座頭市(1989)
劇場公開日:1989年2月4日
解説
居合い斬りの得意な按摩・座頭市と五右衛門一家との戦いを描く。子母沢寛の同名小説の映画化で、脚本・監督は「新座頭市物語 折れた杖」の勝新太郎、共同脚本は「森の向う側」の中村努と市山達巳、脚色は「この胸のときめきを」の中岡京平、撮影は「クレージーボーイズ」の長沼六男がそれぞれ担当。主題歌は、JONNY(「THE LONER」)。
1989年製作/116分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1989年2月4日
あらすじ
牢を出たばかりの座頭市は、漁師・儀肋の家にやっかいになった。その小さな漁村では五右衛門一家が賭場を開き、市もつきに任せて遊んでいた。跡目を継いだばかりの若き五右衛門は宿場一体を仕切るために八州取締役に取り入ろうとしていた。大勝ちした市を撫然とした五右衛門一家が取り囲むが、女親分のおはんが取りなした。帰り道で市は刺客に襲われるが、得意な居合い斬りで片づけた。市は旅先で絵を描く浪人と知り合い、色を教えてもらった。その間も五右衛門一家の刺客が襲いかかるが、市の居合い斬りの前には歯が立たない。八州取締役は赤兵衛に五右衛門と対抗するために銃を買うことを勧めた。しかし、赤兵衛は五右衛門と八州が通じていることを知っており、市を用心棒に顧った。一方五右衛門は浪人を新しい用心棒に顧っていた。赤兵衛の宿場で八州は薄幸の少女おうめを手込めにしようとするが、市に斬られた。浪人は湯治場で一度市を見逃すが、五右衛門一家はついに赤兵衛一家を襲う。壮絶な斬り合いの末、赤兵衛は五右衛門の前に倒れた。その時坂の上から早桶が転ってきて、中から現われたのは八州の首を持った市だった。そして市は数十人の五右衛門一家の子分を絶滅させ、最後に五右衛門と浪人も倒すのだった。
スタッフ・キャスト
映画レビュー
3.0永遠の勝新座頭市
シリーズ26作目。1989年の作品。
『~笠間の血祭り』以来16年ぶりで、最後の勝新座頭市。
主演のみならず、監督・製作・脚本も兼任。
久々の座頭市に相当の意気込みが窺い知れる。
以前、勝新自ら監督した『~折れた杖』は異色の作風だったが…
獄中の市。
出所した市は、馴染みの漁師の元にやっかいになる。
その一帯は、八州取締役に取り繕うとする二大やくざが睨み合う。
市は一方の賭場を荒らし、一方から用心棒の口利き。
そんな中、孤児たちの面倒を見る少女と心を通わせるが、彼女を八州が狙う。
遂に二大やくざ一家が争い、市もその渦中に…。
これが自身最後の座頭市になると分かっていたのか、それともこれを起点にまた新たにシリーズを作ろうとしていたのか。
王道も王道。
話に展開、二大やくざの抗争、悪徳取締、子供たちとの交流、お馴染みイカサマ博打、そしてクライマックスの大立ち回り…。
多少間延び感はあるものの、集大成といった感。
一癖二癖あるキャラを、一癖二癖ある豪華キャストが演じる。中でも、市と心を通わせ、斬らざる運命にある浪人を、緒形拳が好演。この浪人設定も無くては無らぬ。
人によって本作は賛否両論。“作品”としてではなく、作品を巡る“スキャンダル”で。
脚本は有って無し。その日その日変えられる勝新のワンマン体制。
大幅予算、日数オーバー。公開までに間に合うか。
でも最大のスキャンダルは、真剣による死亡事故。勝新の息子の奥村雄大が真剣とは知らずに相手を斬って死亡させてしまった事件…。あくまで“事故”を主張し、裁判では無罪に。撮影続行する勝新にはマスコミや世間の集中砲火…。
絶対にあってはならぬ事。管理体制の悪さが招いた最悪の不祥事。
これでお蔵入りや大コケだったら目も当てられないが、作品は大ヒット。勝新の執念。
勝新以後も多くの俳優が演じた座頭市。
しかし最近はビートたけしや綾瀬はるかの方が有名で、殊に若い人の多くは勝新座頭市を知らない。実際私のリア友は、「座頭市はビートたけしでしょ。勝新太郎なんて知らないし」。
何足る事!
勿論、それぞれの座頭市も魅力があった。
だけど、やっぱり座頭市と言ったら、勝新太郎!
あの茶目っ気、あのキャラ、あの殺陣、あのカッコ良さ。
今回シリーズ全作通して見て、そう思った。
お天道様の下を歩けないやくざ者。
が、弱きを助け、悪を斬る。
盲目でありながら、居合斬りの達人。
邦画史に残る名シリーズ、名ヒーロー。
勝新太郎没24年経つが、座頭市は今も日本人の心を旅し続けている。
約半年かけて座頭市レビュー終了!
次は何にしようかね(^^)
3.0真剣を使って死者を出してしまった曰くつきの作品
市が壷を振り、壷からはずれたサイコロ6と1。みな半にかけるが、壷の中のサイコロが勝負なんだと樋口可南子の女親分が仲裁をとりもった。それがきっかけで一緒に風呂に入り、激しい濡れ場を演ずる二人。ストーリーはさっぱりわからないほどつまらないが、ラストの百人斬りは凄まじいまでの殺陣が光る。斬った首をさりげなく蹴飛ばすシーンが印象的だ。
勝新座頭市全26作に挑戦し、改めて見てみると、今作は時が経ってはいるけれども集大成という感が強い。まずは牢獄での生活。盲目ということでいじめられながらも鶴(片岡鶴太郎)の優しい心に触れた市。そして儀助(三木のり平)とのやりとり。海辺の一軒家で借りた三両を返すが、博打の元手にとそのまま三両を渡すシーン。2代目五右衛門(奥村雄大、勝新太郎の息子))親分の襲名披露の宴での出来事。今までの座頭市シリーズの名場面をそのままリメイクしたかのようだった。その他にもあんまの一行、子どもと落とし穴、そして五右衛門に雇われた浪人(緒方拳)との友情にも似た関係はかつてのライバルたちを彷彿させるが、絵描きでもある彼の心情がとてもわかりづらいのも味がある。
3.0亡き鴈龍デビュー作
3.5元祖・ナメてた相手が、、、、
由緒正しき時代劇はクソ喰らえ、そんな己の代表作を自らの手でブッた斬った、勝新の衰え知らずな思考能力が炸裂したかのような斬新さが際立つ、本人のやり切った感が満載。
随所に垣間見れるコミカルな演出に笑えたり、勝新演じる市のキャラクターが可愛くも思え癒される。
中盤以降から話がとっ散らかった印象も受けるが、ラストの殺陣シーンは迫力もあり楽しめる。
内田裕也のトッポイ風貌からの情け無さ、こういう役を演じさせたら右に出るものはいない専売特許??
親のコネ感が滲み出る奥村雄大こと雁龍、セリフ回しや存在感も様になっていて良い役者になれた筈が、道を踏み外してしまったのが何とも惜しい。
陣内孝則の役はショーケンだったら良かったのに、それ以外の役者陣の起用含めた勝新のセンスの良さがキワキワ。
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3月19日更新
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「座頭市」シリーズ関連作品
座頭市 THE LAST
2010年ICHI
2008年座頭市
2003年座頭市(1989)
1989年新座頭市物語 笠間の血祭り
1973年新座頭市物語 折れた杖
1972年座頭市御用旅
1972年新座頭市・破れ!唐人剣
1971年座頭市あばれ火祭り
1970年座頭市と用心棒
1970年座頭市喧嘩太鼓
1968年座頭市果し状
1968年座頭市血煙り街道
1967年座頭市牢破り
1967年座頭市鉄火旅
1967年座頭市海を渡る
1966年座頭市の歌が聞える
1966年座頭市地獄旅
1965年座頭市逆手斬り
1965年座頭市二段斬り
1965年座頭市関所破り
1964年座頭市血笑旅
1964年座頭市あばれ凧
1964年座頭市千両首
1964年座頭市喧嘩旅
1963年座頭市兇状旅
1963年新・座頭市物語
1963年続・座頭市物語
1962年座頭市物語
1962年