シンドバッド虎の目大冒険
劇場公開日:1977年8月20日
解説
魔法使いに呪いをかけられた王子を救うべく、極地の謎の秘境へ旅立つシンドバッドの冒険を特撮で描くシリーズ第3弾。製作はチャールズ・H・シニアとレイ・ハリーハウゼン、監督は「マーベリックの黄金」のサム・ワナメイカー、脚本はビヴァリー・クロス、原案はビヴァリー・クロスとR・ハリーハウゼン、撮影はテッド・ムーア、特殊効果はR・ハリーハウゼン、音楽はロイ・バッドが各々担当。出演はパトリック・ウェイン、タリン・パワー、マーガレット・ホワイティング、ジェーン・シーモア、パトリック・トラフトン、カート・クリスチャン、ダミアン・トーマスなど。
1977年製作/113分/アメリカ
原題または英題:Sinbad and The Eye of the Tiger
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1977年8月20日
あらすじ
船乗りシンドバッド(パトリック・ウェイン)はシャロックの港に船を着けた。王の世つぎカシム王子(ダミアン・トーマス)に再会するためだ。だが王子はまま母で魔法使いのゼノビア(マーガレット・ホワイティング)に呪いをかけられ、まだ王位についていない。ゼノビアは実子ラフィ(カート・クリスチャン)を王位につかせようと、カシムを魔法によりヒヒに変えてしまったのだ。この呪いを解く方法はただ一つ、カスガルの隠者メランシアス(パトリック・トラフトン)を訪ね、解決策を請うこと。シンドバッドはヒヒと化したカシム、その妹ファラー姫(ジェーン・シーモア)らと共にカスガルへ向け出帆した。そしてついに、メランシアスと彼の娘ディオーネ(タリン・パワー)と出会う。この魔法を解くには北方浄土のアリマスピ族の神秘にたよるしかない。このメランシアスの言葉と共に、一行は水に閉ざされた幻の秘境への危険な航海に旅立った。一方、ゼノビアは魔法で一行がアリマスピ族のピラミッド聖堂へ行くのを知る。金属製の巨像ミナトンに生命をふきこみ、ラフィと共に一行を追うゼノビア。雪嵐吹く北極の中、秘境に着いたのは、彼女の方が先だった。しかし、ミナトンの力で無理矢理ピラミッド聖堂に入ったため、ミナトンの力はつき、石壁が崩れ、聖堂内の温度に異変が生じる。シンドバッド一行がやがて到着するや否や、ラフィは一行に襲いかかった。取っ組みあったまま階段を落ち、自らのナイフをあやまって刺し死ぬラフィ。温度は変わり出した。一刻の猶予もない。カシムは、太陽の光の滝の中に入り、元の姿に戻った。だが、氷の中に眠る虎にのりうつったゼノビアは、一行を襲う。恐るべき死闘。だが、傷つきつつも、シンドバッドが勝った。やがて、シャロックにて、カシム王子の世つぎが行なわれるのだった。
スタッフ・キャスト
映画レビュー
4.0最早自分も時代遅れだ、自分の役割は終わった そう本作で悟ったのかも知れません
1977年公開
ハリーハウゼン57歳の作品です
まだまだ若い、撮影に時間のかかるダイナメーションでも何本も作品が撮れるはずです
ところが、彼の作品はこの次の1981年の「タイタンの戦い」で最後になります
いくら何でも61歳で引退は早過ぎます
本作の米国公開は1977年8月12日
スターウォーズは同年5月25日公開
未知との遭遇は同年11月16日公開
つまりこの歴史的SF映画2本に挟まれて公開されていたのです
ハリーハウゼンが引っ張ってきた特撮映画も、既に1968年には「2001年宇宙の旅」のような、新世代の特撮に時代は変わっていたのです
ダグラス・トランブルや、ジョン・ダイクストラといった新世代の特撮マンが育ってきたのです
太平洋を挟んで互いに切磋琢磨して好敵手の円谷英二は1970年に69歳で他界していました
彼はハリーハウゼンの19歳年上でした
自分に残された時間は少ない
しかし円谷英二とハリーハウゼンの年の差よりももっと下、30歳近い年下の特撮マン達が、ハリーハウゼンの想像もつかないような新しい特撮を繰り広げていたのです
最早自分も時代遅れだ、自分の役割は終わった
そう本作で悟ったのかも知れません
本作での特撮は今までの作品に劣るようなものはひとつも有りません
ただ目玉のなるようなクリーチャーのシーンがこれと言ってないのが残念なところです
それに本編監督の腕がいまひとつのようで、大きな予算を掛かけているのに全体としては出来が良く有りません
それでもインディージョーンズシリーズに影響を与えている作品であることを強く感じます
ハリーハウゼンは、この4年後の「タイタンの戦い」で引退します
題材はもちろんギリシャ神話
アメリカではギリシャ神話の勉強として、彼の「アルゴ探検隊の大冒険」と「タイタンの戦い」を学校で子供達に見せるところもあるといいます
ハリーハウゼンもそれを誇りに思うと言っている特典映像がありました
その作品が彼の仕事の集大成だったのでしょう
根を詰めて長期間の撮影を続けないとならない、彼のダイナメーションは高齢になれば根気が続かないと思います
そして新世代の特撮マンが大勢生まれてきたのです
安心して引退できるというものです
ダイナメーションの考え方はCGの時代でも基礎基本です
ハリーハウゼンの特撮技術は21世紀の現代にまで連綿と続いているのです
3.0王子ヒヒ!巨大セイウチ!一角原始人!サーベルタイガー!
レイ・ハリーハウゼン特撮の1977年の作品。
“シンドバッド三部作”の3作目。
都シャロックに帰港したシンドバッド。
旧知の世継ぎである王子に会おうとするが、我が息子を王位に就かせようと目論む継母である魔女の呪いにより、ヒヒに姿を変えられてしまった。
王子の妹である姫から助けを乞われたシンドバッドは、ある賢者の知恵を借り、解決策のある極北の神殿へ向かう…!
賢者が住むのは『インディ・ジョーンズ/最期の聖戦』のクライマックス舞台にもなったペトラ遺跡、最終目的地は世界の果てにある極寒の神秘の神殿。
シリーズ最高の製作費を注ぎ込み、スケール的にも尺的にもシリーズ一番。
賢者が旅の仲間に加わったり、美女ヒロインが二人居たり(タイロン・パワーの娘とボンドガール)、敵がこれまでの男ではなく女になったりと新機軸を出そうとしているが、
勿論本作も素直に楽しいが、さすがに3作目、設定や展開はマンネリ化してきた。
シンドバッド役はあのジョン・ウェインの息子だが、残念ながら活躍や影が薄い。
登場キャラのお間抜け感も目立つ。シンドバッド一行の目的地を探ろうとする魔女は変身薬で鳥~小人に姿を変えるも、あっさり捕まる。魔女から秘術を聞き出そうとする賢者だが、一応危険な魔女だというのに見くびり、今度は自分がピンチに。挙げ句の果てに秘密を知られてしまうも、魔女は奪われた変身薬の量が足りず足だけ鳥のまま…。
ある意味賢者も魔女も目立つが、本当に賢者なの…?? 本当に恐ろしい魔女なの…??
まあドラマ部分は二人の美女ヒロインだけを見ていよう。
今回登場するハリーハウゼン・モンスターは…
地獄からの使者、グール!
黄金の機械像、ミナトン!
変身薬によって巨大化した大蜂!
極寒の海に棲む巨大セイウチ!
氷の中から目覚めたサーベルタイガー!
しかし今回、敵モンスターより、シンドバッド側のキャラの方に見せ場たっぷり。
王子が姿を変えられたヒヒと、一角の原始人。
ヒヒは実在の動物であるが、全編ストップモーションで演出。元が王子なのでチェスをしたり、器用に物を食べたり、
敵かと思われた一角原始人はシンドバッドたちに協力する優しい心の持ち主で、動作が愛くるしく見えてくる。力も強く、最後はサーベルタイガーと戦ってくれる。(その戦いで命を落とすが、シンドバッドたちは全く悼まないのは、オイ…!)
両キャラ、シンドバッドたちとの絡みも多く、ハリーハウゼンのダイナメーション演出はますます円熟!
1977年と言うと、『SW』や『未知との遭遇』で、ハリーハウゼンに憧れた世代が台頭し始めた頃。
ハリーハウゼンは次作の『タイタンの戦い』で引退。
この巨星が如何に古くから長きに渡って映画史に偉業を残してきた事か!
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