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わたしの名前は...

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わたしの名前は...

解説・あらすじ

ファッションデザイナーのアニエスベーが本名のアニエス・トゥルブレ名義で発表した初監督作品。父親からの虐待により心に傷を負った12歳の少女。彼女は学校の遠足で出かけた海辺で、たまたま停まっていた1台のトラックに乗り込んだ。スコットランド人の運転手とフランス人の少女、英語とフランス語で言葉も通じない2人の逃避行が始まった。トラック運転手には「ジダン 神が愛した男」の監督で現代美術家のダグラス・ゴードン。音楽ではソニック・ユースが未発表音源を提供するなど、アニエスベーの友人たちが多数参加。

2013年製作/126分/フランス
原題または英題:Je m'appelle Hmmm...
配給:アップリンク
劇場公開日:2015年10月31日

スタッフ・キャスト

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(C)Love streams agnès b. Productions

映画レビュー

3.5監督の自己満足的なカットがふんだんに盛り込まれた中で、そこに中盤か...

2016年6月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

監督の自己満足的なカットがふんだんに盛り込まれた中で、そこに中盤から間延びさ加減が加わり退屈に感じた。が、嫌いではない作品。
エンドロールの間にピートの心情を思い返していたら、切なくて涙がでてきた。

かりめろ

3.0後味がすっきりしない

2015年11月14日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ!クリックして本文を読む

試写会で観ました。
ある女性の回想録で、
人生に絶望したトラック運転手と、
父親に性的虐待を受けた少女の物語です。

服飾デザイナー、アニエス.bの監督作品。
アニエスの服は素敵だけど、映画はどうかなぁとあまり期待せずにいたら、意外に脚本も映像も良く出来ていました。

ただ、後味悪い映画でした。
一番気になるのは、父親と娘の関係修復の場面でした。
父親は、もうあんなことしないと誓い、少女はすんなり受け入れ、抱っこされます。
性的虐待は、繰り返すものだと言われていますし、子供の身体と魂をも深く傷つけるものです。簡単に解決することはないと思うのですが…。
結婚して子供を授かるまでに、大変な苦悩があったはずなのに、何も描かれませんでした。
誰にも言えず、家族の絆を大切にすることを選ばざるを得なかった社会環境を問題にしたかったのなら、もっともっと女性の苦しみを描いたらと思いますが…。違うのかな?
その点が、すっきりしない映画でした。

113/cocoro

5.0ドラマとして何があるというわけではないが、 この映画には映画でしか表現出来ない世界がある。

2015年11月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ドラマとして何があるというわけではないが、
この映画には映画でしか表現出来ない世界がある。
フランス中西部の港町からノルマンディーの北の港町へ、
巨大なコンテナを輸送する孤独なトラック運転手と、
失業中の父親に虐待され家出した少女がいる。
映画だと言っても意味深い言葉はない。
名前もない。
あるのは、
赤、あか、朱・・・
冷たい雨に輝く夜間街灯の眩しさ、
雨上がりの夜明けの暖かい日差し、
小鳥の声に包まれた草の上の昼食・・・
そう、なぜかアントニオ・ネグリがいる。

kthyk

3.5

2015年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

世界的に有名なファッションデザイナー、そしてシネフィル(映画狂)としても名を馳せるアニエス・ベーが、本名であるアニエス・トゥルブレ名義で描く、初監督作品。

映画評論家、そして映画へのあふれんばかりの情熱、愛をもった語り口で指導者としても多大な功績を残したアンドレ・バサン。彼の理念に共感し、師事したフランスの若き映画人達が作り出した映画制作運動、それが言わずと知れた「ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)」である。

既成の映画理念を叩き潰し、本来あるべき映画の姿を多彩なテクニック、モンタージュをもって模索し、観客に提示した作品群。この個性の爆発に映画館で出会った観客の衝撃はいかほどだったか。今、想像しても胸が躍る。「始まる、始まるぞ!映画が始まるぞ!」と喝采をやまない市民の熱狂が、聞こえてきそうだ。

さて、本作の作り手であるアニエス・トゥリブレが世界に問うてきたブランド「アニエス・ベー」は、パリのエスプリをファッションに落とし込み、洗練された世界観が人気を集めているが、その一方として洗練を鮮やかに裏切る、パンキッシュな精神もデザインに同居する事で、唯一無比のストーリーを描く事に成功する事で、この世界的な評価に繋がっている。デザイナーとしての緻密な才気を支える、既成概念を超えていく反逆精神こそ、このブランドの源泉だと私は考えている。

だからこそ、映画作りに並々ならぬ愛着を持ち、資金面で支援も続ける彼女が手掛ける本作は、無難なドラマであってはならなかった。彼女の芸術であるとともに、ブランドのコンセプト表現の一環でもあろう本作は、冒頭から物語の常套を踏襲しながら、不穏な違和感を随所に織り込み、観客の不快感を呼び起こす。

あえて描く普遍性という縦糸に、唐突なジャンプカット、解像度とカメラを入れ替えて困惑されるモンタージュ、理解を拒絶する言葉の応酬という横糸を織り込み、演出していく世界。まさに、彼女のブランドとしての基本姿勢を、そのまま映画という形で実践したアニエス印の奇天烈な語り口。

もちろん、個々のテクニックは既成のものであり、驚きはない。だが、この観客の不快感を生み出す感覚は、あえてゴダール、シャブロル、マルの映画運動が見せた「今を疑え」とする生意気な暴力への、武骨なまでの敬意がなせる業だ。映画を愛し、同時に映画を底なしに疑うアニエスの、現代フランス映画、はては現代映画界への彼女にしかできない「ヌーヴェル・ヴァーグ」となっているのだ。

物語として、高い水準で納得させる演出になっていないという向きもあろう。いや、むしろそのご指摘は正解だ。納得されては、むしろ困る。「ああ、良かったね」で済むような作品は、恐らくはアニエス・トゥルブレには不本意な評価だ。「心に刻み込む、不快感でも、残るものを」作る。観客に、嫌われるのもまた歓喜の結果だろう。

興行というテーマのもと、無難な設計図で無難に生まれては消えていく悲しき現代の映画達。そんな不幸な子供たちに、やんちゃな暴走という喜びを、爆発を、進化を!一人の映画好きなデザイナーの主張は、その服作りと同様に、世界を熱狂されられるのか。

波は、来ている。後は、あなたが乗るだけだ。

ダックス奮闘{ふんとう}

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