
日没のマジックアワーの時間帯を狙ってワンテイクで決めたという屋外の火葬シーンでの菅田と役所の熱演など、見応えある映像は確かに劇場の大スクリーンでの鑑賞にふさわしい。ただ、個人的には「ファミリア」の現代性の方がより響いた。
4.0宮沢賢治を主役に据えるのではなく、宮沢賢治の父親を主役にすることで宮沢賢治を描いた実話。
本作は、宮沢賢治の父親を主役にする事で宮沢賢治を描いた実話・直木賞受賞作「銀河鉄道の父」の映像化作品です。
主演の役所広司は宮沢賢治が生まれたての時から、宮沢賢治が37歳の段階や、それ以降も(吉永小百合の如く)演じ分けているのは意外にも違和感がありませんでした。
本作の面白さは、何と言っても父親を主役に据えることで「宮沢賢治の一家」を通して宮沢賢治の立ち位置や家族からの影響などが分かる事でしょう。
実際に、これまで見た事がない視点で宮沢賢治が描かれていて、ようやく俯瞰して宮沢賢治という人物像が見えた気がします。
本作は基本は実話なのですが、ラストシーンの件は、史実とは異なります。
ただ、「宮沢賢治の一家」の家族愛の物語を描くには、史実とは少し違うラストもリアリティーがあって良いと思いました。
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