捨てがたき人々
劇場公開日:2014年6月7日
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解説・あらすじ
人間の善悪やモラルを問う姿勢を貫き、物議をかもす作品を多数発表しているジョージ秋山の同名漫画を、大森南朋主演で実写映画化。金も仕事もなくセックスのことばかり考えている狸穴勇介が、苦悩しながら生きる意義、愛や幸せを見つけ出そうともがく姿を通して、人間の業を描き出していく。生きることに飽きてしまった勇介は故郷へ戻り、そこで顔にあざのある女性・岡辺京子と出会う。快楽を求める勇介は京子と関係をもち、そのままなし崩し的に同棲を始めるが……。俳優としても活躍し、「ぼくのおばあちゃん」「誘拐ラプソディー」といった監督作も発表している榊英雄がメガホンをとった。
2012年製作/123分/R18+/日本
配給:アークエンタテインメント
劇場公開日:2014年6月7日
スタッフ・キャスト
インタビュー
大森南朋、朋友・榊英雄監督とともに思いの丈を注ぎ込んだ真剣勝負
物静かなたたずまいから圧倒的な熱量を放つ――大森南朋に対して抱いていたイメージだ。だが、周囲の期待をいい意味で裏切り、覆し続けるのが俳優としての妙味。それが存分に発揮されたのが「捨てがたき人々」といえる。20年来の朋友・榊英雄に請われ...
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フォトギャラリー
映画レビュー
0.5すてがたきじぶん
ユーチューブにじぶんのしゅみに合った動画が並んでいますか?
『ユーチューブのホーム画面に出る動画は、あなたの再生履歴や検索履歴などのデータから、あなたの興味がありそうな動画を判別し、出現させています。』
──とのことですが、ほんとですかね。
そのフィルター機能の精度はともかく、概して、日本/日本人のユーチューブって修羅場みたいなのがはやりというか、修羅場みたいな動画が多数派だと思いませんか。
ユーチューブをひらいたときにトップに出てくるのが、たいていそんなやつです。
ホームレス生活どうのとか、手取り数万かつかつで生きるとか、15時間労働だとか、離婚すんぜんだの、元妻と一触触発だの、子育てと仕事二足わらじでワンオペとか、ぼったくりばーに潜入とか、街のDQNと喧嘩ぼっぱつとか、不幸な境遇とか、障害を負っているとか、そんなんばっかしです。
開いてみてください。そこには、不利な環境やある種の極限状態やシリアスぶった謝罪やじぶんが背負っているなんらかの負のパラメーターを強調表現する動画だらけ、です。
じぶんはそれらをまったく見たいとは思いません。でもそれらがつねに上がってくるってことは、好まれて見られているということです。じっさい何十、何百万回も再生されています。
そこでじぶんはハッと気づくわけですが、じぶんは修羅場/愁嘆場だらけの日本映画がだいきらいで、いつもけなしているのですが、修羅場/愁嘆場な日本映画ってのは、多数の日本人に好まれていて、たんにオマエ(わたし)が一般的な日本人の嗜好と違うってだけ、なんじゃなかろうか。と。
いや、そうにちがいない。
日本/日本人のユーチューブが修羅場だらけなのは、日本人が修羅場がだいすきだから──にちがいない。
まったくみょうなところで、じぶんが、ふつうの日本人とはちがうってことに気づいちまったぜ。・・・むろんだからといっておれはトクベツな人間なんだぜと勝ち誇るわけじゃありません。にしてもユーチューブにみる日本人の修羅場だいすき度ってのは、わたしとしてはじゅうぶんに衝撃です。なにしろ、わたしはそれをまったく見たくないのですから。
個人的に嫌な現実を想起させるものは見たくありません。嫌なのは現実だけでじゅうぶんです。
が、多数の人々はギラギラした修羅場や愁嘆場を見たがっています。しかるにクリエイター側も修羅場づくりに励んでいる。わけです。
ところで日本の多数の「修羅場クリエイター」にとって、もっとも困るのが「自分より大きな修羅場の存在」です。
言いたいことが伝わるかわかりませんが、ロシアのウクライナ侵攻(2022/02/24~)は「修羅場クリエイター」たちにとって景気を悪化させる外的要因です。
修羅場クリエイターの伝えたいことは「生きることの過酷さ」です。ほんとに過酷かどうかはともかく「おれはこんなにタイヘンなんだぜ」が日本のユーチューバーが訴えたい核心です。ところが、日毎送られてくる報道やSNSによるウクライナの状況は、修羅場ユーチューバーの動画を軽く凌駕しています。そこではほんとに人がころされたり、民間にミサイルが落ちてきたり、地下に人々が息を潜めていたり、幼いこどもが生き別れたり、女子供が国境へ向かって何百キロも歩いたりしています。
けっきょく修羅場クリエイターは自分よりはるかに大きな修羅場の存在によって「商売あがったり」になってしまう──わけです。
日本映画は修羅場ユーチューバーに似ています。根本的に諸外国の映画人と異なる動機──作りたい映画があるわけではなく、自己顕示を目的としています。日本の映画人にとって映画は観衆にたいしてスゴむ手段です。
男のばあい余禄(女優と懇ろになること)にあずかる手段でもあります。
ではなぜ日本映画/日本映画界は、そうなってしまったのか。
天才ではないのに天才を謳ったり、観衆を威嚇するような作風だったり、修羅場/愁嘆場を好んで描いたり、映画監督が偉そうにするのか。
それらの要因は日本映画/日本映画界の原点のといえるポルノにあります。
ポルノでもっとも肝心なのは女の子をつかまえて裸になってもらうことです。何を差し置いてもそれが要です。それを達成するために昭和のポルノ作家たちは自分自身や業界に威風を付与したわけ。天才といってみたり根性論をぶちまけたり作風を難解や残酷にしたり。そうすることによって良く言えば出演する女性のなかに「天才の作品に出られる栄誉」を目覚めさせたのです。悪く言えばおれは天才なんだから脱げと言って欺したわけ。
(既にどちらも故人ですが)ベルトルッチがラストタンゴ~(1972)の件でマリアシュナイダーに訴えられたことがありましたが、そんな悲哀は昭和ポルノの周辺には山のようにあったことでしょう。日本人がもっと積極的だったらMeTooに連動して昭和ポルノ出身者が大量にタイホされていたにちがいありません。
はんぶん冗談ですが、はんぶん本気です。
日本映画界はそれら昭和ポルノたちの作風やマーケティング戦略をしっかりと引き継いでいます。天才ではないのに天才と謳います。クリエイティブスタンスでなくプロダクティブスタンスでもなく、根性や気合いで映画をつくっています。みごとなまでのアナクロ趣味です。
はるヲうるひとってご覧になりましたか?日本人が持っている途方もなく根深いアナクロニズム、古色蒼然たるロマンポルノを確認できます。あのたのしい佐藤二朗があんな○○映画をつくってしまうわけです。
そもそもベルトルッチのラストタンゴ~ならまだ救いはあります。せかいじゅうの人が知っている傑作なので。そうじゃなきゃどうですか。才能あるひとの作品なら、いい作品なら脱いでも意味があります。知らない作品、まるで力量のない作品で脱いで頑張るのってどうですか。火口のふたりって知ってますか。旬報2019ナンバーワンの日本映画です。いとこどうしがやりまくって火山が爆発します。女優さんが脱いで頑張って賞をとりました。ほとんど記憶にありませんが。
この榊ってひとの作品はどうですか。典型的なザ日本映画の監督です。ジョージ秋山の捨てがたき人々は──だけでなくジョージ秋山の漫画は悲惨でも滑稽感がありました。こんな臭い修羅場/愁嘆場の話じゃなかった。いや、ていうかこの監督、そもそも力なさ過ぎ。たんなる素人です。
ザ日本映画の得意技ですが、修羅場/愁嘆場ってのは無いものをなんか有るようにみせてくれるのです。
監督は今(2022/03)文春砲のまっただ中にいて、その俳優/監督史上もっとも脚光を浴びています。ゲスい発言のLINE画を晒されてます。
お蔵入りした「蜜月」で監督と文春砲仲間の板尾創路に挟まれた女優さんはどんな気持ちだったことやら。
個人的な想像にすぎませんが、日本映画業界、あばかれてないだけでワインスタインみたいなのが、ごろごろいるはずです。日本人の民族性=控えめさに守られているだけであって、世界に冠たるポルノを有する日本の野郎どもが、なんにもしてこなかったはずがありません。この榊監督の件なんて氷山の一角でしょう。告発せずに埋もれた何十、何百のマリアシュナイダーがいるはずです。
(ここで言っている日本映画/日本映画界とはポルノ出身やATGや21世紀の女の子の系譜です。TV畑出身や濱口竜介監督等、その系譜ではない日本映画/映画人もいます。)
30年前からホームページやブログをやってきました。わたしのホームページやブログの来訪者はだいたい月に0~1ていどでした。年間でも10未満でした。自分が来訪してもカウントしてくれるカウンターを使っていました。そんなHP/ブログでしたがわたしはシコシコと記事を書いていました。始めてはやめるを繰り返しましたがさすがにもうわかりました。(とい言いつつ映画レビューはやっていますが。)
過疎なブログでしたがごくまれにコメントを拾いました。頭よわそ。煮つまんなやカス。自演乙。ガイジ。いっぺんぬいておちつけよ。氏ねよキモオタ。──等々言ってくる奴とコメント欄で言い争いをしたことがあります。だれも見ていない、だれも訪れない、だれもいないブログ、そこでどこの誰だかわからない人と罵倒合戦をしたわけです。わたしたちの熱い戦いを目撃したひとは一人もいません。
ろくでもない映画で脱いでいる女優は気の毒です。○そみたいな監督におどらされてく○みたいな映画のなかで脱がなきゃいけない日本の女優さん達は気の毒だと思います。誰にも見られないなら、なおさらです。頑張る意味がありません。
もちろん外国でも女優が性搾取されることはあります。ただし、脱ぐとか脱がないとか、映画内で性的なことをしなきゃならないのはおよそ日本映画だけです。性的なことをやってそれを芸術だと欺瞞しているのは、日本の百姓監督だけです。
なにより無類の平和を享受しながら「おれは修羅場を生きてるんだぜ」てな世界を表現するザ日本映画ってのはほんとく○だと思います。滅んでもぜんぜんだいじょうぶな文化だと思っています。
ところで、これらはすべて自分を含めた「捨てがたき人々」というものを説明する話です。他意はありません。
4.0そんなもんです、人間なんて。
3.5嫌なところを
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