華氏119
劇場公開日:2018年11月2日
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解説・あらすじ
アメリカの銃社会に風穴を開けた「ボウリング・フォー・コロンバイン」や医療問題を取り上げた「シッコ」など、巨大な権力に対してもアポなし突撃取材を敢行するスタイルで知られるドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアが、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプを題材に手がけたドキュメンタリー。タイトルの「華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)」は、トランプの大統領当選が確定し、勝利宣言をした2016年11月9日に由来。ムーア監督の代表作であり、当時のジョージ・W・ブッシュ政権を痛烈に批判した「華氏911(Fahrenheit 9/11)」に呼応するものになっている。16年の大統領選の最中からトランプ当選の警告を発していたムーア監督は、トランプ大統領を取材するうちに、どんなスキャンダルが起こってもトランプが大統領の座から降りなくてもすむように仕組まれているということを確信し、トランプ大統領を「悪の天才」と称する。今作では、トランプ・ファミリー崩壊につながるというネタも暴露しながら、トランプを当選させたアメリカ社会にメスを入れる。
2018年製作/128分/G/アメリカ
原題または英題:Fahrenheit 11/9
配給:ギャガ
劇場公開日:2018年11月2日
スタッフ・キャスト
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2018年10月24日
フォトギャラリー
映画レビュー
3.5Moore's Memoirs Illustrate a Country with Amnesia
This film is less an assault on Trump--something I had anticipated--and about how Americans need to unite in the grassroots to save the country from something it has been devolving into for decades. "The ideal America hasn't existed yet." There are episodes in recent history explored there are easy to forget: the West Virginia teachers strike, and Obama's military invasion of Flint.
3.028年前のフリントの時から
ブッシュ再戦を阻止するために製作した「華氏911」よりこちらのほうが優れた作品だ。911の方は、アメリカがおかしくなった原因はブッシュにあると批判した作品だった。しかし、「華氏119」はより広い視点でトランプ政権誕生という現象を捉えている。911の方は、ブッシュが原因だと言うばかりだったが、119でマイケル・ムーアはトランプが原因だと言っていない。むしろ、格差などの放置が原因でトランプ政権誕生は、その「結果」なのだと言っている。アメリカメディアがトランプの批判に終始して、本当に報じなければいけないことをおろそかにした結果、地方が荒廃し、エスタブリッシュメントへの怒りがトランプ政権を誕生させた。ムーアの故郷、フリントの惨状を目を覆わずにいられないが、彼がフリント窮状を取り上げたのは、28年前の「ロジャー&ミー」の頃だ。民主党も共和党もその間有効な手立てが打てなかった。トランプ批判とともに既存エスタブリッシュメント批判も忘れていない作品だ。
4.0こんなに共感できるM.M.ドキュメントって。
アポなし取材を売りにしてきたマイケル・ムーアの最新ドキュメントは、ところどころいきなり体当たりを食らって戸惑う取材対象者の様子を映し出すものの、主眼は変わらず意図的で鋭い現状分析。誰もがヒラリーの勝利を疑わなかった前の大統領選挙の"嵐の前"の静けさと愚かさ、トランプが爆走する中、民主党内に巣くう共和党よりもコンサバな組織倫理、そして、最も強烈なオバマの裏切りetc、ムーア自身の稼働力の衰えは隠せないものの、こんなグローバルな時代に於いても、まだまだ外国にまでは伝わってこない別角度からのアメリカを教えてくれる。中でも、クラスメートの多くを学内テロで失った高校生たちが決起し、銃規制の重要性を訴える映像は、ムーアお得意の演出と構成力とは無縁の、今のアメリカの病理と再生への可能性を実感させて、思わず胸が熱くなる。ダメな現状をぶち壊し、信じられる未来へ歩み出たい!こんなに共感できるマイケル・ムーア・ドキュメントはかつてなかったかも知れない。
4.0中間選挙への影響に注目!
マイケル・ムーアは「華氏911」で同時多発テロをめぐるブッシュ政権の有り様を徹底的に批判し、ブッシュの再選を阻もうとしたが、残念ながら選挙に大きな影響を与えることはなかった。そのリベンジというわけでもないだろうが、トランプ勝利を事前に予言していたムーアが、今度はトランプ再選を占う11月の中間選挙に「華氏119」をぶつけてきた。本作を見ると、トランプを担いだ共和党もひどいが、若者や労働者層に人気のあったサンダース候補をおよそ民主的とは言えない方法で葬った民主党の駄目さ加減にも悲しくなる。2年前、民主党は負けるべくして負けたのだ。
ただし、本作は希望を持てる要素もしっかり取り上げる。銃規制の問題を大人に任せられないと立ち上がり全米規模のムーブメントを起こした高校生たちと、新人女性候補者たちの躍進だ。MeTooやテイラー・スウィフトの民主党支持表明も追い風に見えるが、さてどうなるか。
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