マーサ、あるいはマーシー・メイ
劇場公開日:2013年2月23日
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解説・あらすじ
メアリー=ケイト&アシュレー・オルセン姉妹を姉に持つ若手女優、エリザベス・オルセンが主演し、カンヌ映画祭やサンダンス映画祭で高い評価を受けたサスペンス。カルト集団から脱走し、マインドコントロールから逃れようともがく若い女性の2週間を描いた。孤独で愛に飢えていた少女マーサは、山の上にあるカルト集団に入信し、マーシー・メイという新しい名前で生きることになる。それから2年後、マーサは1人で集団を脱出し、姉夫婦の別荘に身を寄せるが、マーシー・メイとして生きた2年間の記憶に苦しめられる。監督は本作が長編デビューとなるショーン・ダーキン。
2011年製作/102分/PG12/アメリカ
原題または英題:Martha Marcy May Marlene
配給:エスピーオー
劇場公開日:2013年2月23日
スタッフ・キャスト
受賞歴
第64回 カンヌ国際映画祭(2011年)
出品
ある視点部門 | |
---|---|
出品作品 | ショーン・ダーキン |
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映画レビュー
3.5カルト団
ことし(2021)のはじめタニアロバーツの訃報があったときミラクルマスターのワンシーンを思い出した。
外国映画では、野山やキャンプ地に湖池があったばあい、すっぱだかで泳ぐシーンが挿入される。──ことがあるが、タニアロバーツのは出色で、ミラクルマスターがどんな映画だったか思い出せないのに、そのシーンだけはおぼえていた。
コナンザグレートみたいな神話ファンタジーなので、もともと弊衣なんだがイタチが服を奪ったせいで、一糸まとわぬタニアロバーツが眼前にまろび出てくる。──のだった。
一般にスキニーディッピングといえばホラー映画である。
映画に裸を無理なく挿入したいばあい、設定しやすいシチュエーションだと思う。ALTER内でも再生回数の高い「Backstroke」はskinny dippingをうまく使っていた。
男性の観衆にサービスシーンを提供する目的と、映画内の男性を誘惑する目的──両者を同時に満たす所以でI Spit on~系の復讐劇にもskinny dippingがつきもの──である。
だが、外国人は(とうぜんのことだが)湖池やその他水辺と見れば、なにがなんでも裸でおよぐわけではない。
本作には裸で泳いでいたマーサ(エリザベスオルセン)をたしなめるシーンがある。カルト団で青春を過ごした彼女は、ふつうの感覚を失っている。
姉のルーシー(サラポールソン)は「なにをかんがえてるの、裸でなんか泳ぐもんじゃないわ」──わりときつい調子で言ったのだった。その通りである。
映画のskinny dipping場面に惹かれるわたしは、犬も歩けば棒に当たるがごとく、開放的なアメリカ人が湖池に行き着けば即ち裸で泳ぐもんだ──と思っていたんだが・・・んなわけねえだろ。って話である。
ワンスアポンアタイムインハリウッドをごらんになればわかるとおり、カルト(教)団の主たる収入源といえば盗品と盗品売買と街娼である。
ワンス~のマンソンファミリーは古い撮影用の牧場を占拠していたので、観光客向けのホーストレッキングをして表向きの収入もあった。が、主要財源は別荘や留守宅からの金品強奪であっただろう。
ワンス~では忍びこんだ邸でしたたかな抵抗、どころかとんでもない返り討ちに遭ってしまう様子が描かれていた。
Margaret Qualleyが今すごくブレイクしているが、(ワンス~で)かのじょはなんとなく街をふらついていたのではなく、謂わば立ちんぼをやっていた。──わけである。
カルト教祖は女性信者を手込めにするだけでなく、てなづけて、教団を富ませる器用な外交員に仕立てる。
この構造は、さいきん(2021/07)判決が出たセックスカルト「ネクセウム」も同じだった。団広報のアリソンマックが、かつてエマワトソンに入信をもちかけていたことが大きな話題になっていた。
映画はそんなカルトから脱却をはかろうとする女性の話。
マーサはカルトにいたせいで、じぶんの性をどうやって取り扱ったらいいか、わからなくなっている。裸でおよいだり、その気もなく男に性をアピールするのは、カルトから抜ける際に起きる禁断症状のようなもの。──揺れうごくマーサの気持ちをとらえてサンダンスで絶賛され、人格の分断にさいなまれるマーサをエリザベスオルセンが好演していた。
(ねんのために言っとくがエリザベスオルセンが裸でまろび出る──わけではない。)
4.0カルト集団はロクなのがいない・・・
エリザベス・オルセン目当てで観ました! 孤独だったりで心の拠り所を求めてこういう集団に入ってしまう人を責めることはできません、心の拠り所を求めてる人達を利用しているカルト集団のリーダーやそいつを崇拝している奴らに腹が立ちます、男が食事を食べてる間は女性は待っていてその後に食べるというシーンがありましたが、何なんですかあれは? 男だから何か偉いんでしょうか? カルト集団じゃなくてもありますよね、昔からの地主の人達の集まりとかで男達が飲み食いしている間に女性達は料理を運ぶ合間に台所でのり巻きを食べるだけみたいな・・・「一緒に座ろうよ」の一言がそんなに難しいか? くだらないしきたり守らなきゃバチが当たるのか? 女性達に申し訳なく感じます、古臭い考えというかバカというか・・・そもそも女性がいなきゃお前は生まれもしなかったんだぞって言ってやりたいです、話がそれちゃいましたが、他の映画のレビューで少し品のないこと書いてる僕が言う資格はないかな(笑)?
3.5Sean Durkin
2011年のサンダンス映画祭で監督賞を受賞した、ショーン・ダーキン監督・脚本の作品。
これだから、映画っていうのは難しい。
率直に言って、この作品好き嫌いがあると思います。自分も好きな方ではないけど、嫌いではないという感じです。全くと言っていいほど答えの出ない映画、視聴者に多くの解釈の余地を残し、オープンエンドで幕を閉じる映画です。
主人公のマーサがカルト集団から抜け出しながらも、その時の記憶に苛まれ、メンタルが崩壊して行く様子を、フラッシュバックとともにインターカット形式で作り上げられた作品。テーマは一概には言えませんが、「アイデンティティの崩壊、損失」と言えるかもしれません。
観客も主人公と同じように、何が何だか分からなくなって、何が現実なのか、何が現在なのか、何が自分なのかということを迷走し、失って行くような感覚になる映画です。
ホラー映画のように怖がらせるのが目的でもなく、
スリラーサスペンスのように、ハラハラドキドキさせるのが目的でもなく、
ドラマのように、感動させるのが目的ではないんです。
サイコロジカル的に、脳を混乱させそれを紐解こうとする人間の好奇心を利用し、その中でアイロニーを含んだメッセージを答えではなく議題として投げかけられたような感覚です。
でも、嫌いじゃない作品。
観終わった後に、スッキリするような感覚は全くありませんが、映画の中に足を入れ、ズブズブと溺れて行くような感覚になったのは間違いありません。つまり、映画体験はできました。かなりもやもやする方法でですけど。
そこには、フレーミングの力がありました。サイコロジカルスリラーとして、観客に主観的に謎解きをさせる、その謎を与えていたのがフレーミングでした。
フレーミングには教科書のようなものがあります。それは、ルールオブサードだったり、180度ルールだったりしますが、それはあくまでも教科書です。簡単にいうとその教科書どうりに撮影すれば、普通のフレーミングになりますよ。ということ。
普通というのももちろん大切です。普通があるから普通より上がある。ずーっと違和感のあるフレーミングだったら、観客を混乱させて終わりです。
この作品は、その教科書のルールをあえて破り、そこにサブコンシャス的なメッセージを含ませることで、観客に間接的に疑問を持たせるような仕掛けがしてありました。このような手法はほとんどの映画で使われているのですが、この映画ではそれがきつめの度合いまで振り切っていました。
むしろサブコンシャス的ではないほど明らかに変なフレーミング。しかしそれが何を示しているかというのは、その一瞬では理解できません。むしろ映画が終わっても理解できません。理解することが正解ではなく、そのフレーミングから感じた違和感が、主人公が感じる心の不安定さにつながり、そこに無意識に感情を投影することで、観客自身も頭の中が渦巻くように不安定さを感じ、それを解消しようとするエネルギーが、この映画面白い、につながるのです。
言葉で書くこと自体が難しいので、ちょっと何言ってるか分からないかもしれませんが、すみません(笑)
とにかく、興味深い作品でした。ダーレン・アロノフスキー的な?
3.0心が壊れてしまったら
・2年間新興宗教というか反社会的な集団と生活してから抜け出したマーサが周囲との生活に苦しむ姿を描いた作品
・教祖みたいな存在のパトリックと無理矢理セックスするのが最初の儀式
・パトリックのじょうしきがつうじない存在感と血管が浮き出るほど細い腕がヤバイ
・フリーセックスは結構だが必ずと入っていいほど揉め事が起こるな
・というか強盗に入って殺人まで犯してるんだからフツーに捕まるだろ
・マーサ役の女優の不安そうな表情がよい
・過去と現在をシームレスに行き交いする演出も洗脳と自覚を曖昧にしてるようでよい効果だと思った
・ラストは正体不明の車が背後から迫ってきて怯えるマーサの画で終わって、あ~、終わり方そうかあ。ってなった
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