男の出発
劇場公開日:1973年3月17日

解説
カウボーイになることを夢見る16歳の少年が、身を持って体験していく現実の厳しさを描くウエスタン。製作はポール・A・ヘルミック、監督は写真家であるディック・リチャーズでこれがデビュー作となった。リチャーズの原案をエリック・バーコビッチとグレゴリー・プレンティスが共同で脚本化した。撮影はローレンス・エドワード・ウィリアムス、ラルフ・ウールジー、音楽はトム・スコット、ジェリー・ゴールドスミス、編集はジョン・F・バーネットが各々担当。出演はゲイリー・グライムス、ビリー・グリーン・ブッシュ、ルーク・アスキュー、ボー・ホプキンス、ジョフリー・ルイス、ウエィン・サザーリン、ジョン・マクリアム、マット・クラーク、レイモンド・ガス、アンソニー・ジェームズなど。
1972年製作/アメリカ
原題または英題:The Culpepper Cattle Co.
配給:フォックス
劇場公開日:1973年3月17日
あらすじ
南北戦争後のテキサスのある村--。16歳のベン・モックリッジ(ゲイリー・グライムス)はカウボーイになることを夢見ていた。彼は、母親に内緒で買った拳銃を友達に見せ、その感触を楽しんだ。その頃、フランク・カルペッパー(ビリー・グリーン・ブッシュ)をボスとするカウボーイたちが、テキサスからコロラド州フォード・ルイスに牛を送る用意をしていることを知り、どんな仕事でもするからカウボーイとして雇ってほしいと泣きついた。カルペッパーはコック(レイモンド・ガス)の助手として彼を雇い、出発した。第1の事件はすぐ起こった。キャンプに4人組の牛泥棒が入り、牛を暴走させ、20頭を盗んだのだ。カルペッパーは早速牛泥棒を追い、激しいガンファイトの末、倒したが3人の部下を失った。手不足を感じた彼は、カスティーゴの村に行ってラス・コールドウェル(ジョフリー・ルイス)にあい、牛輸送の手伝いを依頼する用事をベンにいいつけた。ベンは喜んででかけたが、途中、2人の賊に襲われ大事な拳銃と馬を奪われてしまった。歩いて村に辿りついたベンは、コールドウェルに用件を伝え、彼の仲間のルーク(ルーク・アスキュー)とブリック(ボー・ホプキンズ)、ミズーラ(ウエィン・サザーリン)らと共に出発した。カルペッパーは、ベンが馬と拳銃を巻き上げられたことを聞くと、賊の居所をつきとめ、取り戻してくれた。ある夜、ベンは自ら進んで見張りを引き受けたのはよかったが、馬泥棒に襲われ、ぶりのめされた上、馬をごっそり盗まれてしまった。ベンが役に立たず足でまといになるばかりと考えたカルペッパーは、コールドウェルと仲間を近くの村へ馬を買わせにやるついでに、ベンもつれて行き駅馬車の切符を買って、親許に帰してくれと頼んだ。ベンに好意を持っていたルークは、別れる前に彼に酒を飲ませてやろうと考え、仲間と酒場に入った。その酒場で、馬泥棒を発見したベンはコールドウェルに知らせた。やがて双方の拳銃が火をふき、ベンも賊の1人を倒した。馬も無事に戻り、再びベンはカウボーイたちの仲間入りした。一行は、暑い乾燥地帯を超えるとやがて川にめぐりあった。牛たちは緑の草と水を見ると柵を破って突進した。カルペッパーは牧場に侵入した償いをするために牧場主であるピアース(ジョン・マクリアム)にあったが、腹黒いピアースは法外な賠償金を要求してきた。カルペッパーは牛をコロラドへ無事に送ることを思い、屈辱を忍んで金を払ったが、相手の弱みにつけ込んだピアースは、さらに武器を捨てていくことを命じた。しばらく御一行が肥沃な谷間に入ると、ナサニエル(アンソニー・ジェームズ)の率いる教団にあった。彼らは長い旅を続けていたが、ようやくここを約束の地と定めて定住することになっていた。だがピアースが再び現われ、、自分の縄張りであるからでていけと命じた。ベンは教団の人たちに深い同情を寄せ、ここに踏みとどまり、彼らに協力する決心を固めた。一行はベンを残して出発したがコールドウエルとルーク、ブリック、ミズーラもベンの所に引き返した。彼らは教団の人に協力することを申しでたが、平和主義を遵奉するナサニエルは拒絶した。やがて戦いは始まり優勢なるピアース側を迎え撃つのはベンと4人のカウボーイだけだった。激しい銃撃戦の末、4人のカウボーイは死に、ピアース側も全滅した。生き残ったベンは、教団がここに住みつくよう勧めたが流血によって汚れた土地は、もはや約束の土地ではないと、と拒絶した。ベンはコールドウェル以下3人のカウボーイの遺体を棄てていくことはできなかった。4人の亡骸を葬ったベンは、大切な拳銃を捨て、母親の許に帰ろうと思った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ディック・リチャーズ
- 脚本
- エリック・バーコビッチ
- グレゴリー・プレンティス
- 原案
- ディック・リチャーズ
- 製作
- ポール・A・ヘルミック
- 撮影
- ローレンス・エドワード・ウィリアムス
- ラルフ・ウールジー
- 音楽
- トム・スコット
- ジェリー・ゴールドスミス
- 編集
- ジョン・F・バーネット
- 字幕
- 清水俊二
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映画レビュー
4.0西部劇の主人公たちにも少年時代はあったハズだ。
カルペッパー(ブッシュ)のもとで働けるようになったベン。途中、牛泥棒の一味と遭遇し、銃撃戦となり4人の仲間を失った。ベン(グライムズ)は1日がかりでカスティーゴという町に向い、助っ人を連れてくるようにと遣いを頼まれる。途中でうんちしているときに馬とガンベルトを盗まれたベン、4人の助っ人を連れ帰るとき、その助っ人に取り返してもらう・・・
夜、見張りに立った少年ベン。今度は馬泥棒に10数頭奪われ、厄介者扱いされるが、なんとかその馬泥棒に遭遇し、仲間がやっつける。コロラドへと向かう旅、数百頭の牛を休めるために通った土地は、大地主ピアースの支配する土地だった。多額の金を請求され、カウボーイたちはガンを奪われる。牛を届けることが任務であるカルペッパー。悔しさを残し去ろうとするが、そこで神の地を求めて旅する集団に出会う。力なき彼らはピアースの土地を神の土地だとして動こうとしない。ベンは一人残ろうとするが、荒くれ者のラスやルークたちが加勢してピアースの軍団と銃撃戦に・・・
仲間もピアースたちも次々と死んでゆく。そして集団とベンだけが残ってしまったが、カウボーイへ抱いていた幻想も破れ、仲間を埋葬するとき銃を捨てるのだった。
明らかにこれまでのハリウッド西部劇とは一線を画す。ベトナム戦争の影響もあるためか、カウボーイたちをそのまま戦争で戦う兵士たちとして見れば納得できる。アメリカ万歳なんてほど遠い西部劇なのだ。しかも神だけに頼る集団をも批判していることは間違いない。ラストに流れる「アメージング・グレース」も印象的!
3.0西部劇好きな人には評価の高い作品です。 正直、私には分かりませんで...
4.0カウボーイという仕事は何なのかを描く
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 65
音楽: 70
職業としてのカウボーイに焦点を当てたちょっと異色の西部劇。
西部劇といえば敵がいてそれと撃ちあって戦うというのが定番。それもあるのだが、しかしこの作品は本来カウボーイという人々は何をしているのかを描いている。牛や馬や荷物を狙って泥棒や強盗が登場するので撃ち合いもある。気の荒い人々の集まりだし、強盗相手に殺しに躊躇はない。しかしそれはこの仕事の一部でしかない。
銃をホルスターに下げ力強く馬を乗りこなすカウボーイは少年の憧れ。しかし実際のカウボーイは家畜に対して責任を負い、厳しい生活に耐え、荒くれ者たちの中で負けない体力と精神力をもっていなければ勤まらない、死と隣り合わせの危険な職業だった。憧れだけではやっていけずに失態を続ける少年は、現実を知っていく。
敵を倒したりするようなかっこよさだけでない、彼らの本来の厳しさや辛さも描いた作品。有名俳優が出ているわけでもないが、登場人物の演技も良い。音楽も郷愁を誘ったりちょっと物悲しかったり。意外と拾い物でした。
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