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アオラレ

劇場公開日:

解説・あらすじ

「グラディエーター」のオスカー俳優ラッセル・クロウが、あおり運転の常習犯を演じたスリラー。寝坊してあわてて息子を学校へ送りながら職場へと向かう美容師のレイチェル。車を運転する彼女は信号待ちで止まるが、信号が青になっても前の車は一向に発進しようとしない。クラクションを鳴らしても動じないため、レイチェルは車を追い越すが、つけてきた男から「運転マナーがなっていない」と注意されてしまう。謝罪を求める男を拒絶し、息子を無事に学校に送り届けたレイチェルだったが、ガソリンスタンドの売店でさっきの男に尾けられていることに気づく。レイチェルは店員から男があおり運転の常習犯であることを警告され……。素性不明の恐怖のあおり運転常習犯をクロウが怪演。被害者となるレイチェルを、「移動都市 モータル・エンジン」「否定と肯定」などに出演したカレン・ピストリアスが演じた。監督は「レッド・バレッツ」「幸せでおカネが買えるワケ」のデリック・ボルテ。

2020年製作/90分/PG12/アメリカ
原題または英題:Unhinged
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2021年5月28日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5ラッセル・クロウが全力でヴィランを演じ切る

2021年5月31日
PCから投稿

ラッセル・クロウが出ていなければ、いや、出ていても、やはり漂うB級臭。『激突!』『ヒッチャー』『フォーリング・ダウン』の系譜に連なる怪作だと思いつつ、カルト作として後の世に残っていくのかは、今の自分にはまだよくわからない。とりわけ、せっかく名前を与えなかった“男”に明らかに動機を与えてしまったことが、本作から魔法を奪ってしまったかも知れない、とも思う。

とはいえ、いざ物語が動き出してからは、スリルからスリルの連続攻撃でキビキビと進むのが心地よい。ラッセル・クロウの無双感と不気味さもかなりのものであり、あとカーアクションとして地味シブなアプローチもたまらない。いいジャンル映画を観たと素直に拍手したいし、前述の動機のことはさておき、クロウが一方的に悪く、主人公が一方的にとばっちりというわけでもないさじ加減は、いいところ踏ん張ってくれたと思う。いや、いいですよ、これはなかなかいいですよ。

村山章

4.0深く考えずに楽しめるジェットコースター的なアクション・スリラー作品。珍しく宣伝文句が大袈裟でないハリウッド映画。

2021年5月28日
PCから投稿

本作については、主演がラッセル・クロウであることと、ロックダウン解除後すぐに公開されアメリカなどで週末ランキング1位になったことは知っていました。
ただ、きっと駄作なんだろうな、と敬遠していました。
ところが映画の宣伝で、タイトルの「アオラレ」にかけて、週刊誌風な広告を作ってみたり、なかなか面白い試みを行なっていたので興味を持ちました。
そして実際に見てみると、意外にも宣伝文句が正しく突き刺さっていたのです!

「これが、あおり運転の最終形態。」
まぁそうでしょうね。なかなかこれを上回る事態はない気がします(笑)。

「たった一度のクラクションが、すべてを変えるーーー」
これも(イライラしがちな)現代の自動車社会の真理を的確についている構図でしょう。

このように、実は本作はリアリティーのある設定になっているのです。
そう、ラッセル・クロウ扮する素性不明な男の言動以外は、リアリティーのある日常なのです。
ただ「ゴツい素性不明な男の言動」だけは読めません。
そのため、ノンストップで起こり続ける事態に、ただ身を委ねているしかできないのです。
このようなジェットコースター的な映画は途中で冷めがちですが、本作は意外と良く出来ていて90分をドキドキしながら最後まで楽しめると思います。

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共感した!22件)
細野真宏

2.0邦題がよくないな

2024年6月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

怖い

他の方のレビューで原題は錯乱だったことがわかって納得です!

本作からの教訓は『クラクションの使い方』。
あと時間の余裕は大事ね!

それにしても
メタボじゃねーか!ラッセルさん!!!
どうした!グラディエーター!!!!!
一番驚いたとこはそこです!あんなに腹が出ちゃって…あぁ〜…

べすぱ

4.0邦題でスルーするのはもったいない良作サスペンスアクション

2024年5月28日
iPhoneアプリから投稿

冒頭でニュース映像を用いて山積する社会問題をアレコレと雑多に並べ立てるくだりを観て、てっきり社会派映画かと思い込んでいたが、実際はラッセル・クロウ演じる異常者トムが好き放題に暴れまくる脳筋映画だった。

本作におけるトムの人物造形はコーエン兄弟『ノーカントリー』に登場する殺し屋シガーに近いものがある。自分の欲求のためであればどこまでも他者を欺き、蹂躙することができるサイコパス。それでいて殺人そのものを目的化している快楽殺人者という感じもなく、それゆえ人間性というものからもっとも隔たったところにいるような印象がある。

本作の場合、トムはいちおう社会に対する憎悪というヒューマンな行動原理を抱えてはいるものの、その憎悪はどこまでも曖昧であり、「社会が悪い」以上の射程を持っていない。そのあまりにも近視眼的な思考回路が、彼の他者との相互関係の乏しさを浮かび上がらせている。

とはいえトムは単にパニック映画のモンスターのようなコミュニケーション不可能のバケモノではない。むしろ彼の話術は非常に巧みで魅力的だ。カフェでレイチェルの弁護士と向かい合うシーンなどが好例だろう。トムはレイチェルの知人を装い、弁護士からレイチェルの情報を聞き出す。あまつさえコーヒー一杯を賭けた気の利いたゲームまで提案する。

しかしほどなく彼は「弁護士」という大文字の肩書きが惹起するブルジョア性に対する憎悪を急沸騰させ、その場で弁護士を刺し殺す。あまりにも唐突な変貌ぶりに唖然としてしまう。

ひたすら淡々と人を殺し続ける『ノーカントリー』のシガーよりも、その都度都度で人格が急変するトムのほうが場合によっては恐ろしいかもしれない。

その後幕を開けるレイチェル(&息子のカイル)とトムのカーチェイスはなかなか迫力がある。線路下のせせこましい道路でギュンギュン暴走しまくるシーンはウィリアム・フリードキン『フレンチ・コネクション』を彷彿とさせる。スタントを使ってるとはいえマジで危ないよな…

レイチェル&カイルvsトムの追走劇の最終決戦は民家に持ち越される。このあたりはありきたりな感じが否めない。ただ、冒頭でのレイチェルの美容師設定が意外な形で活きてくる。美容師といえばハサミ、ハサミといえば武器。トムにトドメを刺したのは彼女が尻ポケットに忍ばせていたハサミだった。

前半の緊迫したサスペンスに比して後半の展開がありきたりてあるという点において若干の不満は残るものの概してスリリングな作品だった。邦題のバカバカしさで鑑賞を見送るのはもったいない。

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