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私に殺された男

劇場公開日:

    解説

    レジスタンス時代にフランスで、米国特務機関員が命令によって犯した一つの殺人をもとに、戦争下の人間心理を描いた作品。戦時中の実話にもとづいてドナルド・C・ダウンズが書いた書下し物語を、「若い恋人たち」のアンソニー・アスキスが監督した。脚色は、批評家でもあるポール・デーン。撮影を「黒い天幕」のデスモンド・ディキンソン、音楽をベンジャミン・フランケルが担当している。主人公にはカナダ出身の新人ポール・マッシーが抜擢され、「抱擁」「陽はまた昇る」のエディ・アルバート、無声映画時代のスター「蜘蛛の巣」のリリアン・ギッシュ、「キャンベル渓谷の激闘」のジェームズ・ロバートソン・ジャスティス等と共演する。製作アンソニー・ハヴェロック・アラン。

    1958年製作/112分/イギリス
    原題または英題:Orders to Kill
    配給:東和
    劇場公開日:1958年12月4日

    あらすじ

    一九四四年、第二次大戦たけなわの頃、米国空軍大尉ジーン・サマーズ(ポール・マッシー)は欧州戦線での戦斗勤務ののちボストンの自宅に帰還した。彼の母は、最前線にあった彼が、本国の陸上勤務に退屈するのをみて、彼の仕事について、知人の特務機関要員ノラン元帥に相談した。元帥の依頼をうけた特務機関員で、仏地区担当のキンボール少佐は、ジーン大尉がフランス生れなのを聞いて彼の起用を考えた。ナチ占領下のパリにおけるレジスタンス組織から、少佐の部下ラフィットという男がナチに裏切った旨の通報と、彼への制裁要求がきていた。その殺人者に彼を使おうというのだ。承諾したジーン大尉に、特務機関将校マクマホン(エディ・アルバート)の厳しい訓練がはじまった。目的の男と、その住む町についての知識を記憶し、武器の使用法や殺人の方法の綿密な訓練が重ねられた。しかし、命がけの戦いを経てきたジーンには、たった一人の男を殺すことなど何でもないことに思えた。訓練を終えたジーンは秘かにパリに送りこまれた。アジトはレジスタンスの一員で、表向きは洋裁師のレオニー(アイリーン・ワース)の許だった。雷気工夫ドミエに化けた彼は、目的のラフィットに近づいたが、彼がいとも善良そうな小男なのは意外だった。彼には妻や娘もいる、一見怪しい所は何もない、こんな男を即座に殺すことが出来るものだろうか。悩んだジーンはレオニーに相談したが、戦争下の無益な感傷だと、彼女の答は冷たかった。翌日、事務所にラフィットを訪ねたジーンは命令を決行し、額に油汗をにじませて、強盗に見せかけるため金を奪って逃走した。下宿にかえった彼のもとに、レオニーからの「仕事にかかる前に連絡せよ」との伝言が待っていた。もしやラフィットの無実が判明したのでは……、しかし、もう誰もが口をつぐみ、それをたしかめる方法はなかった。レオニーはナチに捕えられた。ジーンは酒に酔いしれた。一カ月後、解放されたパリを訪れたマクマホン少佐は、病院でアルコール中毒のジーンを見出し、ラフィットの無実を知った。必死に迫るジーンに、少佐も遂にラフィットの無実を語った。真実を知ったジーンに出来ることは、彼があの時奪い、後に酒にかえた金を、せめてラフィットの家族にかえすことだった。何カ月分かの給料を持った彼は、殺した男の妻と娘にそれをさし出した。「御主人はレジスタンスに立派な働きをした勇士だった……」といって。

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