劇場公開日:2019年8月23日
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解説・あらすじ
「ゴモラ」などで知られるイタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が、1980年代にイタリアで起こった実在の殺人事件をモチーフに描いた不条理ドラマ。イタリアのさびれた海辺の町。娘と犬を愛する温厚で小心者の男マルチェロは、「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営している。気のおけない仲間たちと食事やサッカーを楽しむマルチェロだったが、その一方で暴力的な友人シモーネに利用され、従属的な関係から抜け出せずにいた。そんなある日、シモーネから持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒を担ぐ羽目になったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失ってしまう。娘とも自由に会えなくなったマルチェロは、平穏だった日常を取り戻すべくある行動に出る。主演のマルチェロ・フォンテが第71回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲得したほか、イタリア版アカデミー賞と言われるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞・監督賞など9部門を受賞した。
2018年製作/103分/PG12/イタリア・フランス合作
原題または英題:Dogman
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2019年8月23日
スタッフ・キャスト
受賞歴
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映画評論
本作が映し出す“小宇宙”は、個人のレベルを遙かに超えた“世界そのもの”だ
まず、冒頭の異様な光景に唖然とさせられる。海辺に打ち捨てられたビーチリゾートの残骸。生命を感じない緩慢な地獄。これはナポリの北西約30キロにある"パルコ・サラシェーノ"という廃墟で、マッテオ・ガローネ監督は「ゴモラ」などの過去作でも好んで撮影に使ってきた...
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映画レビュー
4.0この小さな町、小さな人間関係に「世界」が透けて見えてくる
犯罪社会の実相をドキュメンタリー・タッチで描いた『ゴモラ』で注目を集めたガローニ監督だが、最近はその不条理感をファンタジーの領域にまで高めた作品が続いていた。で、今回の新作はというと、久々に小さな町の社会、リアルな人間関係を追求しつつも、観た人の誰もが「寓話的!」と評さずにいられない、一人の風変わりな男の心根に深く寄り添った怪作となった。
誰にでも厄介な友人は一人くらい存在するが、本作の「友人」は怪物クラスに厄介な男だ。関わった全ての人を不幸にするし、心を尽くして付き合っても必ず裏切られる。そんな時、我々はどこまで微笑みを絶やさぬキリストになれるのか。ヒョロッとしてギョロッとした主人公の職業が犬のトリマーという着眼点が面白く、ラストもまさに寓話的なオチが待っている。
この小さな町に、時々、世界が透けて見える。とりわけトランプ誕生後の世界政治は、まさにこれと瓜二つなのではないだろうか。
2.0似たような話は現代社会にもありそう
シモーネ≒チンピラ
小心者で心優しい人間のマルチェロは、シモーネに媚びることで身の危険を回避してきた。シモーネもチンピラ特有の飴と鞭を使い分ける。
マルチェロは、シモーネを懲らしめようと檻に閉じ込めたけど、暴力的なシモーネは檻を破ろうと暴れてまくり、恐怖を感じたマルチェロは殴打する。
顔面血だらけになって、ぐったりしているシモーネに薬を塗ってあげる。「どっちなんだい!」とマルチェロにはイライラする。
気の小さい、想像力が欠如している男の結末は
殺人犯と最悪な結果に。
構成にメリハリがなかった?
アメリカ映画に慣れちゃった?
途中で眠たくなってしまったので、星は2つ。
寝ちゃったので二度観ました。
3.5タイトルなし(ネタバレ)
終盤までマルチェロの感情が分からない&もうやめとけ、(嫌な予感しかしない)映画なので観るの疲れた。
省略的な編集とマルチェロ役の人の演技が良い。
マルチェロはシモーネにとって冒頭の荒っぽい犬の様にいつか手なづけられる犬だったのか、、特殊すぎる関係性描いた作品だが
この閉鎖的な村社会に、日本的な雰囲気も感じる。
村の厄介者を排除したいが、手を汚したくはない、できれば何処か余所者がやってくれればいいのにと願うコミュニティの住民たち。いざ、身内の中で手を汚した人がいても、そこには手を差し伸べずにその人も排除して、万事解決してしまう。村社会とゆう生き物と、そこに迎合できないマルチェロとシモーネの話。
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3.5ジャイアンとスネ夫
主人公マルチェロはどちらかというとのび太ではなくスネ夫に近い。おそらくシモーネとは幼馴染。子供の頃から悪友として一緒に悪さをしてきてそのまま大人になってしまったが、ジャイアンであるシモーネはいくつになってもジャイアンのままだった。そしてスネ夫の方もそんな腐れ縁を断ち切れず、おこぼれを頂戴したりしてズルズル関係を続けてきた。
こんな関係はどこかで断ち切らなければならなかった。いい大人ならシモーネはどうみても常軌を逸しており、今まで通り付き合いを続けていけばいずれは破綻が来るのは目に見えていた。そういう意味でマルチェロも純粋な被害者とは言えない。ただ、少し要領が悪いところがあって気の毒だとは思う。離婚されたのは納得。
本作の二人の関係性を見てると他のレビュアーの方も書かれてる通りアメリカと日本の関係を想起する。戦争でアメリカにこっぴどくやられて敗戦を迎え、戦後は民主化の名のもとに実質対共の防波堤として都合よくアメリカに利用され、いびつな民主国家になってしまった日本。
原爆投下に関しては被害者ともいえる立場ながら、アメリカの顔色伺いで核兵器禁止条約には反対するという矛盾。挙句の果てにはアメリカの戦争犯罪であるイラク戦争にまで加担。これはいやいやながらもシモーネに加担せざるを得なかったマルチェロの姿そのまま。
ラストでシモーネを思いがけず殺してしまったマルチェロ。草むらに放置しておけばおそらくお咎めはなかったかも。警察もいい厄介払いができたと犯人捜しをおざなりにするだろうし。でも結末は公園でシモーネの遺体とともに茫然自失状態のマルチェロの姿で終わる。
これはいろんな解釈ができるよう監督がこのように即興で撮ったらしい。これが功を奏したと思う。このラストシーンを見て、日本はいつまでアメリカと今のままの付き合いを続けるのだろうか、アメリカに乗せられて台湾有事とか威勢のいいこと言って最終的にマルチェロのようになってしまうよと思わずにはいられなかった。
犬のようにご主人様シモーネに献身的に仕え、裏切られてそれでも逆らえず生きてきたマルチェロ。人間と犬との関係が切っても切れない関係であるかのようにマルチェロとシモーネの関係も断ち切ることは難しかったのかもしれない。ドッグマンのタイトルが最後の最後になって分かった気がした。
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