Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


映画のことなら映画.com
ホーム >作品情報 >映画「菖蒲」

菖蒲

劇場公開日:

  • 予告編を見る
菖蒲

解説・あらすじ

「世代」(1954)、「地下水道」(56)、「灰とダイヤモンド」(57)の抵抗3部作や「カティンの森」(2007)で知られるポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダが、同国の作家ヤロスワフ・イバシュキェビチによる短編小説を映画化した文芸ドラマ。ポーランドの小さな町に暮らすマルタは、医師の夫と長年連れ添っていたが、ワルシャワ蜂起で息子を亡くして以来、夫婦の間には距離が生まれていた。夫は自身の診察で妻が不治の病にかかっていることを知るが、そのことを妻に言い出せず時間が過ぎていく。亡き息子への罪の意識が消えないマルタは、ある日、息子が亡くなった時と同世代の20歳の青年ボグシと出会い、ひかれていく。ボグシを誘って河辺で逢引していたマルタだったが、ボグシが菖蒲の根に足をとられて溺死してしまい……。

2009年製作/87分/ポーランド
原題または英題:Tatarak
配給:紀伊國屋書店、メダリオンメディア
劇場公開日:2012年10月20日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

画像1
画像2
  • 画像1
  • 画像2

映画レビュー

4.5撮影監督へ捧げるアンジェイ・ワイダ監督作

2023年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アンジェイ・ワイダ監督による「①実際に映画出演する俳優の事情を描いた場面」と「②その俳優を使ってアンジェイ・ワンダが撮影している風景」と「③映画として完成した本編」の3つの側面をパラレルに描いた独創的な映画。
こんな構成の映画は、なかなか無い。

観終わって、私も完全に頭の中が整理できたか?…というと微妙ではあるが、注意しながら観たので、それなりに不思議な感覚を受けた。
また、本作に何度となく「川の水面を映した場面」が出てくるが、これらのシーンは「人生(時の流れ)は、川の流れのように流れて、いつか終わるのだ」という「死のイメージ」をアンジェイ・ワイダ監督が伝えたかった気がした。

本作は、一人の女性を捉えた場面から始まるが、「この映画は去年撮るはずだった。ワイダから言われたが、撮影監督の夫の病状を考えると…」と言っている女性は、ワイダ監督から映画出演のオファーを受けた女優なんだ、と思える不思議な長回しから始まる。
そして、その女性(=女優)とアンジェイ・ワイダ監督が撮影現場でのやりとり場面が映る。
更に、「映画本編シーン」になっていく。とてもスムーズに。

実際の出演女優(クリスティナ・ヤンダ)の夫は病死して、映画本編では医者の夫が診察した妻(クリスティナ・ヤンダ)の命が残り少ないことを知る。医者夫妻の息子達もワルシャワ蜂起で死亡して、クリスティナ・ヤンダと出会った若い青年も川で溺れて……と、全体的に死を意識した物語。

そんな中、クリスティナ・ヤンダが読書しない若者から「何を読んだかいいか分からないので教えて欲しい」というと、女性が差し出した本は「灰とダイヤモンド」www

この映画、エンディングで「エドヴァルド・クウォシンスキに捧げる」という文字が出る。
アンジェイ・ワイダ監督が撮影監督に捧げた映画だったのだ…と分かる。
そうした気持ちが全編に漂っている佳作であった。

コメントする(0件)
共感した!0件)
たいちぃ

4.0人生の終焉に対する決意

2015年4月4日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

ネタバレ!クリックして本文を読む

『カティンの森』で巨匠健在を見せつけた、アンジェイ・ワイダの最新作。
たった2回だけの特別上映に駆け付ける。

個人的には高い評価を受けた『カティン…』だが、昔からのファンとしては納得のいかない内容だった。
だから不安を抱えての鑑賞でした。

映画は、いきなり物凄く長いワンシーンワンカットによる独白から、スタートする。カメラは一切動かずに、対象となる女優1人が画面を行ったり来たりする。およそ10分に及ぶ長廻しだ。
この時字幕で、「K・ヤンダ…」云々と表示された瞬間…気が付いた。

「クリスティナ・ヤンダだ!」

『大理石の男』と『鉄の男』でポーランドに、言わば革命をもたらした人と言って良いのかも知れない。
実に30年振りに彼女を観た。
当時と比べて体系は変わり。あの当時の人を射抜く様な鋭い目線は、歳を取った事で丸くなったのか、薄れていた。それでも眼を見れば彼女と解るのが懐かしい。

映画は、アンジェイ・ワイダの新作に出演する彼女と。彼女の私生活上に起こった出来事を、どこまでが映画で、どこからかが私生活なのか?が、終盤に至るまで読み切れ無い。極めて刺激的な内容になっていた。
それまで、若いイケメンに夢中になって行く彼女の姿を見たら、幾ら映画だからとは言え「おいおい!」と思ってしまう。
元々は「菖蒲」と言う、どこか死のイメージが付き纏う小説の映画化があり。そこにクリスティナ・ヤンダ本人による私生活での、夫との悲しい日々の回顧が重なり合っているらしい。

冒頭と中盤での彼女の長い独白は、夫に対する鎮魂歌であり。原作と彼女の私生活を綴った内容を伴う映画本編は、アンジェイ・ワイダが今後迎える人生の終盤に向けての、《死》に対して向き合う決意の一環の様な気がしてならない。

ところで映画本編でのクリスティナ・ヤンダとイケメン男子による、やり取りの若々しさは一体全体何だ!
この巨匠まだまだ全く枯れちゃ〜いない。
『カティン…』の時の、映像の覇気の無さは影を薄め、寧ろデビュー作の『世代』から『灰とダイヤモンド』の頃の、映像の若々しさを取り戻し。不思議なデカダンスをも醸し出していた中期の傑作群『すべて売り物』:『戦いのあとの風景』:『約束の土地』:『白樺の林』と言った作品に重なる、《死への誘い》へのアプローチも相変わらず続いている。

おそらく一般公開は難しいかも知れない。娯楽性とは全く無縁だし、※1 『カティン…』の様な歴史的な背景すら無い。
一見すると、どう見ても若いイケメンにとち狂った叔母さんの話にしか見えないのは、明らかに損をしている。
でも声を出して言いたい。これはアンジェイ・ワイダの作品歴の中でも、極めて重要な位置に在るかも知れないし、まだ完全には理解出来ていないのですが、傑作かも知れませんよ…と。

※1 その後岩波ホールで公開される

(2010年6月2日国立近代美術館フィルムセンター大ホール)

コメントする(0件)
共感した!0件)
松井の天井直撃ホームラン

3.5虚と実に通底する愛と死

2014年2月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

知的

もしも、主演女優の夫の病状悪化という事情がなかったら、原作小説に沿ったオーソドックスな文芸ドラマになったんだろう。
しかし、監督のアンジェイ・ワイダが出演依頼した、そのタイミングでマルタ役クリスティナ・ヤンダの夫のガンの転移が発覚する。
彼女にとって夫の状態は勿論気になるが、女優としてはアンジェイ・ワイダの仕事を断りたくはなかっただろう。
彼女はこの仕事を心が引き裂かれる思いで引き受けたに違いない。
それを身近で見ていた監督はこう考えたのだろう。
これこそ、“愛と死のドラマ”だ、と。
こうして本作は、マルタの物語とクリスティナの物語は彼女自身のモノローグによって、交互に語られるという斬新な構成になっている。
この世界的巨匠の柔軟な試みにも驚かされるが、少し皮肉に感じるのは、マルタの物語をクリスティナの真実の物語が圧倒してしまっているところか。
夫が亡くなったその日にも舞台に立ったという彼女のモノローグは、
「私はなぜあの日舞台に立てたんだろう?」という言葉で終わっているが、それは、愛する人の死までも映画にしてしまったという自身の女優の業に対しての自戒の言葉にも聞こえた。

arakazu

さんのブロックを解除しますか?

さんをブロック

ブロックすると下記の制限がかかります。

  • ・お互いのアカウントをフォロー出来なくなります。
  • ・お互いのレビュー、コメント、共感した!、Check-in情報を見ることが出来なくなります。
  • ・過去のあなたのレビューに対するさんのコメント、共感した!が表示されなくなります。
  • ※あなたがブロックしたことは相手側に通知されません。

映画.com注目特集

3月14日更新
ガンニバルの注目特集
注目特集ガンニバル

【衝撃の問題作】この村は、人を喰ってる――なぜ世界は本作にハマる? “絶対支持”の理由を解説!

提供:ディズニー

【ラスト5分の破壊力】そして“観たことないシーン”のゲリラ豪雨に、感動を超えてもはや放心状態――

提供:東和ピクチャーズ

【あまりにオススメされるので、シリーズ未見だけど観てみた】結果は…ハマるまでのリアルドキュメント

提供:ツインエンジン

【映画2000円は高すぎる!!?】知らないと損な“1250円も安く観る裏ワザ”、ここに置いときます

提供:KDDI

【感想投稿で豪華賞品が当たる】ちょっとでも観たことある人、今すぐ参加して!(提供:ディズニー)

注目作品ランキング

  1. 1

    ウィキッド ふたりの魔女劇場公開日 2025年3月7日

    ウィキッド ふたりの魔女
  2. 2

    35年目のラブレター劇場公開日 2025年3月7日

    35年目のラブレター
  3. 3

    ファーストキス 1ST KISS劇場公開日 2025年2月7日

    ファーストキス 1ST KISS
  4. 4

    映画ドラえもん のび太の絵世界物語劇場公開日 2025年3月7日

    映画ドラえもん のび太の絵世界物語
  5. 5

    知らないカノジョ劇場公開日 2025年2月28日

    知らないカノジョ
注目作品ランキングの続きを見る

映画ニュースアクセスランキング

  • 昨日
  • 先週
  1. 1

    塚原あゆ子監督の“過去作”に出演するとしたら? ディーン・フジオカは「アンナチュラル」、岡田将生は「MIU404」と「最愛」で心が揺れる2025年3月17日 09:00

    塚原あゆ子監督の“過去作”に出演するとしたら? ディーン・フジオカは「アンナチュラル」、岡田将生は「MIU404」と「最愛」で心が揺れる
  2. 2

    「不適切にもほどがある!」SPドラマ、来春放送! 連続ドラマのその後を描く 阿部サダヲ「やっぱり宮藤さん、流石です!」2025年3月17日 04:00

    「不適切にもほどがある!」SPドラマ、来春放送! 連続ドラマのその後を描く 阿部サダヲ「やっぱり宮藤さん、流石です!」
  3. 3

    「俺の話は長い」安田顕、小池栄子、清原果耶、原田美枝子、杉野遥亮 お馴染みの面々の5年ぶり新ビジュアル披露2025年3月17日 06:00

    「俺の話は長い」安田顕、小池栄子、清原果耶、原田美枝子、杉野遥亮 お馴染みの面々の5年ぶり新ビジュアル披露
  4. 4

    竹野内豊&玉木宏が初共演 「雪風 YUKIKAZE」奥平大兼、當真あみら共演陣発表2025年3月17日 07:00

    竹野内豊&玉木宏が初共演 「雪風 YUKIKAZE」奥平大兼、當真あみら共演陣発表
  5. 5

    野沢雅子が「119エマージェンシーコール」第9話に“声”でサプライズ出演! 田中秀幸、宝亀克寿、桑島法子も登場2025年3月17日 21:52

    野沢雅子が「119エマージェンシーコール」第9話に“声”でサプライズ出演! 田中秀幸、宝亀克寿、桑島法子も登場
  1. 1

    ニコラス・ケイジの変貌ぶりがヤバすぎて主演女優の心拍数が「76→170」に跳ね上がる「一生忘れない」2025年3月11日 18:00

    ニコラス・ケイジの変貌ぶりがヤバすぎて主演女優の心拍数が「76→170」に跳ね上がる「一生忘れない」
  2. 2

    櫻井翔×北川景子「映画 謎解きはディナーのあとで」3月29日に放送2025年3月14日 16:00

    櫻井翔×北川景子「映画 謎解きはディナーのあとで」3月29日に放送
  3. 3

    「日曜アニメ劇場」3月16、23日に「宇宙戦艦ヤマト2199」劇場版2作を放送 30日は「ルパン三世VSキャッツ・アイ」2025年3月14日 18:00

    「日曜アニメ劇場」3月16、23日に「宇宙戦艦ヤマト2199」劇場版2作を放送 30日は「ルパン三世VSキャッツ・アイ」
  4. 4

    【閲覧注意】台湾ホラー「ガラ」5月9日公開決定! 衝撃の日本版ビジュアル&予告編&場面写真を一挙公開2025年3月10日 08:00

    【閲覧注意】台湾ホラー「ガラ」5月9日公開決定! 衝撃の日本版ビジュアル&予告編&場面写真を一挙公開
  5. 5

    【第48回日本アカデミー賞】最優秀作品賞は「侍タイムスリッパー」 安田淳一監督&山口馬木也が涙2025年3月14日 22:55

    【第48回日本アカデミー賞】最優秀作品賞は「侍タイムスリッパー」 安田淳一監督&山口馬木也が涙
映画ニュースアクセスランキングをもっと見る
スクリーニングマスター誘導枠

他のユーザーは「菖蒲」以外にこんな作品をCheck-inしています。


[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp