妻の勲章
劇場公開日:1959年5月19日

解説
中山正男の原作を、「狐と狸」の菊島隆三と、内川清一郎が脚色し、「女侠一代」の内川清一郎が監督した、夫婦愛を描いたドラマ。撮影は「かた破り道中記」の太田喜晴。
1959年製作/104分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1959年5月19日
あらすじ
幸田は鍛冶屋の息子に生れたが、ガソリンの臭いが好きでオートバイ作りにすべてを賭けていた。その頃新聞では、攻略戦に活躍する銀輪部隊のことを報じていたが、彼は足でこぐ自転車が機械化部隊と云えるものかと言って憲兵隊から睨まれたり、妻さつきが実家から持って来る白米をガソリンに変えたりする始末に、さつきは娘の夏子と実家へ帰ってしまった。一人取り残されて彼は、ガソリン嫌いのさつきがいつも離さなかった香水瓶をにぎりしめて、今更のように二人のいない寂莫を感じた。一方、実家のさつきも、折からの空襲中に夫の面影を思いお互いが愛し合っていることをさとり、夫のもとに帰った。そうして終戦。幸田は相変らずオートバイと取組んでいた。ある日、米兵が修理に持参したオートバイの優秀さにうちひしがれた。「もう一度初めからやり直しよ、今からでもおそくないわ」と、励ますさつきの言葉に工業学校へ入る決心をする。それから夫婦揃っての勉強が続いた。--三年後、もとの親方である山崎が廃品同様の六号無線機三百台を利用してオートバイを作ろうと話を持ちこんできた。エンジンはあっても、肝心のガソリン・タンクが三百個も手に入らないのだ。が、幸田は湯タンポをタンクの代りにすることを案出した。モーターバイクA型一号、二号と次々に完成され、昭和三十年に幸田技研工業株式会社が成立された。世界オートバイ耐久レースに、イギリス、イタリア、アメリカに混じってさつき号が出場、見事に優勝する。幸田は小型エンジン発見に力を尽したことで、藍綬褒章を贈られることになった。その頃、病院ではさつきが病床にいた。彼女は医者から癌と言われながら、自分の病状を隠して夫を晴れの受賞式に送り出した。勲章を押し戴いた幸田を待ちうけていたのは妻の死だった。思えば夫と妻の長い幾歳月であった。「お母さんを殺したのはお父さんだ。嫌いなガソリンのにおいばかりかがせて--さつき、みてくれ、頂いた勲章お前の勲章だ--妻の勲章だ。」彼はそれを妻の胸におきその上から香水を振りかけてやった。
スタッフ・キャスト
映画レビュー
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