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オルフェ(1950)

劇場公開日:

解説・あらすじ

フランスの芸術家ジャン・コクトーが監督・脚本を手がけ、ギリシャ神話のオルフェウス伝説をもとに、舞台を1950年代のパリに移して映画化。

詩人のオルフェが通うカフェに、王女と呼ばれる女性が現れる。王女はバイクにはねられた詩人セジェストの死体を自分の車に運ぶようオルフェに指示。そのままオルフェも車に同乗して王女の屋敷にたどり着くが、王女はセジェストを生き返らせると鏡の中へ消えてしまう。それ以来、オルフェは王女の美しさにすっかり心を奪われてしまい……。

コクトーの公私にわたるパートナーであったジャン・マレーが主演を務め、「天井棧敷の人々」のマリア・カザレスが死の王女を圧倒的な存在感で演じた。後に「ローマの休日」などを手がける映画音楽の巨匠ジョルジュ・オーリックが音楽を担当。1950年・第11回ベネチア国際映画祭で国際批評家賞を受賞した。

1950年製作/95分/G/フランス
原題または英題:Orphee
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
劇場公開日:2022年12月30日

その他の公開日:1951年4月17日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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(C)1950 SND (Groupe M6)

映画レビュー

4.0オルフェウス神話を1950年代のパリで

2023年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ!クリックして本文を読む

コクトーの描く死の世界が面白かった。

オルフェウスは死の女神に見初められて死の世界に行き、行き詰まりを感じていた詩の創作意欲を掻き立てられる。死神(マリア・カザレス)は美しく、二人は恋に堕ち、オルフェは生の世界に戻っても夢うつつの身になってしまう。身重の妻はそれを嘆き悲しんで交通事故死。美しい死神は死の世界の裁判にかけられて人間と恋におちた罪を問われ、詩人との恋はなかったことにされる。

有名なマレーの写真ー鏡の中の自分に頬擦りしているようで、どんだけ自分好きなのよ!とつっこみたくなるやつーは、オルフェが死の女神様に恋焦がれている場面だったことがわかったのはスッキリな件。

それから、美人の死神のアシスタント兼運転手のおじさんも、オルフェの奥さんに恋していたという話で、なんだかコクトーって可愛い人だな、と思った。

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共感した!1件)
SpicaM

3.5鏡と手袋と硝子売りの青年

2023年6月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

以上が久し振りの観賞でも印象的で面白かった(手袋がゴム手袋だったのにはびっくりした。私の記憶では革の手袋だった)。スローモーションとか、ノーランや「ヨーロッパ企画」の時間の逆行をいっぱい試してる映像とは思ってなかった。

美しい「死」の彼女の愛ゆえにオルフェをもとに戻すとは!その分、妻をもっとゴージャスかもっと清楚かもっと力強い女性にして欲しかった。

ジャン・マレーの声と顔と身体と髪の美しさに惚れ惚れというより、崇める思いになりました。

talisman

4.5感性に訴え掛けるジャン・コクトーの生と死と愛のイマジネーションが素晴らしい映画の詩

2023年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波、VOD

フランスの天才詩人ジャン・コクトーがギリシア神話のオルフェウス伝説を現代に移し変えた原作を自ら演出した不思議な魅力に溢れた映画。イメージ優位の映像が詩的な神秘性に達すると、残るは不気味なほどの畏敬の念である。(1975年12月13日地上波テレビ)

詩人コクトー独自のイマジネーションに魅せられる、物語を単に語る範疇の映画とは一線を画す傑作。ストーリーや登場人物を現実の世界に当て嵌めて理解しようとしても納得できる答えが見つからないのに、とても面白い。オルフェの自宅の現世と廃墟のような死の世界のコントラスト。生と死の境界を鏡一枚で表現した演出のユニークさ。死の世界に足を踏み入れたオルフェの動きと撮影による幻想的な雰囲気。スローモーション、逆再生、スクリーン・プロセスなどを駆使して超常現象を詩的な表現に昇華させている。これが映画ならではの面白さであり、映画が成し得る魅力である。(1980年1月18日フィルムセンター)

演出で唸らされたのは、郵便配達員が門の鈴を鳴らすショットと6時の時計の音。オルフェが死の世界に行って戻って来るまでが現世では一瞬とする精神世界の描き方。死の世界に時間は存在しない。それはまた永遠を意味するのだろう。役者では主演のジャン・マレーもいいし、運転手ウルトビーズのフランソワ・ペリエも素晴らしいが、一番の魅力は死の女王のマリア・カザレスの毅然とした佇まいに一途な想いを秘めた愛の情念の表現力である。最後の涙の美しさが、純粋なる愛の証明になる。

「美女と野獣」のレビューで書いたように10代の頃にジャン・コクトーの詩集を一冊読んだものの全く理解できなかった。だが、たった一つの詩に惹きつけられてしまう。それは青二才の少年が自惚れと自己嫌悪の狭間で彷徨う中、漸く見つけた光明であった。

僕は太陽がまともに見れる
そなたの眼にはそれが出来ない
これなんだ僕の自慢の芸当は
たった一つの勝味は

1975年の17歳に記録したテレビ見学の年間ベストを振り返ってみます。今となっては、この頃が映画を貪欲に、また偏見なく楽しんでいたように思います。

①わが谷は緑なりき②自転車泥棒③風と共に去りぬ④死刑台のエレベーター⑤真実の瞬間⑥荒野の決闘⑦駅馬車⑧汚れなき悪戯⑨居酒屋⑩オルフェ
⑪戦争は終わった⑫奇跡の人⑬ジョニーは戦場へ行った⑭冒険者たち⑮アパートの鍵貸します⑯サムソンとデリラ⑰コレクター⑱好奇心⑲別れの朝⑳さよならコロンバス
㉑パリは燃えているか㉒地上最大のショウ㉓ビバ!マリア㉔バス停留所㉕シンシナティ・キッド㉖ローズマリーの赤ちゃん㉗OK牧場の決闘㉘真昼の暴動㉙地下室のメロディー㉚遙か群衆を離れて
次点・ジョンとメリー、栄光への脱出、さらば友よ、女と将軍、白鯨、傷だらけのアイドル、バーバレラ、悪い奴ほど手が白い、マーニー、わらの犬、バッファロー大隊、白い肌の異常な夜、トム・ソーヤの冒険

上位に選んだ中で特に好きな映画は、ルイ・マルの「死刑台のエレベーター」とフランチェスコ・ロージの「真実の瞬間」の二作品で、背伸びして選出したのがジャン・コクトーの「オルフェ」とアラン・レネの「戦争は終わった」でした。もし自分に誇れるほどの才能が有ったら、このフランス映画のような感性に訴え掛ける作品が創りたいと幻想を抱いたのもです。私が思う理想の映画の形の一つが、このコクトーの「オルフェ」でした。

Gustav

5.0天は二物ではなく、四物を与えてしまった‼️

2023年6月10日
スマートフォンから投稿

泣ける

怖い

興奮

この作品を観ているとジャン・コクトーという人はホントに天才なんだなーと思います‼️ギリシャ神話の有名なオルフェの悲劇を、現代のパリに置き換えて描いているわけですが、ラジオから冥界の詩が流れてきたり、オートバイに乗った死神が登場したり、鏡を通り抜けて行き来する死の世界とか、アイデア溢れる映像表現とモノクロ映像の効果も相まって、今観ても十分美しいと思います。ジェラール・フィリップ、アラン・ドロンと並ぶフランスの美男子と称されたジャン・マレーも頑張ってますが、やはりマリア・カザレスの影のある美しさですね。もうホントに死の国の王女にしか見えません‼️「美女と野獣」もそうでしたがジャン・コクトー監督はホントにスゴい‼️これで詩人で小説家で画家なんだから、一物も与えられてない者はどうしたらいいんだろう(笑)

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