世界を変えなかった不確かな罪
劇場公開日:2017年12月9日

解説・あらすじ
ドキュメンタリー映画やミュージックビデオ、舞台など、多岐にわたり活動している奥田裕介監督が、ジョージ・ガーシュウィン作曲による名曲「サマータイム(Summertime)」にインスパイアされて作り上げた劇場長編初監督作品。工場を見下ろすある町で、忘れられない罪からこの町に逃げてきたピノと、過去の罪と町から逃げ出せないパピコが出会った。2人の人生が交錯する時、10年前に止まっていた物語が「サマータイム」の切ないメロディとともに動きはじめ、ピノ、パピコの2人に孤独な少女・菜摘、謎の男・真島が加わり、それぞれに思いを抱えた4人の小さな旅が始まる。ピノ役を「ヘヴンズ ストーリー」の寉岡萌希、パピコ役を「死んだ目をした少年」のヒロイン役で注目され、CMやドラマでも活躍する紗都希が演じるほか、アイドルでグラビアでも活躍する松永有紗、インディ映画を中心に活動する木村知貴、ベテランの外波山文明らが出演。
2017年製作/101分/G/日本
配給:ガチンコ・フィルム
劇場公開日:2017年12月9日
スタッフ・キャスト
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映画レビュー
4.0タイトルなし(ネタバレ)
【2回目鑑賞後の感想】
私は今まで、事件・事故には同情あるいは共感出来る部分もある「加害者」は居ても、善意からの行為で法では裁かれない「不確かな罪」という存在について考えたことが無かった。故に本作で、不確かな罪の存在とそれが自分にも起こり得る可能性が高いものだということを強く考えさせられた。
それでも本作1回目鑑賞後しばらく本作の内容について考えていた時、ピノにもパピコにも「法では裁かれない罪でも〈先を見通せなかった責任〉はあるのではないか?」と考えたこともあった。
ピノは菜摘の食物アレルギーの可能性を、パピコは遅い時間に女性が1人で出歩く危険性を、それぞれ考えられていれば、菜摘が蕎麦によるアナフィラキシーで緊急搬送される事故も詩子が襲われる事件も起こらなかったのではないかと。
しかし自分に置き換えて考えた時、冷静に判断出来るのかとも思った。人間はいつでも正しい判断が下せる訳ではない。その時の体調や心理的状況などによって誤った判断をする生き物だ。
ピノは「幼い菜摘の空腹感を満たしてあげたい」、パピコは「詩子が思い入れを持っている27歳を一緒に祝いたい」、という想いが強すぎてその事しか考えられない状態だった。
この状態の彼女たちを責められる、常に沈着冷静な人はほとんどいないだろう。
葬儀屋の後藤には2つの不確かな罪が関係している。1つ目は後藤自身が妻子を海へ連れて行ったこと。2つ目は妻子が誰かの遊具を取ってあげようとしたこと。ピノとパピコに目が向きがちだが、後藤は自身の不確かな罪だけでなく妻子の分まで背負っているので、実はピノやパピコよりかなり重く罪の意識を持っているのではないだろうか。
加えて葬儀屋という職業柄、死は誰にでも訪れることを知っている分、自身の行動で家族が逝くのを早めてしまったという苦悩を抱えていると感じた。ピノたちが来て家族のように過ごし、自分の気持ちを吐露して菜摘に「あなたは悪くない」と言ってもらえたことが、後藤にとって大きな救いになったと思う。
菜摘は、ピノたちに連れ出されたことで、知らない風景を見たり体験をしたりして今までの閉ざされた空間から少なくとも心はちょっと解放されたように見えた。今回の事を機に明るい方へ自分の力で歩き出して欲しいと願うばかりだ。
もう少し描いて欲しかったと思うシーンがある。ピノやパピコたちが菜摘と居たことへの処遇についてだ。詳しく描くと本筋からズレてしまうというのはわかるが、「自分自身があの立場だったら…」と当事者意識が高くなる作品なので、現実的な部分も描いてもらいたかった。
本当に本作は「感想を言うのが難しい」(←奥田監督が1番言われたい言葉らしい)。だがそこには、現代の私たちが考えるのを止めた大切なことがあると感じる。
だからまた本作を観たい!!1日上映ではなく長い上映期間で。
4.0タイトルなし
4.0罪の意識から逃れられない人々の救済の旅
3.0あなたは悪くない
何気ない善意の差し伸べが、意にそぐわず却って相手に多大な損害を与えてしまい、そのトラウマを抱えてしまった人達の邂逅がストーリーの作品。
なにぶん、そこまでマニアではないから、映画界、演劇界の隠れた実力の、又は新進気鋭の俳優を存じ上げていないので今作品の出演者は須く『はじめまして』である。そんな中で、主役のピノとパピコ役の女優の可愛さが目を惹いた。今後、色々な展開を繰広げるだろうし、体当たり演技も辞さない覚悟を感じ取れる。
ストーリー及び演出等は、期待値が低かっただけ、それ以上の感動を与えてくれた。特に、家族を海難事故で失ってしまった葬儀社の社長に対し、家庭内虐待を受けていた女子中学生が、表題の台詞をずっと呟きながら、背中を擦るシーンは、心を締め付けられ、一気に哀しさが溢れ出てくる。
展開のキモである、そばアレルギーのオチは、実際に起こった事件が元ネタであると、上映後の懇談で監督が話していたが、その子供の母親に街で偶然であったとき、母親は笑っているのか、泣いているのか、何かを食べているのか、その時の態度で受ける印象が変わってくるという想像が着想であるとのこと。中々の妄想であり、それが監督という才能をたらしめているのだろうと感心した。
ただ、ロケ地が安中市である理由が今イチ不明だったことを付け加えておく。亜鉛工場の歴史はバックボーンには何も関係無い様だったし。。。
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