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ヤクザと憲法

劇場公開日:

    ヤクザと憲法

    解説・あらすじ

    ヤクザと人権問題に迫ったドキュメンタリー作品。製作は、戸塚ヨットスクール事件を扱った「平成ジレンマ」、四日市公害問題を扱った「青空どろぼう」など、さまざまな社会問題を取り上げた作品を世に送り出している東海テレビ。暴力団対策法、暴力団排除条例の施行以降、ヤクザや暴力団の構成員数が減少に向かっている。これまで以上の逆風の中で、彼らヤクザはどのような日常を送り、何を考えているのか。大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にカメラが入り、これまで見えなかったヤクザの現実を記録。「清勇会」会長は、カメラの前で「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語りはじめる。2015年3月に放送され、反響を呼んだドキュメンタリー番組の劇場版。

    2015年製作/96分/日本
    配給:東海テレビ
    劇場公開日:2016年1月2日

    スタッフ・キャスト

    監督
    プロデューサー
    阿武野勝彦
    音楽
    村井秀清
    音楽プロデューサー
    岡田こずえ
    撮影
    中根芳樹
    音声
    野瀬貴弘
    オーサリング
    山口幹生
    TK
    河合舞
    音響効果
    久保田吉根
    題字
    山本史鳳
    CG
    松井裕哉
    編集
    山本哲二
    法律監修
    安田好弘
    全てのスタッフ・キャストを見る

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    (C)東海テレビ放送

    映画レビュー

    4.0ヤクザも人の子

    2020年7月21日
    iPhoneアプリから投稿
    鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

    ヤクザにもまともな常識を持つ人もいれば正義感が強い人だっているだろう。サラリーマンにだって不届き者はいるし、法を犯す者だっている。実際この映画の中で家宅捜査に入った刑事の態度は横柄で横暴でいかにも権力側に立ち自分たち以外を下に見ている態度だった。

    ドスの効いた声で若い衆を恫喝したり小突き回す音など、いかにもヤクザの世界だと思わせるシーンはあったけれど、親子ほど歳の離れた組員同士が酒を酌み交わしているありふれた一般人にもある日常的な光景が印象的だった。

    ヤクザの世界とは、とかく任侠物の映画によくあるドンパチな抗争や親分から杯をもらうシーンなどを一般人は想像しがちだが談笑しながらメシを食う時間もどちらも彼らの生活の一部にすぎない。

    ヤクザを擁護するつもりは毛頭ないが、いわゆる社会の真っ当なレールから外れた人たちの受け皿になっているのだとしたら、世の中の必要悪なんじゃないか、と思ってしまった。

    shin

    4.0ヤクザだって、幸せになりたい。

    2020年6月2日
    iPhoneアプリから投稿

    ・「ヤクザだって幸せになりたい」が取材をOKしたの根本ではないか。
    ・日本はYES/NOが曖昧な国といわれるけれども、「ヤクザに関わる者は全員幸せになるべきではない」とハッキリ意思表示している国。
    ・絶対悪(と思い込んでる者)に対しては、とても強気になる日本。
    ・島国という地理上、生き抜くためには、協調が最重要で、それに反すると思うものは徹底的に排除する、掟のような潜在意識があるのではないか。
    ・警察の描き方に、テレビ側がヤクザへの情の芽生えを感じる。
    ・ブレてる画が多いが、後半手ブレせず観やすいにする画にする配慮が感じられる
    ・21歳の若手ヤクザは、口下手すぎるが、今後もしカタギに戻ってきたら、強い存在感を持つ。ヤクザの人権の現状に、唯一異を唱えられる存在になれるかもしれない。彼だからできることがあると思えてならない。
    ・弁護士さん、どうか救われてほしい。

    DEPO LABO

    4.0映せたものだけで語らせるしかない世界

    2019年12月29日
    PCから投稿
    鑑賞方法:映画館

    ドキュメンタリー作品に、(a)意図や思想を明確に示すものと、(b)映像を出して観客に自由に考えさせるものの両極があるとすれば、本作品は後者に属するし、そうせざるを得なかった作品だと思う。
    相手はヤクザである。カメラは回るが、見たいところが見れない。聞きたいことが、ほとんど聞き出せない。
    “映せたものだけで語らせる”しかない、という制約を、従来以上に強く意識させる作品だった。

    舞台は大阪の堺市。指定暴力団の二次団体の事務所。
    “出入り”や“ガサ入れ”があるわけではないのに、監視カメラからは目が離せないらしい。
    通勤地獄で忙しすぎるサラリーマンとはおよそ異なる、まったりとした時間が流れるが、時々ヤバい“シノギ”の電話が入る。
    ヤクザには、銀行口座よりも、電話を制限した方が効果的だ。

    メインキャストは、組長、アラフィフの組員、部屋住みの若い組員、山口組顧問弁護士の4人。
    ぶっとんだ、しょうもない、という感じではなく(そういう感じの組員もいるが)、それぞれ個性的なキャラクターだ。
    ただし、彼らの撮影可能な部分だけを見ているのであって、ヤクザのヤクザたる部分が満足に描けていない点が、この作品の“限界”だ。

    アラフィフの組員は言う、「(苦境にある時)世間は救ってくれない」。組長は言う、「誰が拾って入れてくれる?」。
    部屋住みの若い組員は言う、「ヤクザという気に食わない存在がいても、排除しないのが明るい社会」。
    手前勝手な理屈であるが、今でも昔ながらの事情が変わっていないことに驚いた。

    なお、「ヤクザと憲法」という題名は内容と合っていない。
    「ヤクザとその家族に人権侵害」は、本作品のテーマではない。この点はガッカリだった。
    自分は、ヤクザが憲法や法律によって、権利を守ろうとする話を想像していた。
    取材クルーを引き入れ、現状を発信した組長の狙いは、空振りしたかもしれない。

    ただ、じっくりとヤクザの“ふところ”に入って、カメラを回した意義は大きい。
    暴対法(H3)や暴力団排除条例が、確実に効果を上げているようだ。今のヤクザは、儲かる“商売”ではないらしい。
    また、ガサ入れする捜査当局が、これまた“ヤクザ”であることも映し出されている。(そもそも、汚職や犯罪を握りつぶす、政府や警視庁上層部が、負けず劣らずヤクザであるが。)
    「選挙」に行くヤクザ。彼らは、何を基準に投票するのだろうか?

    Imperator

    4.0暴力団対策法

    2019年11月26日
    PCから投稿
    鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

    組織暴力を根絶するために作られた法律、「暴力団対策法」はヤクザの人権を奪うものだった。
    顧問弁護士もある意味、警察や検察に狙い撃ちにされて去っていく。
    たてまえ社会の日本は、ヤクザも体罰もいじめもなくすようだが、社会のはみ出しものをどうするつもりなんだろう。

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