バーバラと心の巨人
劇場公開日:2018年10月12日
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解説・あらすじ
「ハリー・ポッターと賢者の石」のクリス・コロンバス監督が製作を務め、ジョー・ケリーと日系イラストレーターのケン・ニイムラによるグラフィックノベル「I KILL GIANTS」を実写映画化。風変わりな少女バーバラには、やがて襲来する「巨人」を倒すという使命があった。ところが姉カレンやモル先生、初めての友人である転校生ソフィアですら、巨人の存在を全く信じようとしない。そしてついにバーバラの前に巨人が現われ、ある試練をもたらす。「死霊館 エンフィールド事件」のマディソン・ウルフが主人公バーバラを好演。モル先生を「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのゾーイ・サルダナ、バーバラの姉カレンを「マイ・ファニー・レディ」のイモージェン・プーツがそれぞれ演じた。監督は、「ヘリウム」で第86回アカデミー賞短編実写賞を受賞したアナス・バルター。
2017年製作/106分/G/アメリカ
原題または英題:I Kill Giants
配給:REGENTS、パルコ
劇場公開日:2018年10月12日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
3.5空想は生きるための豊かな知恵
邦題が良い。原題では巨人は実在するのかのようにも感じるが、正直巨人の存在の有無に関してはスリルは乏しい。ならば最初から「心の」と銘打っておいて、なぜバーバラがそんな虚構にとらわれているのかに観客の視点をフォーカスさせた方が物語の緊張感が高い。
物語は少年少女の通過儀礼を、一風変わった展開で描き、空想することで人は強くなれるんだということを描いている。アンダース・ウォルター監督は、オスカー短編賞を受賞した『HELIUM』でも同様のテーマを描いている。『HELIUM』では死を迎える子どもが空想することで死に向き合う、本作では空想で生きることに向き合う少女を描いている。
世界には理不尽なことがたくさんある。それを乗り越えるためにも空想が必要。昔の人は天災を神の怒りなどの宗教的な空想感で乗り越えてきたのと同じことだ。これは人間が本来持つ生きるための豊かな知恵だ。
4.0邦題の「心の」は余計なお節介だが、中身は上出来
原題は「I Kill Giants」。映画の世界では森の木ほども背丈のある巨人が実体を伴って登場する。はたして現実か、それとも想像の産物なのか。もちろん大人の常識にてらせば、巨人なんているわけないから空想に決まっている。だが、サンタクロースや幽霊や宇宙人の存在を信じていた子供の頃の自分だったらどうだろう?そんな風に考えると、邦題に「心の」を入れたことは観客に先入観を与えてしまう点でマイナスだ。私は巨人を殺す、では映画のタイトルっぽくないが、想像力を刺激し解釈の幅を持たせる工夫がほしかった。
作品自体はかなりいい。主演のマディソン・ウルフ、撮影当時は13、14歳あたりだが、確かな才能を感じさせる演技力。クラスで孤立していた彼女と、イギリスから来た転校生との友情の紆余曲折もはらはら、ひりひりさせられる。イモージェン・プーツの出番が少なく魅力を十分に発揮できていないのが惜しい。
3.5思ってたジャンルと
全然ちゃいますやーん!不意打ちですやーん…
フィラデルフィアの海岸沿いにある小さな町に住む主人公のバーバラは、ゴリゴリの中二病な感じで、日夜巨人と戦うための準備をしている。
好きな餌の配合を調べる、餌を付けた罠を仕掛ける、武器を準備する、周囲を監視するなどなど。
でも、時代は現代、普段はバーバラも普通に学校に通ったりしてる、全くの日常世界。
こうなると、完全に周囲はもう変な人としてしか見ない。なので誰も近づかない。
すると自分の基地(中二病と言うかもう小学生ノリよね)の前で見たことのない女の子に声を掛けられる。名前はソフィア、イギリスから引っ越しえ来たらしい。なのでソフィアも孤独。そんな孤独な二人がすぐ打ち解け…ない。バーバラは変人風な上にとことん人を突き放すような口ぶりなので、ますます孤立を深める。
まあ、とは言ってもそのままの距離だとお話が続かないので、ある事件をきっかけに仲良くなるんだけど、でもやっぱりある一線でバーバラはソフィアすら寄せ付けない。
特に異常な執着を見せる巨人退治については、ソフィアもお話レベルはついていけるものの、動物の死体いじくったりし始めるともうついていけない。そりゃそーよ。
学校でも当然浮いた存在で、ソフィアが唯一の人とのつながり。それとあともう一人、スクールカウンセラーのガモーラ、違う、モル先生もバーバラのことを気にかけている。
ただ、大人には更に心を開かないバーバラ。
更に、家でも毎日仕事と家事に追われて疲れ果てている姉のカレン、ゲームばかりで存在空気の兄貴(名前も知らん)との生活もいつもギクシャクしていて、一人で巨人に向き合う時間だけが自分の時間になっている。
さて、ここまで観て、ジャンル的には私しか見えない敵と戦うホラー系なのか、それとも巨人の圧倒的フィジカルに対峙して知恵でやっつけるバトルアクション系なのかな、と思った私はお馬鹿さんなのでしょうか…。
後半、いや終盤近くになるまで、とにかくバーバラがイタい、じゃない、痛々しい。人に対して、なんでそんな言い方するのよ、とこっちが泣けてくるような棘の生えまくった言葉の数々。それを言っちゃあお終いじゃんと思うことが数知れず。それに対してガモーラ先生とソフィアちゃんはマジ献身的で、しまいにはバーバラヘイトが集まりそうなぐらい。
特にソフィアちゃんは途中あれこれあったものの、自分を想ってくれる存在の大切さと言うか健気さと言うか、完全に犯罪になるのでやめておきますが抱きしめてあげたい存在。
最後の20~30分ぐらいかなぁ、最終決戦前からもう感情の振り子が予想もしない方向に振り切れてしまって、その結末は何というか、全てを受け入れつつエンディングを迎えることができた。
久々に映画観てて、例のアレがアレしましたよ。一人でよかったー。
クライマックスまではしんどい展開との結構我慢比べ。だけど、最後はちゃんと受け入れられる結末だと思います。佳作でした。
2.5タイトルなし(ネタバレ)
残念ながらカタルシスが無い。
途中までは期待しながら見ていたが、
ラストまでの予想が出来た時点でそのままの終わりだった。
例を出すと”ビッグフィッシュ”や”ウォルター少年と、夏の休日”の作品のような
腑に落ちる落としどころが無かったのが残念でした。
主演のマディソン・ウルフは素晴らしい演技をしていたので今後も追いかけたいと思います。
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