祇園祭
劇場公開日:1968年11月23日

解説
西口克己の原作を、「湖の琴」の鈴木尚之と、「北穂高絶唱」の清水邦夫が共同で脚色、「眠狂四郎無頼剣」の伊藤大輔と「主水之介三番勝負」の山内鉄也が共同で監督に当っている。撮影は川崎新太郎。
1968年製作/168分/日本
配給:松竹映配
劇場公開日:1968年11月23日
あらすじ
足利将軍の、世継ぎ争いに端を発した応仁の乱は、以後五十年もの間、京の都を荒廃に陥れた。虐げられつづけた農民が、一揆を起したのもその頃だが、武士階級にはそれを鎮圧する力も、すでになかった。染物職人の新吉は、土一揆のあったある夜、笛の上手な不思議な女あやめを知り、荒れた御堂の中で一夜を共にした。翌朝、家に帰った新吉は、母が侍に殺されたのを知った。一方相次ぐ一揆に手を焼いた管領細川晴元は、町民を狩り集めて一揆の本拠山科に攻め入った。そこには貧農に味方する馬借の頭熊左がいた。新吉たち町民は熊左の一隊と戦ったが、侍は逃げ、結局は新吉たちは利用されているだけだった。戦いが終って、新吉の心には侍階級に対する不信感が強くなった。町民たちも税金を払わないことで特に対抗しようとしていたが、そのためには、町民の団結力を見せる必要があった。そこで新吉は、戦乱で三十年もの間途絶えていた町民の祭典、祇園祭を再興しようと決心した。新吉はその相談に、貧乏公卿言継を訪ね、そこであやめと再会した。言継はあやめに祇園ばやしの笛を習えと勧めたが、あやめは新吉に、教えようとはしたかった。彼女は河原者の娘で、町衆とは素直に心を通じあえなかったのだ。その頃、管領は税金を払わない町民に、関所を設け関税を払わせることで対抗した。そのため京に入る食糧は欠乏し、町民は飢えに苦しんだ。新吉は、死を覚悟で熊左に会いに行き米を運んでくれるよう頼んだ。熊左は一言の下に拒絶したが、そこに現われたあやめの説得で、新吉の依頼を引受けたのだった。熊左の一隊が米を運んで京の町に現われた時、町民は熱狂して出迎えた。やがて、いつか身分を越えて心の通じるようになった新吉とあやめは、笛の練習に幸福な日々を送るようになった。祇園祭の準備は着々と進んでいた。一方、侍たちはこの祭りを邪魔しようとしていた。ついに祭の日が来た。盛大に装いを凝らした山鉾かゆるゆると動き出した時、侍や僧兵が立ちはだかった。だが、彼らは熊左たち馬借の一隊に退けられた。しかし物陰から放たれた矢で新吉は重傷を負ってしまったのだ。胸に矢をつき立てたまま、新吉は熊左の手を借りて山鉾に上った。蒼白な顔で仁王立ちになった新吉の姿は、京の町民の象徴のようなものだった。侍たちはあまりの気迫に手出しも出来なかった。道が開き、再び山鉾が動きはじめた時、新吉はそのままの姿勢で息絶えていた。
スタッフ・キャスト
新吉萬屋錦之介
いち瀧花久子
お鶴佐藤オリエ
あやめ岩下志麻
河原又四郎永井智雄
権次田中邦衛
恒右衛門志村喬
助松田村高廣
お兼斎藤美和
源蔵藤原釜足
源太小川吉信
常七大里健太郎
平太大木晤郎
佐助橋本仙三
佐助の女房およし沢淑子
文助香川良介
文七山口俊和
門倉了太夫小沢栄太郎
泉屋徳太夫浮田左武郎
柳屋辰右衛門有馬宏治
丹波屋伝蔵御木本伸介
熊左三船敏郎
岩十尾形伸之介
山科言継卿下元勉
伊平渥美清
於菟北大路欣也
祇園社神官関根永二郎
山科甚兵衛下絛正巳
頭領堀正夫
百姓市川裕二
政庁前の開闔加藤浩
中組路地開闔田中浩
侍河村満和
白髪爺春路謙作
関所の役人中村時之介
宰領玉生司郎
職人六松山英太郎
職人1鈴木晴雄
職人2大東良
彦爺片岡半蔵
騎馬の侍遠山金四郎
赤松政村伊藤雄之助
細川晴元伊藤寿章
巽組代表高倉健
町衆A美空ひばり
町衆B香山武彦
町衆C中村嘉葎雄
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映画レビュー
5.0京都文化博物館でしか観れません
当時の東宝、松竹、東映のトップスターが出演し、豪華なキャスティングです。それだけでも見応えがありますが、京都の町を再現したセットに感嘆。
映画が完成するまでに、紆余曲折があり、かなりの年月がかかったようです。上映権は京都市が所持していて、権利関係も複雑だから、ソフト化はされてないようです。
祇園祭の期間中、京都文化博物館でのみ、上映されます。
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