劇場公開日:2016年2月12日
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解説・あらすじ
「真夜中のピアニスト」「預言者」「君と歩く世界」など数々の名作を手がけるフランスの名匠ジャック・オーディアール監督が、2015年・第68回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した作品。内戦下にあるスリランカからフランスに渡るため、偽装家族となった元兵士ディーパンと女と少女の3人は、パリ郊外の集合団地でささやかな幸せを手に入れようとしていた。しかしその矢先、3人は新たな暴力に見舞われてしまう。人種や宗教、移民問題に揺れるヨーロッパ社会を背景に、暴力や戦いを捨て、愛や家族の絆を求めた人々を描いた人間ドラマ。主人公ディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターサンは、スリランカ内戦の元兵士で、フランスに亡命後に作家として活動しており、今作で演技に初挑戦した。
2015年製作/115分/G/フランス
原題または英題:Dheepan
配給:ロングライド
劇場公開日:2016年2月12日
スタッフ・キャスト
受賞歴
ディーパンの闘い の関連作を観る
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映画評論
社会問題を見据えながらも描かれる、任侠映画とも通じるやさしさの美学
昨年、カンヌで前評判の高かったライバルたちをさしおいて大賞に輝いた本作。結果を報じる記事にはどこか"番狂わせ"といったニュアンスも漂っていた気がする。半年を経てそんなパルム・ドール受賞作「ディーパンの闘い」を実際に目にしてみると、同じジャック・オディアー...
この映画評論・批評を読むフォトギャラリー
映画レビュー
3.0それが悲しく、だが、うらやましくもある。
予備知識は、「パルムドール」とスリランカ内線から逃れた「疑似家族」、そして「タクシー・ドライバー」。
ジャック・オーディアールの作品は初めてであるが、予備知識から想像できることがあてにならないことは、気配でわかる。
「ディーパンの闘い」
序盤、ディーパンの「家族」ができるまでの過程が恐ろしく、だが、ディーパンと名乗るその男も妻子をなくし、祖国を捨て、新しい生活を送ろうとする。
慣れない環境、仮の家族、だが、生きなければならない。集合住宅の管理人の職を得、平和に暮らしたい。そんな思いは、周囲の集合住宅の喧騒、暴力に巻き込まれていく。
と書けば、いわゆるラジオで俗にいう「ナーメテーター」のお話。
カレーがフレンチをぶちのめす。
といえば簡単なのだが、この映画のすごさは、ディーパンの「能力」が最後の最後まで分からないところにある。風貌も気配もリアルに普通の人だ。ラストの10分で、むしろその風貌が、激しいスリランカ内線の、生き残った「ふつうの」男として、彼の行為に爽快感だけではなく、恐怖を感じる。
だが、恐怖だけでなく、圧倒的な魅力ある「力」にも見える。
そのことがすごいのだ。
これは、ベトナム帰還兵の、狂気でPTSDを描いたと言われる「タクシー・ドライバー」とは違う。
ディーパンにとって、忘れたい戦争だが、忘れてはいない暴力。愛するものを守るには、力がすべて。
「戦争」を「暴力」と、たった一言で否定する者を打ち砕く、圧倒的な説得力のある力。
それが悲しく、だが、うらやましくもある。
原動力は愛だということはしっかり描いているので、賛否を呼んだといわれるラストはオレは支持する。
追記
カメラがとても楽しい。
ドキュメントタッチの前半の随所に現れる、フェードアウトの多投が心地いい。ぐっと登場人物の内面に引き込まれたり、こっちが勝手にいろんなことを想像させてくれる。ラスト10分の助手席から真横で撮った運転シーンが素敵だ。あんなハネた絵見たことない。
追記2
この後で「君と歩く世界」を見た。シャチ嫌いの俺は二の足を踏んだが、見て思ったが、ジャック・オーディアールの世界観は共通してるようだ。(こりゃ「預言者」は見なきゃな)
それにしても、尊敬するレビュアーさんのオーディアール作品のレビューは素晴らしいね。
0.5ジュマペール ディーパン♥
先ずは、フランスの移民制度をオフ・ビートに紹介した映画です。
『ほんの少し偏見や差別がありますが、黙って貰えれば傷つけません。頑張って下さい。フランス国民は貴方がたでも受け入れますよ』と言っています。半分は本当。
しかし、そんな事すれば、来れなくなりますよ。黙ってますから早くもっと安全な所へ逃げて下さい。
って言ってます。分りますか?車はおフランスは右を走ります。
鑑賞者の皆さんはこのスリランカの人達を難民と見ているでしょうが、なんの難民なんでしょう。スリランカの内線は15年前に終わってます。2009年に終わってますから、この映画は2015年で、内戦終結後6年経っています。従って、彼らは就労ビザの取得、若しくは移民申請をして、フランスへやって来ているわけです。違法なのは、彼等が偽装家族と言う事だけです。
どこかで似たストーリーがありましたが、どっちがリスペクトしたのでしょう?
この映画は2015年であの映画は2018年です。結論ははっきりしてますよね。なんか似てますよね。
まぁ、こんな事もありますね。
流石、フランス人監督です。あの映画はこの映画をリスペクトしているっておっしゃりたいのだと思います。
4.5なぜ彼は闘うのか
内戦を逃れフランスにたどり着いた偽装家族が暮らすことになった地域は怪しいギャングのような者たちがたむろする団地だった。
ここで、移民だからとかスリランカ人だからとかで酷い扱いを受ける展開かと思うでしょ?しかしそうはならない。
次に、団地のヤバそうな人たちと良い感じに親交を深めちゃうパターン来るか?と思った瞬間くらいに、この予想も裏切られる。
こんな感じで三度か四度ほど予想をかわされたわけだが、気がつけば前のめりになるほど見いってしまった。
一瞬たりとも見逃すまいと感じさせるジャック・オーディアールの演出は荒々しいのに繊細で、これだけ削ぎ落としていても事を伝えられるのは凄いことだと思う。
他のレビューを読むと説明不足を指摘しているものもあるが、「トランスフォーマー」のような娯楽作品をあまり面白いと思えなくなってしまった自分のような人間にはこれくらいでちょうど良い。
それで内容については、スリランカの内戦のことや移民のことなどテーマの核になりえる事柄は多いが、やっぱり一番はディーパンはなぜ戦うのか、だろう。
スリランカで妻と子どもを亡くしたディーパンは作品の中盤で「私の戦いは終わった」と言う。守るべき存在を失い、戦う意義が彼の中でなくなってしまったのだ。
それが、今いる疑似家族が危険にさらされ、命すらも危ないとなったときに、ディーパンはスリランカで兵士だったときの歌を歌い、ディーパン自身がここはフランスだからスプーンで食べるように娘に促していたのに自分は手で食べるように戻っていく。
つまり過去の戦う男に戻っていくのだ。それは同時に、新たな戦う意義、新しい家族、守るべき存在を見出だしたことにつながる。すでに、持っていた元の家族の写真も弔った。
ちょっと極端に言えばオーディアール版「万引き家族」だったわけだ。こちらの方が古いので「万引き家族」が是枝版「ディーパンの闘い」なわけだけど、要は血の繋がらない家族と愛の物語なのだ。
エンディングの明るい日差しと幸せそうなディーパン、そして正気を失ったディーパンを張り飛ばしたヤリニの手が彼の頭に添えられたとき、オーディアール監督の優しさと温かさがにじみ出た。名作です。
4.0安住の土地を追われさまよう日常とは
中東、アフリカ等、本来なら守られるはずの国民が、政府や反対勢力に痛めつけられ、あげくは外国の代理戦争の犠牲になって、安住の土地を追われさまよう現代の悲劇を訴えかける映像は、暗く冷めたい目で、出口のない日常を描いていく。
スリランカの内戦で妻子を亡くした35歳の男性と、親戚のいる英国を目指す24歳の女性、それに親を亡くした9歳の少女は、国外脱出のために、家族に仕立て上げられ、フランスの安アパートに住むことになるが・・・映画はこの偽装家族を見捨てない。
しかし、難民とはいっても、日本の終戦後ほどひどい服装や、飢えに苦しむほどではなく、明日の希望がなくても、仕事があることが救いだ。そこには目に見えない支援の手が想像できる。戦争の被害を直接受けながら、脱出もできない大多数の人々の悲惨も思いやる必要があるだろう。
訪問介護の仕事にありついた女性が、周りの暴力騒ぎに何もかもいやになって家を飛び出し、英国へ行きたいと、ホームで列車を待つシーンがやるせない。
奥さん役をやる女優さんが上手い。
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