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不都合な理想の夫婦

劇場公開日:

解説・あらすじ

「マーサ、あるいはマーシー・メイ」のショーン・ダーキン監督が、ジュード・ロウとキャリー・クーンを主演に、一見すると理想的だが虚飾と野心に満ちた夫婦が崩壊していく様を描いた心理スリラー。1986年。ニューヨークで貿易商を営むイギリス人のローリーは、アメリカ人の妻アリソンと息子と娘と4人で幸せに暮らしていた。ローリーは大金を稼ぐ夢を追い、好景気に沸くロンドンへ家族とともに移住する。かつての上司が経営する商社で働くことになったローリーは、仕事では周囲から高く評価され、プライベートではロンドン郊外に豪邸を借り、息子を名門校に編入させ、妻には広大な敷地を用意するなど、まるでアメリカンドリームを体現した勝者の凱旋のようだった。しかし、ある日、アリソンは敷地内の馬小屋の工事が進んでいないことに気付く。業者に問い合わせると、支払いが滞っているという。さらに驚くべきことに、新生活のために用意していた貯金が底を突いていることを知ってしまう。「ファンタスティック・ビースト」シリーズのジュード・ロウがローリー、「ゴーストバスターズ アフターライフ」のキャリー・クーンがアリソンを演じた。

2019年製作/107分/R15+/イギリス
原題または英題:The Nest
配給:キノシネマ
劇場公開日:2022年4月29日

スタッフ・キャスト

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ジュード・ロウの本領を堪能できる、のぞき見しているような心理スリラー

若き日のダンブルドアを演じるシリーズ最新作「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」が日本でもヒット中のジュード・ロウ。「リプリー」(1999)でアカデミー助演男優賞、「コールド マウンテン」(2003)で同主演男優賞の候補となって以降も、イン...

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(C)Nest Film Productions Limited/Spectrum Movie Canada Inc. 2019

映画レビュー

4.0中年男の哀しき稚拙さが浮き彫りになる。

2022年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

「リプリー」(1999)でアカデミー助演男優賞、「コールド マウンテン」(2003)で同主演男優賞の候補となって以降も、インディペンデント系の作品からエンタテインメント大作まで幅広く出演し、イギリスを代表する俳優として活躍。役者として一層あぶらがのってきた感があるジュード・ロウ。

そんなロウが主演した「不都合な理想の夫婦」の夫・ローリー役は、新たなはまり役と言っていいだろう。同作は、虚飾と野望に満ちた“理想の夫婦”が崩壊していく様を極限まで描いた心理ミステリーだ。

理想の夫婦とは、大金を稼ぐとは、家族とはいったい何なのか。幼少期のトラウマもあって虚飾と野望、歪んだ優越感に侵された男にはわかるはずもない。カメラは物陰からとか、通常の画角よりも一歩引いているようなアングルが多く、まるでこの夫婦、家族が崩壊していく過程をのぞき見したように感じ、それが冒頭の違和感だと気づく。「ファンタビ」のダンブルドアを演じるロウとはまた違った、役者としての本領を堪能できる作品で、中年男の哀しき稚拙さを浮き彫りにする。

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共感した!2件)
和田隆

4.0二人の名優だからこそ成立した濃密な心理劇

2022年4月29日
PCから投稿

ショーン・ダーキン監督といえば、エリザベス・オルセン主演の不気味な心理サスペンス「マーサ、あるいはマーシー・メイ」で名を挙げたフィルムメーカーだが、そんな彼が約10年ぶりに放つ新作もまた心理劇だった。ただし、前作のようなカルトや洗脳という目を引く要素はなく、その構造は至って古典的でシンプル。夫婦や親子という”家族の関係性”を用いて不穏な物語を織り上げていく。また一つのポイントは「80年代」にある。好景気に沸く大量消費時代を背景に、天井知らずの野心が欲望のリミッターを崩壊させ、やがてどんどん崖っぷちに追い詰められる主人公。虚勢を張って他者を圧倒する彼も、それから転落して濡れ鼠のようになる彼も、ジュード・ロウが演じるからこそ、そこにはなんとも言えない人間味が香り立つ。対する妻役キャリー・クーンの存在感も底知れない。観る者を選ぶ作品ではあるものの、舞台劇のような演者の濃密なやりとりを楽しみたい。

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共感した!5件)
牛津厚信

4.0A Good Film Maybe We Have Seen Before

2022年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

Jude Law plays a father trying to bullshit his way to riches. His plight into business is similar to the one confronted by the car salesman in Fargo, so it feels a little familiar. Law and Coon vibe off each other convincingly as a dysfunctional pair; simply witnessing the acting unfold makes the film a fun watch. A movie all about life and not so preachy; a refreshing drama that sticks with you.

Dan Knighton

4.5辛辣で、惹きつけられる

2024年6月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

80年代のヤッピーとしてローリー(ジュードロウ)、その妻アル(キャリークーン)と10代の娘と息子、サムとベンジャミン。
ニューヨークからロンドンに意気揚々と移り住み、次なる大きな成功(?)報酬(?)見栄(?)のために、
ロンドンから離れた豪邸へ

原題のThe Nestを思うとやはりこの家がこの家庭の過ぎた見栄か成功かへの経済の終わりと家族の破綻を象徴してる

妻アルの愛馬リッチモンドの鳴き声、
ローリーの度重なる見栄と成功への執着した発言、
アルのチェーンスモーク

ショーンダーキン(アイアンクローを観てあまりの良さにこの映画を見始めた)はこの破綻していく過程を淡々と、
映画的(それはとてもドラマツルギーを持って)
描いている
悲しさ、とか家族のつながり、とか 80年代のあのどうにもならないような渦、とか
アルの子供達への「まるで他人みたいじゃない!」という台詞は階段の吹き抜けへとあっけなく消えていく
ラストはこの家族の行く末をとても確かに見せている

辛辣で、とても惹きつけられる

ニューオーダー
ヤッピー
86年くらいのメルセデス
サリーの田舎の景色と柔らかい光

yep11016

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