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ホーム >作品情報 >映画「アバウト・タイム 愛おしい時間について」 >インタビュー >メッセージは“How to be happy” リチャード・カーティスが監督引退作を語る

アバウト・タイム 愛おしい時間について

劇場公開日2014年9月27日

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アバウト・タイム 愛おしい時間について : インタビュー

2014年9月25日更新
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メッセージは“How to be happy” ロマコメの名手リチャード・カーティスが監督引退作を語る

ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」「ラブ・アクチュアリー」といった、傑作ロマンティックコメディの数々を手がけてきた稀代のストーリーテラー、リチャード・カーティス。9月27日から日本公開される最新作「アバウト・タイム 愛おしい時間について」は、カーティスがメガホンをとる最後の作品だ。今後は脚本執筆に専念するというカーティスが、PRのため来日。監督引退作に込めた思い、「スター・ウォーズ エピソード7(仮題)」にも起用されている主演ドーナル・グリーソンの魅力について語った。(取材・文/本間綾香、写真/菊地晶太)

親しみやすいキャラクターとウィットに富んだ会話は、カーティス作品に欠かせない要素だ。多くの監督、脚本家が暴力やアクション、ダークで特殊な世界を描こうとするのに対し、「私は幸せを模索する普通の人々に興味がある」と語るカーティスの新作は、タイムトラベルという手法で家族や恋人と過ごす平凡な日常の大切さ、決して永遠ではない時間の輝きを、温かいユーモアとともに映し出している。

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(C)Universal Pictures

「この映画のメッセージは、“How to be happy”。どうすれば幸せになれるのか、というシンプルなことを、面白くて複雑でワクワクするようなやり方で描こうと思ったんだ。苦労したのは、主人公ティムを演じる俳優を見つけることだった。私が書いたセリフの意図を汲み取り、観客によい印象を与える若い俳優が条件だったが、選考はとても難しかったね。幼少時代のティムを探すのも大変だったよ。浜辺を歩いている、髪をオレンジ色に染めた男の子は私の息子なんだ」

風変わりだが愛情深い家族に囲まれて育ったティムは、21歳の誕生日にタイムトラベル能力があると知り、その力を駆使して恋や人生を少しでも好転させようと奮闘する。誠実で一生懸命だけど空回りしがちな主人公ティムに抜てきされたのは、俳優ブレンダン・グリーソンの息子ドーナル・グリーソン。SF超大作「スター・ウォーズ エピソード7(仮題)」にも出演が決まっている、ダブリン出身の注目の若手俳優だ。

「ティム役でいちばん大切なのは、コメディが演じられることだった。『フォー・ウェディング』にキャスティングしたヒュー・グラントと同様に、ドーナルもかつてコメディグループに所属していたんだ。ハンサムな俳優はたくさんいるけど、彼らは大抵、深刻ぶっていて退屈。でもドーナルは面白いし、一目見ただけで親近感がわくような、いいハートをもった人間だという説得力がある。ドーナル自身も家族仲がよく、名優である父ともいい関係を築いていて、この映画にぴったりだと思ったんだ。スイートでファニーで、ちょっと面白い顔をしているだろう?」

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(C)Universal Pictures

ティムの運命の女性メアリーを演じているのは、レイチェル・マクアダムスウッディ・アレンブライアン・デ・パルマテレンス・マリックといった名匠たちと仕事をしてきたマクアダムスは、今回初めてカーティス作品に出演した。

「彼女はコメディもドラマも演じられる素晴らしい女優だし、カメラが回っていないときもすごくステキなんだ。この映画のキャスト・スタッフはほとんどがイギリス人で、多くの時間を海辺(コーンウォール)の家で一緒に過ごしたんだけど、彼女はハリウッドから来た大物女優を気取ったりしない気さくな女性で、家族のように周囲に溶け込んでいた。私は個人的に、『きみに読む物語』で彼女はアカデミー賞を穫るべきだったと思う。『トレインスポッティング』のユアン・マクレガーも、『少年は残酷な弓を射る』のエズラ・ミラーも、オスカーを穫れなかったのは若すぎたからだろう。見事な演技をしていたのに、若いから受賞に値しない、まだチャンスはあると判断されたんだ」

監督デビュー作「ラブ・アクチュリー」を世界中で大ヒットさせ、2作目「パイレーツ・ロック」で音楽ファンの心も射抜いたカーティスだが、今回の映画を最後に監督から退くことを発表した。まだ監督3作目にも関わらず、その決断にいたった理由について尋ねると、「答えは映画の中にあるよ。歳をとるにつれて、何気ない時間の大切さが身にしみてくるけど、監督をしながら日常のありがたみを実感することは困難だ。2年間近く作品に没頭するからね」とのこと。

「私は監督をする前から、脚本家、編集者としてたくさんの映画に関わってきた。だから、もうそろそろいいだろうと思うようになったんだ。私の父は普通の仕事をしていて、ある年齢に達してリタイアした。私も父のような選択をしたいと思ったんだよ。この映画の撮影中、とても暑い日に100人近いスタッフと海辺のシーンを撮った後、(ティムの父役を演じている)ビル・ナイとビーチを歩きながら、“今度は2人だけでのんびり散歩しよう”と約束した。これからは愛する人たちと、より多くの時間を過ごしたいと思っているよ」

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とはいえ、人気脚本家としての仕事は今後も続く。先頃、カーティスが執筆した2本の新作が完成したばかりだ。「1本は、スティーブン・ダルドリーが監督し、ブラジルで撮影したポルトガル語のアクション映画『トラッシュ(原題)』。3人の少年がゴミ箱から拾った財布が、政府を巻き込む騒動に発展する作品で、子供版『ボーン・アルティメイタム』だね。3人の少年はリオで貧しい生活を送っている演技未経験の新人で、ほかにルーニー・マーラマーティン・シーンが出ているよ。あともう1本、ダスティン・ホフマンジュディ・デンチ主演のテレビ映画『Roald Dahl's Esio Trot(原題)』も撮影が終わったところだ」

他のライターたちと違って、カーティスは自分以外の監督作においてもキャスティングに立ち会い、毎日撮影現場に通い、編集段階にも参加するという。脚本家としては今、ハリウッドの若手女優たちの隆盛に着目しているそうで、「エマ・ストーンシャイリーン・ウッドリーブリー・ラーソンクリステン・スチュワートジェニファー・ローレンスダコタ・ファニングエル・ファニングクロエ・グレース・モレッツ等、素晴らしい才能があふれている。若い俳優たちはあまり面白くないけど、女優は驚くべき充実ぶりだよ。彼女たちと仕事をしてみたいね」と語っている。

最後に、今回の映画にちなんで「もしタイムトラベルができたらどうする?」と質問を投げかけると、「2回戻らせてくれる?  まずはビートルズのコンサート。子どもの頃、スウェーデンに住んでいたんだけど、ビートルズが来てコンサートをしたのに行けなかったんだ。だから今度は絶対に行きたい。あとは、20歳のときに大失恋をして立ち直るまでに5年かかったから、できるならそのときに戻ってやり直したい。でもそうしたら、私が自分の経験を踏まえて作ってきたこれまでの映画は生まれていないだろう。やっぱりビートルズだけでいいかな(笑)」と、カーティス作品の誕生秘話とも言えるエピソードを教えてくれた。

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