Mr.ノーバディ
劇場公開日:2021年6月11日
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解説・あらすじ
一見してごく普通の中年男が、世の中の理不尽に怒りを爆発させて大暴れし、やがて武装集団やマフィアを相手に激しい戦いを繰り広げる姿を描いた痛快ハードボイルドアクション。「ジョン・ウィック」の脚本家デレク・コルスタッドと製作デビッド・リーチが再タッグを組み、人気テレビシリーズ「ベター・コール・ソウル」の主人公ソウル・グッドマン役で知られるボブ・オデンカークが主演を務めた。郊外にある自宅と職場の金型工場を路線バスで往復するだけの単調な毎日を送っているハッチは、地味な見た目で目立った特徴もなく、仕事は過小評価され、家庭では妻に距離を置かれて息子から尊敬されることもない。世間から見ればどこにでもいる、ごく普通の男だった。そんなハッチの家にある日、強盗が押し入る。暴力を恐れたハッチは反撃することもできず、そのことで家族からさらに失望されてしまう。あまりの理不尽さに怒りが沸々とわいていくハッチは、路線バスで出会ったチンピラたちの挑発が引き金となり、ついに堪忍袋の緒が切れる。監督は「ハードコア」のイリヤ・ナイシュラー。共演に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のクリストファー・ロイド、「ワンダーウーマン」のコニー・ニールセンほか。
2020年製作/92分/PG12/アメリカ
原題または英題:Nobody
配給:東宝東和
劇場公開日:2021年6月11日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
4.0退屈な日常に反抗するカタルシスが楽しい。
○作品全体
変わらない毎日にある程度納得しつつも、少しずつ溜まって行く小さなフラストレーション。それが日常のノイズになってきたな…とかぼんやりと考えている時に、「ハードボイルドアクション」という響きだけで見始めたのが本作だったのだけど、そんなことを考えている自分にとって本作は予想以上の劇薬だった。
序盤の月曜日から金曜日までを繰り返すシーンが、まず惹きつけられた。クラクションの音、ゴミ捨て、肩身の狭い我が家…毎日のルーティーンに潜む鬱憤を短いカットで断片的に、何度も映す。我慢できないわけではないけれど積もっていく日常のフラストレーション。この映し方が巧いし、まとわりついている感覚がすごく身近に感じて良いシーンだった。
鬱憤を晴らすかのように暴れ回るアクションには、長年のブランクが徐々に解消されて行くのが感じられて面白い。バスのアクションでは奮戦しつつもボロボロだったハッチが、次は地の利を活かし、そして武器を使って薙ぎ倒して行く。カタルシスだけでなくギミックの多彩さにも惹かれた。
爽快感よりも痛々しさを重視したようなアクションがハッチの中に積もり積もったもの、というような鈍く重いものとリンクしていて、それがまた自分の中に抱えたものとも繋がって感じられたのが、この作品が「劇薬」になった一番の理由かもしれない。
ラストはハッピーエンドで納得しようとも思ったけど、欲を言えば家庭に帰らないでほしかったな、と思った。自宅までも犠牲にして、一時は家族をも危険に晒すというリスクを承知の上でハッチが始めたことだから、家庭を拾い直して刺激をも得る、というのはちょっと中途半端かな、と。
家族が「ミスター・ノーバディ」のハッチを受け入れる理由付けがもう少し欲しかったような気もする。
それでも、ここ最近見た作品群で一番カタルシスを感じられたことは事実。
なにかを置き去りにして本能のまま突っ走ることは、リスクはあれど最高に楽しい。それを思い出させてくれるような作品でもあった。
○カメラワークとか
・アクションシーンでブレカットが少ない。爽快感や疾走感は減るけれど、重みのある痛々しさが演出されていた印象。アクションのカット割り自体は見やすかったけど、シーンで繋ぐと位置関係が分かりづらかったかな、と思った。あまりそれを重視していないから良いんだろうけど。
・回想シーンでハッチが話すハンドガンの名前を間違うシーン。間違った銃を見せて、違ったとハッチが話してカメラが戻り、正しい銃を見せる。「信頼できない語り手」をコメディチックに映像で活かした演出。これはこの作品が初出しではないけど、一体どこから始まった演出なんだろう。
○その他
・お父さんも強いっていうのが一番面白かったなあ。耄碌しているようにみえるのはハッタリだった、というのは相当な意外性。敵役2人がやってきたときには、よく見る怒りの導火線に火をつける役回りかな、と思ったけど主戦力だったというところにびっくり。
3.5能あるおじさんの自我が甦る
予告映像で見たおでんを持つオデンカークのイメージと違い、ただのおじさんがキレ散らかす話ではない。このおじさん、ジョン・ウィックのカウンターパートのようなものだ。こちらはかわいい仔猫と一緒。
最初に主人公ハッチの数週間の日常が、高速スイッチングで描かれたところでかなり共感を覚えてしまった。重々しい効果音で、月曜(ドーン)火曜(ドーン)以下同様に水木金、毎週一緒なんで細部ははしょります。私の日常と似ている。
そんなハッチがひょんなきっかけでどんどんはじけてゆくさまは、何故か自分自身の単調な日常にも鉄槌を下してもらっているようで爽快だった。話の展開は荒唐無稽だが、庶民的な動機からのど迫力アクションというギャップの魅力に取り込まれてしまう。
一度は現役を去ったヤバい戦闘能力の持ち主が再び覚醒する、という設定は王道中の王道だ。ただ、大抵の場合主人公は必要性や正当な怒りに迫られてその能力を発現する。
一方、ハッチが覚醒する理由の根底には、判で押したような毎日でたまった欲求不満、「現役」の頃のぎらぎらした緊張感への憧憬がある。
強盗に入られて息子が殴られてもことなかれ対応をして警官に馬鹿にされたハッチ。家族で唯一自分に愛情を示してくれる幼い娘の猫ちゃんブレスレットの盗難に気付いたことがきっかけで、彼のスイッチが入る。
覚醒したハッチは、家族を守るべき強盗遭遇時とは打って変わって、たまたま路線バスでエンカウントした不良をボコボコにオーバーキル。外連味たっぷりながら、本人もそれなりにやられるところがリアル。これが身から出た錆的に更なる敵を呼び寄せる。
オデンカークはジャッキー・チェンへの憧れがあり、製作が軌道に乗る前から2年間トレーニングをし、自分でスタントをこなしている。彼は今年58歳、アクション俳優のキャリアなし。すごくないですか?
そしてある意味ハッチより魅力的なぶっ飛びキャラの父親デビッド。クリストファー・ロイド本当にいい味出してます。
悲壮感のない、暴れたいから暴れるおじさん達のカラッとした「昔取った杵柄」系アクション。
生活に縛られて疲れた心を解放してくれる、癒し系ファンタジーのようにも見えた。
4.0超景気のいいバイオレンスアクション!
4.0表情を変えずに変身するダメ親父のリアル
見るからに風采が上がらず、仕事場ではもちろん、家族からも軽んじられているダメ親父の権化みたいな主人公が、実はとんでもない切れ者だったという設定は、映画に意外性を求めるファンにはうってつけ。最大の肝はダメと切れ者の間にある落差だと思う。そういう意味で、『ブレイキング・バッド』やそのスピンオフ・ドラマ『ベター・コール・ソウル』で知られるボブ・オデンカークが演じるハッチの格差はジェットコースター級。疲れ果てた表情をほとんど変えずに逆方向へと振れまくる分、凄みとリアルが逆に強調されている。別に彼は"超人ハルク"ではないのだ。その分、『ジョン・ウィック』や『アトミック・ブロンド』の製作チームが用意した格闘シーンはかなり激しく、オデンカークは撮影に入る前の約2年(2年も!?マジか)をトレーニングに費やしたという。前作『ハードコア』で全編POV映像に挑戦したロシア人監督、イリア・ナイシュラーは、本作で変身ものというか、原点回帰ものを巧みにアップデートしてみせた。夫婦愛というロマンチックな要素を挟み込みつつ。こうしてハリウッドアクションは外部から新しい血を注入し、マニネリを打破していく。これからも、ずっと。
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