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北の零年

劇場公開日:

解説

明治初期の北海道を舞台に、運命に翻弄されながらも屈することなく自分たちの国作りに挑んだ人々の姿を、史実を基に描いた歴史群像ドラマ。監督は「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲。脚色は「DEVILMAN」の那須真知子。撮影を「阿修羅のごとく」の北信康が担当している。主演は、「風の舞 闇を拓く光の詩」の吉永小百合と「ラスト サムライ」の渡辺謙、「丹下左膳 百万両の壺」の豊川悦司。文化庁支援作品。

2004年製作/145分/日本
配給:東映
劇場公開日:2005年1月15日

あらすじ

明治3年。庚午事変により、明治政府から北海道移住を命ぜられた淡路の稲田家主従546名。半月に及ぶ船旅の末、静内へと上陸した先遣隊は、家老・堀部賀兵衛と家臣・小松原英明を中心に、未開の地に自分たちの国を作るべく理想と希望に燃えていた。だが、様々な困難が彼らの前に立ちはだかる。稲はなかなか育たず、第二次移住団を乗せた船は難破、更に廃藩置県によって彼らの土地が明治政府の管轄となってしまったのだ。絶望の中、英明たちは自ら髷を落とし、新政府には頼らない道を選択。そして、英明は妻・志乃と娘・多恵を残し、静内でも育つ稲を求めて札幌の農園へと旅立った。ところが、半年以上が経っても英明は帰らず、人々は深刻な食糧不足に見舞われる。志乃に対する風当たりも冷たい。しかし、夫を信じる彼女は、アイヌと共に暮らす謎の男・アシリカや牧畜指導者のダンらに助けられ、危機を乗り越えていくのだった。5年後、志乃と多恵はダンのアドヴァイスを受けて牧場を経営。かつての家臣たちは、詐欺紛いの手口で権力を手にした元商人の戸長・倉蔵の下、政府の役人となっていた。そんなある日、英明が開拓使の役人として戦の為の馬の徴用にやって来る。5年前、札幌に辿り着いたものの病に倒れた彼は、命を救ってくれた人と再婚し、今は三原と名乗って新しい生活を送っていたのだ。動揺を禁じえない志乃は、しかし英明の立場を思い、馬を差し出す決意をする。とその時、人々が英明の行く手を阻み、箱館戦争の残党であったアシリカこと高津政之が馬を放った。折しも、イナゴの大群の襲来で稲が全滅。この上、馬を召し上げられては生きる術を失ってしまう。農民たちの命懸けの抵抗だ。果たして、その気迫に押された英明は撤退を余儀なくされ、志乃たちは再び希望を胸に自分たちの国作りに挑むのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚色
那須真知子
製作総指揮
岡田裕介
坂本眞一
企画
遠藤茂行
木村純一
製作
広瀬道貞
塚本勲
後藤亘
鶴田尚正
堀鐵蔵
黒澤満
西村嘉郎
浜本孝久
瀬戸由紀男
権藤満
橋本宗利
菊池育夫
福田貞男
沢田喜代則
深津修一
佐藤陽紀
箱島信一
長野隆
土方清
プロデューサー
角田朝雄
天野和人
冨永理生子
撮影
北信康
美術
部谷京子
音楽
大島ミチル
音楽監修
佐々木真
音楽プロデューサー
北神行雄
津島玄一
録音
伊藤裕規
音響効果
柴崎憲治
斎藤昌利
照明
中村裕樹
編集
今井剛
衣装デザイン
宮本まさ江
長岡志寿
真霜和生
佐藤百合香
選曲
清水和法
助監督
大野伸介
宮村敏正
スクリプター
工藤みずほ
スチール
大木茂
その他
生田篤
近藤誠二
吉田順
杉山登
濱田千佳
志摩良一
関祥治
黒坂修
古川一博
箕田良二
小松賢志
斎藤秀明
野口照夫
石井徹
日達長夫
深沢義啓
津川英子
井上実子
土井巧
板垣義一
朝比奈豊
小池明夫
中島尚俊
泉建志
近藤久夫
戸崎和良
田原絹子
村田正敏
原田伸一
塩道欽也
武内亮人
笹野和雄
遠藤結蔵
岡村雄二
布施田次郎
梨本孝行
橘優
小島章夫
平川敏彦
長野健一
矢嶋和彦
長岡功
多田憲之
早河洋
坂上順
坂本忠久
黛威久
小松功
大庭信正
東映音楽出版
尾上克郎
道木伸隆
瀬戸木勉
本田大輔
浦澤貴洋
佐々木塁
平興史
大元克己
泉有紀
後藤利実
鈴木学
二家本辰己
所博昭
羽鳥博幸
宇田川幸夫
高見澤利光
全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第29回 日本アカデミー賞(2006年)

受賞

主演女優賞吉永小百合

ノミネート

作品賞  
監督賞行定勲
脚本賞那須真知子
助演男優賞香川照之
助演男優賞豊川悦司
助演女優賞石田ゆり子
助演女優賞石原さとみ
音楽賞大島ミチル
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映画レビュー

5.0バブル崩壊とそこからの再生の物語として観れるように上手く翻案されています

2020年9月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ!クリックして本文を読む

序盤から泣き通しでした
正直自分でも単純な奴だと呆れはてます

感動的な音楽、感動的な映像、感動的な台詞
ズルい、あざとい、卑怯だとまで思います

ここが涙腺のスイッチなんだろ?
ほれ、と簡単に手玉に取られてしまったからです
問答無用と力づくでねじ伏せられて、強引に泣かされていたのです

とくに音楽は大袈裟なくらい格調高く、感動を強制的に盛り上げるほどの素晴らしいオーケストレーションでした
これ誉めてます、念のため

悔しいけれど、監督にしてやられました
でもこれで良いのでしょう

行定勲監督は要求された仕事を完璧にこなしています
吉永小百合の映画として完璧だったと思います
その意味でプロフェッショナルです

やはり吉永小百合はやはり凄い女優です
なんだかんだ思っていても画面に映っていればそれで、ねじ伏せられて納得してしまうのですから

でもなんか悔しい、卑怯だ

ただ殿がきたぞー!って言葉遣いだけは勘弁して欲しかったと思います

物語は実話を元にした翻案で、実際は殿様はもっとましな人物であったようです
領民を捨てずその地で住んで開拓に尽くしたようです

星5個にした本当の理由は別にあります

バブル崩壊とそこからの再生の物語として観れるように上手く翻案されているからです

バブル崩壊は北海道経済を特に苦しめたのです
北海道経済経済の心臓とも言える北海道拓殖銀行は1998年11月に破綻、そこに北海道を代表した企業の雪印もあの集団食中毒事件を起こして経営が大混乱に陥ったのです
北海道経済は、本作中盤の大吹雪のシーンのように立ちすくんだいたのです

それは北海道だけでなく全国でも同様に日本経済は大吹雪のなかに埋もれつつあったのです
名のある大企業でもリストラは広く大規模に行われて、親会社の都合ひとつで、子会社や事業部門まるごと売却されたりしていたのです
稲田藩の人々のように会社から簡単に捨てられたりしていたのです

実際、親会社から捨てられて、事業部門や工場が丸ごと切り離されて会社として独立した例も有りました

しかしそんな新会社の設立を主導した幹部が、やっぱり上手く行かないとなると真っ先に逃げ出して行ったところもあったようです
小松原英明のような男は本当にいるのです

この時、日本の終身雇用だとか、家族的な会社経営なんか信用できないと、誰しもが思うようになったのが本作公開の頃であったと思います
心の中で日本のサラリーマンはちょんまげを切っていたのです

経営幹部でもない一般社員は一体どうしたらよいのでしょうか?

静内を大八車に家財道具を乗せて逃げ出す人々のように、宛てもなく会社を辞めて一体家族を養えるのでしょうか?

結局、本作のラストシーンのように各自の目の前の仕事を一生懸命に日々やり遂げるしか仕方ないのです

本作の本当の感動的シーンは一体どこでしょう?
それは石橋蓮司の演じた堀部様が、渡辺謙が演じる小松原英明に立ち向かい、そしてかっての稲田藩の人々が一緒に立ち上がったシーンだと思います

親会社に捨てられて、ライバル会社に吸収合併されて卑屈に働いていた社員達が一斉に立ち上がったようなものです

子会社が独立した時の幹部が、そのかってのライバル会社にちゃっかり幹部に収まっている
そいつがいきなり古巣に乗り込んできて、大規模なリストラを要求してきたようなものです
そんな事例は大なり小なり実際に体験したり、身近に見聞きしていたことです

そして馬の奔流のカタルシス

この現代とのアナロジーを意識したクライマックスは高く評価したいと思います
だから悔しい、あざとい、ズルい、卑怯だ、とまで思っても
星5個をつけざるを得ないのです

あき240

2.0失踪した渡辺謙が…

2019年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

明治維新後のどさくさに紛れて渡辺謙が失踪して、戻っては来るけどとんでもねえ奴になってましたというあまり救いのない物語。開拓民の艱難辛苦とか、その辺はあまり描写が足りなかったと思う。繰り返し観たくはない。

さすまー

4.04点つけたら じじいと言われた・・・

2019年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「お父上はどこへ行ってしまわれたのですか?」
「札幌へ行ったとばかり思っていましたが、どうもハリウッドまで行ってしまわれたようですよ」
「稲は持ちかえってくれるのでしょうか?」
「向こうの人に気に入られてしまって、悪者になって登場するような気がするのです・・・」

 『ラスト・サムライ』公開時からかなり宣伝していたのを思い出す。当時は内容もさっぱりわからなかったが、謙さまがオスカー候補になってから脚本を大幅に書き換えたような気がしてならないほど意外な展開があった。見る前は「どうせ『デビルマン』の脚本家だし・・・」と全く期待しなかったのが幸いして、168分も全く飽きることなく集中して鑑賞できました。まぁ、方言とか敬語とかが雑すぎますけどね・・・

 馬をメインのアクションに使ったり、○○○の大群といい、開拓民とアイヌの絡みといい、まるでハリウッド西部劇大作だと感じたのですよ!もしかすると、どこかの西部劇をちょっとずつパクっている可能性もあるけど、日本の歴史を見事に取り入れた大河ドラマに仕上げたことに拍手したいです。

 サユリストの方には申し訳ないですが、吉永小百合の演技はダメです。ぎこちない敬語と一本調子な感情表現は荒々しい北海道の自然に対抗できないように感じました。良かった俳優は石橋蓮司と平田満。石橋蓮司は『理由』『東京タワー』と、今年観た映画に連続して出演しているので早くも「2005年最多出演賞」にノミネートです・・・

 馬のシーン以外で良かったのが吹雪の中の母娘のシーンです。『八甲田山』以来、凍え死んでしまいそうなくらい寒々としたところで、思わず凍死しそうになりました(まさか・・・)。場内には、平日昼にもかかわらず50人くらい(9割くらいがシルバー)いましたけど、みんな寒そうでした。

kossy

3.5寡黙な役だけと元会津藩のアシリカが良かった。幕藩体制の終わりと北海...

2019年7月27日
スマートフォンから投稿

寡黙な役だけと元会津藩のアシリカが良かった。幕藩体制の終わりと北海道開拓の歴史ものとしてみるには良作品。長かったけど。

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