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人形佐七捕物帖 花嫁殺人魔

劇場公開日:

    解説

    横溝正史・原作の『人形佐七捕物帖』シリーズの一篇。「暁の非常線」の金田光夫が脚色、「続・若君漫遊記 金比羅利生剣」の加戸野五郎が監督した。撮影は「荒海の王者」の吉田重業。主演は「幽霊沼の黄金」の若山富三郎、「危し! 伊達六十二万石」の日比野恵子、中村竜三郎。それに天知茂、城実穂。

    1957年製作/65分/日本
    劇場公開日:1957年12月28日

    あらすじ

    両国回向院境内で店を張る見世物小屋の伊之吉が、品川で釣ったボラの腹の中から女持ちの匂袋が出て、その中に「近いうち女房を殺してお前と一緒になる」というぶっそうな手紙が出た。相手の女も、差出した男の名も、紙がやぶれているので「お×代」「××之助」というよりわからない。しらべに乗り出した人形佐七は、大呉服商甲州屋の娘お春が嫁に行くので、両国橋でおなごりの舟遊びの宴をひらく、これがどうも一件の手紙と関係あるらしいという報告を甲州屋の女中お高から受けて、さっそく隅田川にやって来た。甲州屋の月見舟が二艘、一艘には主人平兵衛、娘お春、お秋、番頭清次郎、他の一艘には息子新之助、顔半面に火傷のあとのある嫁のお夕、従妹のお加代が乗っている。佐七が彼らの舟に近づいた時、お夕達の舟が突然沈んだ。誰か船頭のかわりが乗り、やったのである。翌朝お夕の死体が上ったが、不思議に首がなかった。主人平兵衛の話によれば、お夕は清次郎と結婚した後、大火傷で顔を醜くして以来、新之助とお加代の仲を疑い半狂乱になっていたという。魚の腹から出た匂袋はお加代のものだったので、嫌疑は二人にかかった。ところが新之助は何者かに殺され、番頭清次郎も傷を負った。お夕の死体をしらべて見ると、それはお夕ではなく女中お吉であることもわかった。その頃、江戸には卍印をのこして豪商を襲う怪盗団が出没、その首魁と佐七は大立まわりを演じたが、この一団と甲州屋の事件は何か関係があるようだった。お春も結婚式の日に、お夕の簪がどこからか飛んで来て、命を失い、主人平兵衛も佐七に何か秘密を告白しようとしている矢先、飛び込んだ手裏剣に殺された。佐七がそこで古い奉行所の調書を見ると、二十年前江戸を荒した黒猫の源次、万字屋藤兵衛という盗賊団があったことを知る。今度の事件もこれと関係あることを、佐七は平兵衛がのこした手紙から知った。彼の推理によれば、舟を沈め、新之助に罪をきせようとした源次の乾分は、お夕のかわりにお吉が死んだと知って、その首を落した。お夕は新之助を殺したが、一味は罪をお夕におわせようと、お夕の簪でお春を殺しお夕も殺して死体を土蔵の中にかくしておいた。すべて番頭清次郎が、昔の盗賊、今は見世物小屋を張る源次と共謀し、甲州屋を乗取った上、お加代を自らのものにするための芝居だったのである。卍組も外ならぬこの見世物の一団であり、佐七は奉行の捕方と力をあわせて、彼らをおさえた。

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