Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


映画のことなら映画.com

コーダ あいのうた

劇場公開日2022年1月21日

  • 予告編を見る

「まとった鎧を脱ぎ去って」コーダ あいのうた すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0まとった鎧を脱ぎ去って

2022年8月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ!クリックして本文を読む

○作品全体
高校卒業という子供から大人へと変わっていく象徴のような時期に、家族全体が変わっていく…そんな大きな括りで見るならば、ああいう作品があったな、といくつか浮かんでくる。
しかし、家族のハンディキャップによって「大人」でいなければならなかった環境から子供や大人といった区切りを超えて等身大の自分に変わっていく…そんな本作は新鮮な気持ちで見ることができた。

主人公・ルビーに「大人」でいるという鎧を身に付けさせた家族が、その鎧を脱ぎ捨てさせる描写がまず良かった。
ルビーは最初からずっと大人でいることを脱ぎ捨てたかったわけではない。幼少期から父母のビールを頼んでいたのは、健聴者であるからという理由もあるだろうが、そうすることで家族唯一の健聴者、という疎外感を取り除こうとしていたルビーの望みもあったはずだ。コンサート前に母と話すシーンではその点核心をついていて、互いにルビーの疎外感を感じていたことを打ち明けている。打ち明けられる関係性になったからこそ、「大人」でいることをやめて、試験会場にも向かうこともできたのだろう。
父と兄はルビーが「大人」として振る舞っていることをそれぞれの立場で理解し、それぞれのやりかたでルビーを応援している。ルビーに対する兄の振る舞いは特に面白かった。妹の方が仕事や家族に貢献をしているけれど、その役割を奪うことができない。そんな妬みを抱えながらもルビーを認めている気持ちもあるし、やりたいことができないルビーの姿をもどかしくも思っている。妬みという負の感情があるからこそ、終盤の兄とのシーンはルビーに鋭く刺さる場面になっていて、自分のやりたいことに進んでいくきっかけにもなっている。こうした登場人物の行動の説得力が綺麗事な感情だけじゃないところに、人間味を感じてグッときた。
家族という一括りではなく、それぞれが考えるルビーへの気遣いがルビーを「大人」から卒業させていく。この見せ方が素晴らしい。

そしてルビーの中で隠していた「やりたいこと」を掬い取るマイルズとV先生の役割は、家族の距離感ではなし得ない、大切な役割だった。
特にV先生の指導シーンはどれも良かった。独特でありながら力づくでルビーの本心を引っ張り出そうとする指導が、ルビーを「大人」でもなく「シャイな10代女子」でもない、歌が好きな女の子にさせていく。この過程の描き方がすごく良かった。

「障害者の家族」ということがルビー自身を束縛するが、だからこそ手話を用いて特別な家族に届けることもできる。歌が好きな自分を見つめることができたからこそ、自身の置かれた環境を見つめ直すこともできた。鎧を脱ぐだけでなく、その鎧も自分自身だと消化したルビーの姿は、爽快感に満ちていた。

○カメラワークとか
・ピン送りが多い。「伝える」が難しいことを演出しているのかも。

○その他
・家族の対立を描く中盤の描写は少しステレオタイプな対立だなあと思ったりした。取材の日を伝えない母や監査の日に遊びにいってしまうルビーとか、行き違いのシチュエーションが急に出てきたような印象があって対立の作り方が粗く感じた。
母と朝食を摂るシーンでルビーが母は自己中だと話すシーンもあったから、それを伏線としているのだろうか。

すっかん

コメントを削除しますか?

PRU-NEXTで本編を観る

【予告編だけでこんなに観たくなること…ある!?】阿部寛、10秒でAIを騙す――狂おしいほど面白そう

提供:ティ・ジョイ

【語れば語るほど、より“傑作”になっていく】上がりきったハードルを超えてきた…胸アツをこえて胸炎上

提供:ワーナー・ブラザース映画

【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!

提供:ワーナー・ブラザース映画

【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。

提供:東映

【あまりにも早すぎる超最速レビュー】全身で感じる、圧倒的熱量の体験。

提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

注目作品ランキング

  1. 1

    国宝劇場公開日 2025年6月6日

    国宝
  2. 2

    LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族劇場公開日 2025年6月27日

    LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族
  3. 3

    でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男劇場公開日 2025年6月27日

    でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
  4. 4

    映画「F1(R) エフワン」劇場公開日 2025年6月27日

    映画「F1(R) エフワン」
  5. 5

    フロントライン劇場公開日 2025年6月13日

    フロントライン
注目作品ランキングの続きを見る

映画ニュースアクセスランキング

  • 昨日
  • 先週
  1. 1

    ジェームズ・ガン監督、新ワンダーウーマン候補を絶賛「素晴らしいワンダーウーマンになる」2025年7月2日 11:00

    ジェームズ・ガン監督、新ワンダーウーマン候補を絶賛「素晴らしいワンダーウーマンになる」
  2. 2

    映画「オリバーな犬」深津絵里、吉岡里帆ら新キャストが演じる”クセ強キャラ”のビジュアル公開2025年7月2日 18:00

    映画「オリバーな犬」深津絵里、吉岡里帆ら新キャストが演じる”クセ強キャラ”のビジュアル公開
  3. 3

    「ちはやふる めぐり」第1話の場面写真&あらすじ初公開 映画シリーズの10年後をオリジナルストーリーで描く2025年7月2日 06:00

    「ちはやふる めぐり」第1話の場面写真&あらすじ初公開 映画シリーズの10年後をオリジナルストーリーで描く
  4. 4

    「フロントライン」興収11.6億円突破! 小栗旬、松坂桃李、窪塚洋介ら主要キャスト6人のメイキング動画&写真一挙公開2025年7月2日 08:00

    「フロントライン」興収11.6億円突破! 小栗旬、松坂桃李、窪塚洋介ら主要キャスト6人のメイキング動画&写真一挙公開
  5. 5

    伝説的ロックバンドの知られざる起源 「レッド・ツェッペリン ビカミング」場面写真公開2025年7月2日 10:00

    伝説的ロックバンドの知られざる起源 「レッド・ツェッペリン ビカミング」場面写真公開
  1. 1

    「侍タイムスリッパー」金曜ロードショーで地上波初放送! 日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた大ヒット作2025年6月27日 06:00

    「侍タイムスリッパー」金曜ロードショーで地上波初放送! 日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた大ヒット作
  2. 2

    アーノルド・シュワルツェネッガー、自己最高額の出演作を明かす2025年6月25日 22:00

    アーノルド・シュワルツェネッガー、自己最高額の出演作を明かす
  3. 3

    「SHERLOCK」復活は困難…番組クリエイター「“終わりのとき”を受け入れることが大切」2025年6月25日 18:00

    「SHERLOCK」復活は困難…番組クリエイター「“終わりのとき”を受け入れることが大切」
  4. 4

    トム・クルーズ&ブラッド・ピット、31年ぶりに再会!2025年6月24日 14:00

    トム・クルーズ&ブラッド・ピット、31年ぶりに再会!
  5. 5

    【25年7月放送開始の夏ドラマ】映画.comが注目する10本/出演者・あらすじ・放送開始日など2025年6月28日 14:00

    【25年7月放送開始の夏ドラマ】映画.comが注目する10本/出演者・あらすじ・放送開始日など
映画ニュースアクセスランキングをもっと見る
スクリーニングマスター誘導枠

さんのブロックを解除しますか?

さんをブロック

ブロックすると下記の制限がかかります。

  • ・お互いのアカウントをフォロー出来なくなります。
  • ・お互いのレビュー、コメント、共感した!、Check-in情報を見ることが出来なくなります。
  • ・過去のあなたのレビューに対するさんのコメント、共感した!が表示されなくなります。
  • ※あなたがブロックしたことは相手側に通知されません。

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp